Siouxsie Sioux 完全ガイド:必聴アルバムとサイドプロジェクトで辿るバンシーズの音楽史

イントロダクション — Siouxsie Siouxという存在

Siouxsie Sioux(シューシー・スー)は、1970年代後半に登場したポストパンク/ゴス・シーンの象徴的フロントウーマンです。Siouxsie and the Banshees(以下バンシーズ)での活動を中心に、The Creatures(ザ・クリーチャーズ)やソロ作も含め、独特の歌唱、ダークで洗練された美学、そして実験的な音作りで多くのアーティストに影響を与えてきました。本コラムでは「レコードで聴く価値のあるおすすめ作品」を軸に、代表作の背景・聴きどころ・アルバム同士の違いといった観点から深掘りしてご紹介します。

おすすめアルバム(必聴の名盤)

  • The Scream(1978)

    バンシーズのデビュー作。初期の生々しいポストパンク/アヴァンギャルドさが詰まった一枚で、Siouxsieの声の鋭さと不穏な空気感が鮮烈です。粗削りながら衝動性に満ちた演奏が魅力で、バンドの出発点を知るうえで最も重要な作品。

    聴きどころ:初期シングルやアルバム曲における緊張感、歌詞のダークな感触、荒削りなプロダクション。

  • Juju(1981)

    バンドが成熟期を迎えた代表作。ギタリスト(John McGeochなど)の繊細かつ独創的なギター・ワークと、Siouxsieの冷ややかで情感あるボーカルが見事に噛み合います。ポストパンクの名盤としてしばしば挙げられる作品で、雰囲気の濃密さと楽曲の完成度が高い。

    聴きどころ:「Spellbound」「Arabian Knights」といった楽曲に表れるメロディと陰影のバランス。バンドサウンドの援用が非常に洗練されています。

  • A Kiss in the Dreamhouse(1982)

    実験性が強まった作品で、ストリングスやサイケデリックな音響処理を積極的に取り入れた一枚。従来のポストパンク枠を越え、アート性と劇場性を伴ったサウンドスケープになっています。聞くたび新しい発見があるアルバムです。

    聴きどころ:アレンジの凝り方、幻想的な世界観、Siouxsieの表現の幅。

  • Peepshow(1988)

    80年代後半の作品で、エレクトロニックな要素やポップ的な感覚が持ち込まれ、より幅広い音色を獲得した時期の代表作。プロダクションが洗練され、シングル候補にもなりうるキャッチーさが顔をのぞかせます。

    聴きどころ:「Peek-a-Boo」などの先鋭的なリズムやサウンド・コラージュ、ポップと実験の均衡。

  • Mantaray(2007、Siouxsie ソロ)

    Siouxsie自身のソロ名義で残したアルバム。成熟した歌唱とプロダクションで、オーケストレーションやエレクトロニカの要素を取り込みつつ、ポップ性も感じられる作品です。長年のキャリアを経た表現の集大成的な側面があります。

    聴きどころ:過去の影響を踏まえつつも新しい音像に挑戦する姿勢、メロディの美しさ。

サイドプロジェクト:The Creatures(必聴の別世界)

The Creatures は Siouxsie とドラマーの Budgie によるユニットで、名前のとおり「打楽器」に重心を置いた実験的な作品が多いのが特徴です。エキゾチックでパーカッシヴなアレンジ、よりミニマルで生々しい空気感が魅力。代表作としては初期の『Feast』(1983)や、後の『Boomerang』(1989)などがあります。バンシーズとは異なる音楽的冒険心を楽しめます。

代表曲・シングルで知るSiouxsieの軌跡

  • Hong Kong Garden(1978)— 初期のシグネチャー・ナンバー。キャッチーでありながら独特の陰影を持つ。
  • Spellbound(1981)— 『Juju』期を象徴する疾走感とメロディ。
  • Cities in Dust(1985)— 歌詞世界の深さとポップなアレンジの両立。
  • Peek-a-Boo(1988)— リズムとサウンド・コラージュの妙が光る挑戦的な一曲。
  • Kiss Them for Me(1991)— 90年代のバンシーズのポップ寄りアプローチを示す楽曲。

音楽的変遷と特徴

Siouxsieのキャリアを通じての大きな特徴は、常に「闇や陰影」を内包しつつ、サウンドや表現を変化させ続けた点です。初期はポストパンクの荒々しさと緊張感、80年代にはサイケデリック/アートロック的な拡張、後期にはより洗練されたプロダクションとポップ志向、ソロやThe Creaturesでは民族的/打楽器中心の実験といった具合に、多面的に展開してきました。

また、Siouxsie自身のボーカル表現は、冷たさと情熱、気品と不穏さが同居しており、歌唱の「色気」が楽曲全体のトーンを決定づけることが多いです。バンド編成におけるギタリストやサウンドプロデューサーとの化学反応も大きな魅力となっています。

これから聴き始める人へのガイド(入門 → 深掘り)

  • まずは入門編:『The Scream』またはベスト盤でSiouxsieの音と世界観をつかむ。
  • 深掘り:『Juju』→『A Kiss in the Dreamhouse』でバンシーズの成熟期/実験期を体験。
  • 別側面:The Creatures(『Feast』『Boomerang』)でよりミニマル/パーカッシヴな表現に触れる。
  • 最新の視点:ソロ作『Mantaray』で成熟したSiouxsieの声と現代的なアレンジを聴く。

購入・収集時に知っておきたいこと(盤選びの視点)

・オリジナル盤は当時の空気感やアートワークを楽しめる一方、リマスター盤や再発盤は音質面でクリアに聴こえる場合が多いです。どちらを選ぶかは「雰囲気重視」か「音質重視」かで判断するとよいでしょう。
・編集盤やベスト盤は入門には便利ですが、アルバム単位で聴くと作品ごとの文脈や実験性が見えてきます。特に『A Kiss in the Dreamhouse』や『Juju』のようなコンセプト/サウンドの強い作品はアルバム通しでの鑑賞をおすすめします。

聴きどころの分析(楽曲とアレンジに注目)

Siouxsie作品をより深く楽しむコツは、以下のポイントに注目することです。

  • ボーカル表現:感情の抑揚、フレージングの「間」、そして時に低く冷たい語り口。
  • アレンジの凝り方:ストリングス、パーカッション、電子音の使い分け。曲ごとに異なる音響空間が作られています。
  • 歌詞世界:都市や神話、幻想を横断するイメージが多く、曲ごとの物語性を感じ取れることが多いです。

まとめ:Siouxsieのレコードを楽しむために

Siouxsie Siouxの作品は「一度聴いただけでは掴みきれない深み」が魅力です。入門盤で輪郭を掴み、その後アルバム単位での通読(通し聴き)を行うことで、アレンジや歌唱の微細な変化、作品ごとの空気感の違いが明瞭になります。バンシーズ、The Creatures、ソロ作それぞれに異なる魅力があるため、興味の方向に合わせて掘り下げてみてください。

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参考文献