EnslavedのLPおすすめアルバム完全ガイド|北欧ブラックメタルの名盤をレコードで聴くコツと聴きどころ

イントロダクション

ノルウェー発のEnslavedは、初期のブラックメタル的激烈さから始まり、ゆっくりと北欧の神話性やプログレッシブな展開を融合させてきたバンドです。本稿では「レコード(LP)で聴く価値が高い」おすすめアルバムを中心に、各作の音楽的特徴、聴きどころ、代表曲、そしてどんなリスナーに向くかを深掘りして紹介します。レコードの再生・保管方法自体の解説は割愛しますが、リリース形態(オリジナル/リマスター/限定盤)に触れることで、レコード選びの参考になる情報を載せます。

おすすめアルバム(深掘り解説)

Vikingligr Veldi

初期Enslavedのデビュー作。原始的で荒々しいブラックメタル・サウンドに、北欧の神話的雰囲気が色濃く反映されています。荒削りながらも神秘的なメロディー感と独特の叙情性が魅力で、バンドのルーツを知るには必携の一枚です。

  • 聴きどころ:生々しいアンサンブル、寒冷で広がるようなリフ、原初的なコーラス感。
  • 代表曲:アルバム冒頭~中盤の長尺曲群(曲ごとの名称は盤ごとに異なる編集があることが多いので、曲順全体で聴くのがおすすめ)。
  • LP選びのヒント:オリジナル・プレスは歴史的価値が高いですが、音質重視なら後年のリマスターや180gプレスの再発盤が安定して聴きやすいです。
  • 向いている人:ブラックメタルの原点に興味がある人、北欧らしい「荒涼感」を求めるリスナー。

Frost

「Vikingligr Veldi」の延長線上にありつつ、より構築的でメロディアスな側面を見せる作品。初期の攻撃性を残しつつも、複雑なリフやダイナミクスが強まり、後のプログレ寄りの発展を予感させます。

  • 聴きどころ:より洗練されたギターアーモニーとリズム展開、寒冷さと荒々しさのバランス。
  • 代表曲:神話的な雰囲気のある中~長尺の曲群。
  • LP選びのヒント:オリジナルのアートワークを楽しみたいなら初版、音の細部を楽しみたいなら高品質な再発を。
  • 向いている人:ブラック系の雰囲気は好きだけど、曲構成の複雑さも求める人。

Eld / Mardraum などの移行期作品

(EldやMardraum~Beyond the Withinあたり)初期の激烈さから脱皮し、より幅広い音楽的要素を取り込んでいく過渡期の作品群です。フォーク風味やアンビエント的要素、そして叙情的なパートが増え、Enslavedの「変化する」器量がはっきり出てきます。

  • 聴きどころ:ブラック・ルーツを保ちつつ現れる静的パート、メロディーの多様化。
  • 代表曲:抒情パートを含んだ曲、メロディックなリフが光るナンバー。
  • LP選びのヒント:バンドの転換点を押さえたいならこの期のオリジナル盤や初期プレスがコレクション価値高し。
  • 向いている人:バンドの進化を辿りたいコアなリスナー。

Below the Lights

Enslavedの「モダン化」が明確になった作品。ブラックメタルの激しさを残しつつ、メロディックでドラマチックなアレンジが加わり、後のプログレッシブ路線への橋渡しとなった重要作です。多層的なギターやキーボードの導入が印象的。

  • 聴きどころ:緩急の付け方、広がりのあるプロダクション、陰影のはっきりした曲構成。
  • 代表曲:「Axioma」系へと繋がるメロディラインを持つ曲や、層の厚い中~後半トラック。
  • LP選びのヒント:プロダクションの質を楽しむなら音質の良い再発(180g等)を選ぶと細部が聴き取りやすいです。
  • 向いている人:ブラックの荒々しさとモダン・プログレの融合を求める人。

Isa

Enslavedがよりエクスペリメンタルに、かつ叙情的になった代表作の一つ。メロトロン的な広がり、清澄なクリーン・ヴォーカルとの対比、緻密なリズムワークが際立ちます。バンドの「プログレッシブ・メタル」としての評価が高まった作品です。

  • 聴きどころ:透き通るような清音パートと黒色ボーカルの対比、長尺曲における構築美。
  • 代表曲:アルバム全体の流れが一つの作品として完成しているため、通して聴くことを強く推奨。
  • LP選びのヒント:概念的な流れを重視するならアートワークやインサートが充実した盤を選ぶと没入感が高まります。
  • 向いている人:構築的でドラマチックな大作志向のリスナー。

Ruun

Isa以降の深化を受けつつ、よりダークで実験的な色合いを強めた作品。リズムと空間の使い方に独自性が現れ、演奏の余白で語るタイプの曲が増えています。

  • 聴きどころ:不穏な空気の演出、細部に仕込まれたリズム変化。
  • 代表曲:アルバム構成としての統一感が魅力のため、曲ごとの切り取り以上にアルバム通読がおすすめ。
  • LP選びのヒント:限定カラー盤や帯付きの初回盤はコレクション性が高いです。
  • 向いている人:静と動の対比を深く味わいたい人。

Vertebrae

よりヘヴィでダイナミック、かつメロディックな面が強調された傑作。テクニカルなギター・ワークと堂々たるサウンドスケープが融合し、Enslavedのメインストリーム的評価を不動のものにしたアルバムです。

  • 聴きどころ:リフの厚み、楽曲ごとの起伏、声の使い分け。
  • 代表曲:アルバム全体に広がるトーンが魅力的で、シングル的な切り出し曲よりもアルバム体験が重要。
  • LP選びのヒント:音圧と解像度を両立したプレス(再発の180g)は、ギターの芯や低域の迫力を楽しむのに適しています。
  • 向いている人:ヘヴィさと技巧、メロディを両方求めるリスナー。

Axioma Ethica Odini

古来のテーマと現代的なヘヴィネスを結びつけた、曲構成の妙が光る作品。リフ主体の力強さと、北欧的叙情がバランスよく配された一枚で、ライブ映えする楽曲も多く含まれます。

  • 聴きどころ:呪術的なコーラス、切れ味の良いリフ、意外性のあるブレイク。
  • 代表曲:アルバムの持つエネルギーを象徴するアップテンポ曲群。
  • LP選びのヒント:ライブでの再現性を期待するなら、ステレオ感や定位が良いプレスを選ぶとギターの空間表現が生きます。
  • 向いている人:メタル然とした高揚感を求める人。

RIITIIR / In Times / E(近年作)

近年の作品群はさらに実験性と多様性が進み、ポストロック的な抑揚やアンビエント要素、さらには民族的なモチーフまで取り込むようになりました。特に「E」は近年の到達点として評価され、叙事詩的なスケール感が際立ちます。

  • 聴きどころ:劇場的な展開、変則的なリズム、洗練されたアレンジ。
  • 代表曲:それぞれのアルバムにおけるキートラック(アルバム全体を貫くテーマ性が強い)。
  • LP選びのヒント:最新作はアートワークやCD/LP特典が凝っていることが多く、限定盤はファン向けの満足度が高いです。
  • 向いている人:従来のメタル枠を超えた構築的・叙情的音楽を好むリスナー。

Utgard

神話や北欧の伝承を主題に、映画的なスケール感と陰影を持った作品。ダークで重厚なトーンと、モダンなプロダクションがうまく融合しています。バンドの熟成した表現力が最もわかりやすく出ている近年作の一つです。

  • 聴きどころ:構築的な楽曲展開、層を成すアレンジ、叙情的な高潮。
  • 代表曲:ドラマ性の高い中~長尺曲。
  • LP選びのヒント:サウンドの奥行きを楽しむために、ダイナミクスに優れたプレスを選ぶと良いでしょう(高品質プレス推奨)。
  • 向いている人:シネマティックで深い音像を楽しみたいリスナー。

アルバム選びの指針(どの盤を買うべきか)

  • バンドの歴史を俯瞰したい:初期(Vikingligr Veldi / Frost)→移行期(Eld / Mardraum)→プログレ期(Below the Lights / Isa)→近年作(Vertebrae 以降)を年代順に揃える。
  • 音質重視:音の解像感や低域の安定を求めるなら、公式のリマスターや180g重量盤、プレスの評判が良い再発を選ぶ。
  • コレクション重視:初回盤や限定カラー、帯・インサートの有無で価値が変わる。購入時は出品情報の写真で状態や付属品を確認すること。
  • アルバム体験重視:Enslavedはアルバム単位での一貫性が重要な作品が多いので、単曲でなく「アルバム通して聴く」前提で選ぶのがおすすめです。

購入時の実用的アドバイス(レコードそのもののメンテは除く)

  • 信頼できるレーベルの再発や公式ストアでの購入は、音質・アートワークの忠実性ともに安心です。
  • 中古市場でオリジナルを狙う場合は、盤の状態(VG+/NM等)と付属品の有無を写真で必ず確認しましょう。
  • 限定カラー盤やボーナスEP付きはコレクター価値が高く、将来的な流通価値を考えれば魅力的な選択になります。

まとめ:どのレコードを最初に買うべきか

最初の1枚を挙げるなら、Enslavedの“転換点”を感じられるBelow the LightsかIsaをおすすめします。両作ともバンドのメロディック/プログレッシブな側面が明確で、LPで聴くとそのダイナミクスと空間表現の豊かさがよく伝わります。初期衝動を感じたいならVikingligr Veldi、最新の成熟度を味わいたいならVertebrae以降やUtgardが向いています。

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参考文献