デラー・コンソートとカウンターテナーの再評価:アルフレッド・デラーが牽引した古楽復興の歴史
デラー・コンソートとは:簡潔なイントロダクション
デラー・コンソート(Deller Consort)は、カウンターテナーのアルフレッド・デラー(Alfred Deller, 1912–1979)を中心に結成された古楽合唱アンサンブルです。第二次世界大戦後の古楽復興期において、カウンターテナーという声種を再評価し、イングランドのルネサンス/バロック歌曲やマドリガーレ、宗教曲の演奏・録音を通じて歴史的演奏実践(HIP:Historically Informed Performance)運動の先駆けとなりました。デラーの透明感ある声質と小編成かつ緻密なアンサンブルは、その後の古楽シーンに大きな影響を与えています。
演奏上の特徴と歴史的意義
- カウンターテナーの再評価:アルフレッド・デラーは現代におけるカウンターテナー復権の立役者です。彼の歌唱は往年の“通奏低音+リュート”から合唱的アンサンブルまで、幅広い文脈でカウンターテナーを定着させました。
- 発声と語り口:派手さを排し、清澄で柔らかい発声を重視。テキストの明瞭さ、音節ごとの呼吸や語尾処理に注意を払うため、詞の内容がよく伝わります。
- 編成とバランス:少人数による均整の取れた合唱と、通奏低音やリュート、ヴィオールなどの古楽器による伴奏を組み合わせ、声部の透明な重なりを実現します。
- レパートリーの幅:ジョン・ダウランド(Dowland)をはじめとするルネサンスの歌曲、イングランドのマドリガーレ/コンソート・ソング、パーセル(Purcell)などのバロック歌曲、さらには初期バロック・イタリアのマドリガーレまで扱いました。
おすすめレコード(厳選セレクション)
ここでは「入門として」「深掘りして聴くために」「コレクションとして欲しい」といった観点で、デラー/デラー・コンソートの代表的な録音群をカテゴリー別に紹介します。各エントリで「聴きどころ」「おすすめ盤の探し方」も付記します。
ジョン・ダウランド(John Dowland)作品集 — デラー(ソロ)/リュート伴奏
なかでもダウランドの楽曲はデラーの代名詞的レパートリー。単独のリュート伴奏で歌われる作品の繊細さ、語りの妙が堪能できます。
聴きどころ:〈Flow my tears〉〈Come again〉など、抑制の効いた装飾とテキストの感情表現。リュートの小さい音とカウンターテナーの声が近接して聴こえる録音は、当時の親密な演奏スタイルを伝えます。
おすすめ盤の探し方:初期LP(L'Oiseau-Lyre 等)や、近年のデジタルリマスターCD/配信を比較。オリジナルのモノラル録音の空気感を好むか、ステレオ/リマスターのクリアさを取るかで選びます。
英ルネサンス/マドリガル集(Morley, Weelkes, Byrd 等) — デラー・コンソート
イングランドのマドリガルやコンソート・ソングをまとめた録音群は、当時の語り口や英語のイントネーション、合唱の細かな掛け合いを見るのに最適です。
聴きどころ:複雑なポリフォニーを小編成で透明に処理する技巧。テキストの明瞭さと声部間の緩急が魅力。
おすすめ盤の探し方:曲目別のベスト盤やアンソロジーCDに良録音が収められていることが多いので、収録曲と演奏年(録音年)を見比べて選ぶとよいです。
ヘンリー・パーセル(Henry Purcell)歌曲・劇音楽抜粋 — デラー・コンソート
パーセルのアリアや歌曲における演劇性・情感表現を、デラーならではの抑制と陰影で聴くことができます。ソロのカウンターテナーと合唱・通奏低音の対比が生きるレパートリーです。
聴きどころ:小曲のなかに見える細やかな感情表現、通奏低音の伴奏法と声の乗せ方。
おすすめ盤の探し方:劇音楽抜粋盤やパーセル集成盤に収録された録音をチェック。ライナーノートに演奏史的背景が詳しい盤を選ぶと理解が深まります。
初期バロック/マドリガル(モンテヴェルディ等) — デラー・コンソート
イタリア初期バロックのマドリガルを英語圏の感性で歌う独特の解釈。原語(イタリア語)録音もあり、節回しや装飾の扱いに注目すると面白い対比が得られます。
聴きどころ:言語ごとの発語の違い、装飾とリズムの取り方の差異。
おすすめ盤の探し方:録音年代や伴奏編成(通奏低音の楽器構成)を確認し、演奏の趣向が自分に合うか選んでください。
アンソロジー/コンピレーション("The Art of the Countertenor" 等)
デラーの代表的ソロ作品・コンソート録音をまとめたベスト盤は入門用に最適。録音年代が幅広く含まれるため、デラーの歌唱の変遷や録音技術の違いも楽しめます。
聴きどころ:名曲の名唱を一枚で聴ける便利さ。解説書きが充実したリイシュー盤を選ぶと、時代背景や編曲の解説が役立ちます。
おすすめ盤の探し方:リマスターやブックレットの有無を確認。音質重視ならリマスター盤、歴史的音源をそのまま味わいたければオリジナルLPやモノラル収録を探します。
聴きどころの具体例:代表曲と注目ポイント
- Flow My Tears(ジョン・ダウランド):デラーの代表曲。微細な語尾の処理、リュートと歌の呼吸の合わせ方に注目。
- Come Again(ダウランド):叙情性と淡い哀愁の表現。フレージングの短い語句でも感情が伝わるかを聴き比べる。
- Purcellの歌曲:室内的な感情表現と舞台性のバランス。合唱パートとの対話を丁寧に追うと構造が見えてくる。
レコード(盤)を選ぶときの現実的なポイント
- オリジナルLP vs リイシュー:オリジナル盤は時代の空気感がありコレクター向け。リイシューは音質や解説が改善されていることが多い。
- モノラル録音の魅力:初期録音はモノラルが多く、ステレオ以降の分離感とは違う一体感が得られます。好みによって選んでください。
- ブックレット/解説の有無:古楽は演奏史的文脈が重要なので、解説(作曲者・楽曲解説・編成情報)が充実している盤を選ぶと理解が深まります。
- リマスタリングの質:安易なデジタル処理で色味が失われるケースもあるため、評判の良いリマスター(専門レーベルや信頼できるエンジニアの手がけた盤)を選ぶと安心です。
現代の演奏と比較して楽しむ
デラー・コンソートは古楽復興初期のスタイルを体現しているため、現代のHIPアンサンブル(The Tallis Scholars、The Hilliard Ensemble、Ensemble Organum 等)と比べると発声・テンポ・装飾の扱いに違いが出ます。複数の演奏を聴き比べることで、演奏実践の歴史的変化やそれぞれの解釈の魅力が鮮明になります。
おすすめの聴き比べ項目(試してみると面白い)
- 同一曲をデラー録音と近年のHIPアンサンブルで比較し、語尾処理や装飾の違いを確認する。
- モノラル録音とリマスター盤での空間感の違いを比較し、どちらの「時代感」が好みかを見極める。
- リュート伴奏の録音で、伴奏楽器のアタック感やテンポ感の違いが歌に与える影響を聴き分ける。
購入・収集の実用アドバイス
- 中古LPを買う場合:盤の状態(VG+以上)とスリーヴの有無、針飛びの有無をチェック。出品者の評価や試聴サンプルがあると安心。
- CD/デジタルは解説の有無を確認:解説が充実していると演奏背景の理解が深まります。
- リイシューを選ぶなら:専門レーベル(古楽に強いレーベル)のリマスター盤が音質・資料ともに安心感があります。
- ネットでの情報収集:Discogsなどで盤のリリース情報やマトリクス番号(オリジナルLPの識別)を確認すると真贋や希少性の目安になります。
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