Annihilator レコード完全ガイド—デビュー作から最新作までのおすすめアルバムとコレクター視点の聴き分けポイント

はじめに — Annihilatorとは何か

カナダ出身のテクニカル・スラッシュ/ヘヴィメタル・バンド、Annihilator(リーダーはギタリストのジェフ・ウォーターズ)は、1980年代後半のスラッシュ隆盛期に登場し、高速かつ技巧的なリフ、メロディアスなソロ、そして変動するボーカルラインナップを特徴に独自の地位を築いてきました。本コラムでは「レコード(LP)として手に入れるべきおすすめ作品」を中心に、各作品の聴きどころ、時代背景、コレクター視点での注目ポイントを詳しく紹介します。

推薦アルバム一覧(概略)

  • Alice in Hell (1989)
  • Never, Neverland (1990)
  • Set the World on Fire (1993)
  • King of the Kill (1994)
  • Refresh the Demon (1996)
  • Waking the Fury (2002)
  • For the Demented (2017)
  • Ballistic, Sadistic (2020)

Alice in Hell (1989) — デビュー作の衝撃

なによりもまず外せないのがデビュー作『Alice in Hell』。Randy Rampage(当時のヴォーカリスト)を擁したこの作品は、Annihilatorを一躍シーンの注目株に押し上げた一枚です。スラッシュのスピード感とトリッキーなギターアレンジ、そして印象的なリフワークが詰まっており、代表曲「Alison Hell」を中心にキャッチーさと攻撃性を両立しています。

  • 聴きどころ:リフの切れ味、ギターソロの構築、デビュー作ならではの勢い。
  • コレクター視点:初期のオリジナル・プレスは需要が高め。再発盤やリマスターでは音像が変わることがあるので、サウンド傾向を確認して選ぶと良い。

Never, Neverland (1990) — 技巧とメロディの深化

続く『Never, Neverland』は、前作の延長線上にありながら、より複雑な楽曲構成とメロディアスな展開が強化された傑作。Coburn Pharr(当時のヴォーカリスト)参加期の作品で、ギター・ワークのテクニック面がより際立っています。楽曲の幅が広く、アルバム通して聴く価値が高いです。

  • 聴きどころ:リズムの緩急、複雑なリフ・アプローチ、ギターのハーモニクスとメロディライン。
  • コレクター視点:初期盤や特典付きの再発盤が流通している。マスターの違いで音像が異なるため、好みの音質を確認するのがおすすめ。

Set the World on Fire (1993) — メロディ志向と商業的試み

1993年作は、ややメロディ志向・商業的なアプローチが強く出た作品です。スラッシュのピュアな側面よりも楽曲の「歌もの」としての完成度が意識されており、好みが分かれるところですが、Annihilatorの幅を知るうえで重要な一枚です。

  • 聴きどころ:メロディ・ラインの充実、構成の整った楽曲群。
  • コレクター視点:この時期のシングルやビデオ出演の有無などもチェックポイント。時期特有の音作り(やや整ったプロダクション)を楽しめる人に向く。

King of the Kill (1994) — ジェフ・ウォーターズのボーカル期

このアルバムからジェフ・ウォーターズ自身がヴォーカルを取る曲が増え、バンドの音楽的かじ取りがよりウォーターズ中心になります。よりヘヴィでダイレクトなサウンドに回帰した印象があり、テクニカルさと攻撃性のバランスが魅力的です。

  • 聴きどころ:ギター・プレイとヴォーカルの融合、ダイナミクスの強い楽曲。
  • コレクター視点:ウォーターズ期の作品はリイシューも多く、盤によってはボーナストラックの有無で内容が変わるので注意。

Refresh the Demon (1996) / Waking the Fury (2002) — 90年代後半から2000年代の充実期

90年代中盤以降もコンスタントに作品を出し続ける中で、『Refresh the Demon』や『Waking the Fury』のようなアルバムは、バンド・サウンドの安定感と成熟を感じさせます。テクニカル性と楽曲の完成度が両立しており、長年のファンにも支持される作品群です。

  • 聴きどころ:安定感のあるバンド演奏、プロダクションの向上、曲作りの幅広さ。
  • コレクター視点:この時期はCD中心の流通だったため、ヴィニールのプレスが限定的な場合がある。レアなLPプレスはコレクターに人気。

近年作:For the Demented (2017) / Ballistic, Sadistic (2020)

近年の作品は、往年のスラッシュ的なアグレッションと現代的なプロダクションを融合させたサウンドが特徴です。Jeff Watersの作曲・演奏の核はぶれずに残っており、新旧の要素をうまくブレンドした作風は新規リスナーにも入りやすいです。

  • 聴きどころ:近年の録音クオリティ、モダンなミックス感、ウォーターズの技術的成熟。
  • コレクター視点:近作は限定カラー盤やサブスクリプション限定盤など多彩なバリエーションが出る傾向。限定盤は早期に完売することがあるため要チェック。

アルバムごとの“何を期待するか” — 聴き分けのヒント

  • Alice in Hell:初期スラッシュの純度、勢いと攻撃性を期待するならこれ。
  • Never, Neverland:テクニカルさと楽曲の多様性を求めるならこれ。
  • Set the World on Fire:メロディアスで聴きやすい側面を知るために。
  • King of the Kill:ジェフ・ウォーターズのヴォーカルを含めた方向性の変化を体感する一枚。
  • For the Demented / Ballistic, Sadistic:現代的な音作りとバンドの熟成を楽しみたいリスナーに。

ヴァイナルを買うときのチェックポイント(保存・再生以外)

※レコードの再生・保管・メンテナンスの具体的な方法は本稿では触れませんが、「どの盤を選ぶか」に関しての指標を列挙します。

  • オリジナル・プレス vs 再発:オリジナルは初回の音源・アートワークを堪能できる反面、ノイズや経年劣化の可能性があります。近年の再発はリマスターや音質改善が施されている場合があるため、サウンドの好みによって選ぶと良い。
  • マスターとリマスターの違い:同一タイトルでもマスターが違えば音の密度や低音の出方が変化します。リイシュー情報(誰がリマスターしたか)を確認すると失敗が少ないです。
  • 限定盤・カラー盤:コレクション性は高いが、時に通常盤よりもプレスの品質がばらつく場合があるため、信頼できるレーベル/プレス元を確認するのが安心です。
  • 国内流通盤か輸入盤か:プレス元やプレス地域(EU、US、JPなど)で音作りやジャケットの印刷クオリティが異なります。レビューやオーディオフォーラムで同タイトルの盤評をチェックするのがおすすめです。
  • ボーナストラックの有無:CDやデジタル版にしか入っていないボーナストラックがある場合もあります。アルバムとしての「完全版」を求めるか、オリジナル構成を重視するかを基準に選んでください。

代表曲を通してAnnihilatorを知る

代表曲は作品ごとに異なる顔を見せます。初期の「Alison Hell」のような尖ったスラッシュから、90年代のメロディ重視のシングル、近年のモダンな楽曲まで幅があります。アルバム単位で聴くことで、バンドの進化とジェフ・ウォーターズの作曲/奏法の変遷がよく分かります。

まとめ — どの一枚から始めるべきか

初めてAnnihilatorをレコードで手に入れるなら、まずは『Alice in Hell』か『Never, Neverland』を強くおすすめします。そこから好みに合わせて『Set the World on Fire』でメロディ寄りの側面を、『King of the Kill』でウォーターズ主体のサウンドを探る、という聴き方が自然です。近年作は録音クオリティも高く、最新のサウンドで楽しみたい方に最適です。

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参考文献

Annihilator - Wikipedia
Annihilator - Discogs
Annihilator | Biography & Albums - AllMusic
Annihilator — Encyclopaedia Metallum: The Metal Archives
Official website — Annihilator