Saxon(サクソン)徹底解剖:NWOBHMを代表する英国ヘヴィメタルの長寿バンドと名盤ガイド
Saxonのプロフィール — 英国産ヘヴィメタルの長寿番組
Saxon(サクソン)は1970年代後半にイングランド、バーンリーを拠点に結成されたヘヴィメタル・バンドです。NWOBHM(ニュー・ウェーブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)の代表的存在として1980年代初頭にブレイクし、力強いリフ、ツインギターによるハーモニー、そしてビフ・バイフォード(Biff Byford)の特徴的な伸びやかな歌声を武器に、多くの名曲を世に送り出してきました。
結成当初からメンバーの入れ替わりはあるものの、リード・ボーカルのビフ・バイフォードを中心に活動を継続。1979年のデビュー作以降、クラシック期のアルバム群(1980年〜)によって確固たる地位を築き、以降も現在まで精力的にスタジオ作・ツアーを続けています。
サウンドの特徴と魅力を深掘り
Saxonの魅力は一言では語り尽くせませんが、以下の要素が核になっています。
- 直線的で覚えやすいリフとフック:ギターのリフは太く、歌メロやコーラスはシンプルで耳に残るためライブでの一体感が生まれやすい。
- ツインギターのハーモニー:ツインリードの掛け合いやハーモニックなソロが楽曲に厚みを与え、伝統的なヘヴィメタルの美学を体現している。
- 労働者階級的な歌詞世界:鉄道、飛行機、戦い、街の情景、そして“デニム&レザー”に代表されるメタル・カルチャー賛歌など、ストレートで共感しやすいテーマが多い。
- ビフ・バイフォードのボーカル:凛とした発声と力強い中域の伸びが特徴で、アンセム系のコーラスとの相性が抜群。
- ライブ・バンドとしての信頼性:ツアー経験が豊富で、古参曲から新作まで安定したパフォーマンスを見せ、観客との一体感を作ることに長けている。
代表曲と名盤ガイド
初めて聴く人が入りやすいクラシック音源と代表曲を挙げます。時代を通しての“鉄板”を押さえることでSaxonの魅力がよく分かります。
- Wheels of Steel(1980) — タイトル曲「Wheels of Steel」、大曲「747 (Strangers in the Night)」を収録。バンドを一躍メインストリームに押し上げた歴史的アルバム。
- Strong Arm of the Law(1980) — スピード感と攻撃性が際立つ作品で、初期の勢いをそのまま詰め込んだ一枚。
- Denim and Leather(1981) — 「Denim and Leather」はメタル・シーンのアンセムの一つ。ファン文化を祝福する歌詞が象徴的。
- Power & the Glory(1983) — メロディとヘヴィネスのバランスに優れた、中期の代表作。
- その他注目作:デビュー作「Saxon」(1979)や、90年代以降の再評価作、近年のスタジオ作も安定感があり、それぞれの時代の音作りを楽しめます。
歌詞/テーマの魅力 — 共感を呼ぶ“物語”性
Saxonの歌詞は戦争や冒険、乗り物、労働など“物語性”の強い題材が多く、その多くは日常感覚に根差したものです。過度に抽象的・内省的ではなく、外へ向かうドラマを描くことでリスナーの想像を掻き立て、ライブでの合唱を誘発します。特に“デニムとレザー”のような曲はメタル・アイデンティティの肯定とも言える表現で、ジャンルの共同体感を強めました。
ライブとパフォーマンス — 聴衆を巻き込む力
Saxonはライブバンドとしての評価が非常に高く、楽曲自体がコーラスや合唱を想定した構造のため、観客を自然に巻き込みます。ビフのMCや観客への呼びかけも巧みで、初めての来場者でも一緒に歌いやすい雰囲気を作るのが上手です。フェス出演やツアー回数の豊富さも、彼らが現場で培った“強さ”の証明です。
影響とレガシー — 後続世代への波及
NWOBHMの代表格としてSaxonは多くのメタル・バンドに影響を与えました。直接的なサウンドの踏襲だけでなく、アティチュード(ストレートで真っ直ぐなロック精神)や“アンセム”を作る手法は、スラッシュやパワーメタル、トラディショナル・メタル系のバンドたちに受け継がれています。また、長年にわたる活動によって“生きた教科書”的存在となり、メタル史を語るうえで欠かせない存在です。
入門者へのおすすめの聞き方
- まずは初期クラシック(1979〜1983)のベストトラックで”勢い”を体感する。
- その後、ライブ盤やベスト盤で定番曲の生の熱気を確認する。コーラス部分で一緒に歌える曲が多く、楽しさが倍増します。
- 余裕があれば年代順に聴いて、プロダクションや作風の変化を追うことでバンドの成長と適応力を味わう。
批評的視点 — 長所と弱点
長所としては、曲の分かりやすさ、確かな演奏力、ライブ力、そして一貫したメタルへの誠実さが挙げられます。弱点としては、商業的・創造的に大きな実験を行うタイプのバンドではないため、革新性を求めるリスナーには単調に感じられる場合がある点。ただし“枠内での最良”を極める姿勢こそがSaxonの強みでもあります。
まとめ — なぜ今でも聴かれるのか
Saxonの音楽はシンプルにして力強く、メタルの基礎要素を高い完成度で提示し続けてきました。時代に流されない直球のロック精神、観客を巻き込むライブ力、そして安定した作品群は、新旧のファンを問わず刺さります。ヘヴィメタルの歴史を知りたい人、現場の熱量を求める人にとって、Saxonはまず押さえておくべき存在です。
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参考文献
- Saxon(Wikipedia 英語版)
- Saxon Official — 公式サイト
- Saxon — AllMusic
- Saxon — Discogs
- Saxon — Encyclopaedia Metallum


