ハイドンの「H番号」とは?ホボーケン目録の読み方・使い方を徹底解説

H番号(ホボーケン番号)とは

「H番号」とは、一般にヨーゼフ・ハイドン(Joseph Haydn)の作品に付された分類番号を指します。正式にはホボーケン目録(Hoboken catalogue)による番号で、編纂者アンソニー・ヴァン・ホボーケン(Anthony van Hoboken)がまとめたハイドン作品のテーマ目録に由来します。H番号は、作曲年代や出版順が必ずしも一致しないハイドンの作品群を、ジャンルごとに整理して識別するための重要な参照情報です。

一般のリスナーや演奏者が曲目を検索・特定するとき、あるいは楽譜・録音・論文で正確に作品を示すときにH番号は頻繁に使われます。例えば交響曲第104番(ロンドン交響曲)は Hob. I:104 と表記され、交響曲第94番(驚愕/Symphony No.94)は Hob. I:94 と表記されます。このようにH番号は作品の“所在”を示す標準的な目印として機能します。

ホボーケン目録の成立と目的

ホボーケン目録は、20世紀の音楽学的研究の文脈で作られました。ホボーケンの目録は、単に作品名と番号を列記するだけでなく、主題(テーマ)を記譜した「主題目録(thematic index)」を含む点が特徴です。これにより、断片や異稿、同名・類似名の作品の照合が容易になり、作品の同定や真贋判定に役立ちます。

目録の目的は次の通りです:作品のジャンル別整理、異稿や版の区別、断片・疑作の明示、そして研究・演奏・出版などでの共通参照基盤の提供。作曲家が多作であり、かつその出版記録が混在しているハイドンの場合、このような体系化が研究・実務双方で不可欠でした。

表記法と読み方 — Hob. I:104 の意味

ホボーケン目録の表記は一般に「Hob. ジャンル記号:通し番号」という形式で示されます。日本語では「H番号」や「ホボーケン番号」と呼ばれることが多く、次のように読みます。

  • Hob.:Hoboken(ホボーケン)を示す接頭辞
  • ジャンル記号(ローマ数字または文字):ジャンル別の分類(例:交響曲、室内楽、協奏曲、カンタータ等)
  • :通し番号(同ジャンル内での番号付け)

例:Hob. I:104 は「ホボーケン目録における第I群(交響曲)104番」を意味します。多くの楽曲解説や楽譜、録音ライナーノートではこの表記が併記されています。

ジャンル分類の考え方(概念的な説明)

ホボーケン目録は作品をジャンルごとにまとめています。各ジャンルはローマ数字や文字で区別され、例えば交響曲、弦楽四重奏曲、ピアノ三重奏、オラトリオや宗教曲などがそれぞれのグループに割り当てられています。重要なのは、ジャンルごとの番号は必ずしも作曲順や出版順に対応していない点です。ホボーケンは同種の作品をまとまったリストに整理することを優先しました。

そのため、同じジャンル内の番号は比較的昇順に並んでいても、作曲年や初演年を直接示すわけではありません。学術的に作曲年を追うには、H番号に加えて作曲年表示や研究文献を参照する必要があります。

なぜH番号が必要なのか — Op.番号との違い

ハイドンの作品を理解するうえでしばしば出てくる混乱が「Op.(作品番号)」との関係です。Op.番号は出版社が与えた番号で、出版単位(セット)や商業目的に基づくことが多く、作曲順や真偽の確認には限界があります。特に18世紀後半の音楽出版事情では、作曲者自身の管理外で番号が付けられたり、同じOp.番号に含まれる曲が作曲年代的にばらばらである場合もあります。

それに対してH番号は、研究者(ホボーケン)が既存の情報を整理して独自に割り当てたもので、ジャンル別の体系的な索引として機能します。したがって、正確に作品を特定するためにはOp.番号だけでなくH番号を参照することが推奨されます。

実務での使われ方:録音・楽譜・演奏会のプログラム

実務面では以下のような場面でH番号が役立ちます。

  • 録音のライナーノート:同名の作品や異稿が存在する場合、H番号を併記して明確にする。
  • 楽譜出版:出版社が異稿や版を区別する際にH番号を注記することがある。
  • 演奏会プログラム:リスナーに作品の正確な参照を提供するため、Op.番号だけでなくH番号を付記する場合がある。
  • 学術論文・プログラム・批評:作品同定の根拠としてH番号を引用することで曖昧さを避ける。

注意点 — 誤表記や混同に注意

H番号を扱う際の代表的な注意点を挙げます。

  • 複数のカタログ存在:ハイドン研究ではホボーケン以外の資料や新版目録が参照されることもあり、すべてがH番号一本で片付くわけではありません。
  • 疑作・誤認の存在:古くはハイドンに帰属されていた作品が、後年他の作曲家の作と判明する場合があります。目録は当時の最良の知見に基づくものであり、研究の進展で情報が更新されます。
  • 表記の揺れ:Hob. I:94 と Hob. I/94、Hob.1:94 のように表記揺れが見られます。用途に応じた表記統一を心がけてください。

デジタル時代の調査法 — 具体的なステップ

近年はオンラインで多くのリソースが参照できるため、H番号を手掛かりに効率よく情報収集できます。基本の手順例を示します。

  • 作品名(原語・英語名)+「Hob.」や「Hoboken」で検索する(例:「Haydn Hob. I:104」)。
  • IMSLP(国際楽譜ライブラリプロジェクト)で該当作品ページを確認し、版や異稿の有無を探る。
  • Oxford Music Online(New Grove)や専門書で作品の作曲年や版歴、初演情報を確認する。
  • 録音情報はNaxosやAllMusic、レーベルのライナーノートでH番号表記を探し、盤情報と照合する。
  • 疑義がある場合は学術論文や新版全集(Neue Haydn-Ausgabe など)で検証する。

ケーススタディ:交響曲を探す場合

交響曲を例にとると、曲名だけで検索しても「同名異曲」や「編曲版」がヒットすることがあります。Hob. I:94 といったH番号が分かれば、その番号で楽譜や録音を絞り込み、正確な版(オリジナル版、改訂版、楽譜出版社の版など)を比較できます。特にハイドンの交響曲は版差・カット差が演奏史的に重要な意味を持つため、H番号での照合はとても有効です。

まとめ — H番号を使いこなすコツ

H番号(ホボーケン番号)はハイドン研究・実務における標準的な参照方法です。以下のポイントを押さえておくと実務で便利です。

  • 曲を正確に特定したいときは、曲名+H番号で検索する。
  • 演奏や編集で異稿・版の差を確認するときは、H番号を起点に関連資料を突き合わせる。
  • 出版物やプログラムで表記が揺れる場合は、編集方針に従って表記を統一する(例:Hob. I:94 の形式を採用する、など)。
  • 最新の研究や新版全集にも目を通し、目録が更新・訂正されていないかを確認する。

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参考文献