Star Wars Battlefront (2015)を深掘り解説:開発背景・ゲームデザイン・評価の真実

イントロダクション — なぜ今振り返るのか

2015年に発売された『Star Wars Battlefront』(以下:Battlefront 2015)は、オリジナルの『スター・ウォーズ バトルフロント』(DICE、2004〜2005年のシリーズとは別)という名を冠した大作マルチプレイヤーシューターです。開発はスウェーデンのDICE、発売はElectronic Arts(EA)。本作は映画『スター・ウォーズ』オリジナル三部作の世界観をビジュアルと音響で再現することに重心を置き、当時の最新技術でファンが待ち望んだ“スター・ウォーズ体験”を提供しました。本稿では開発背景、ゲームプレイ、ポストローンチの展開、評価と問題点をできるだけ事実に基づいて整理します。

開発と技術基盤

Battlefront 2015はDICEがFrostbite 3エンジンを用いて開発しました。同エンジンは大規模なフィールド表現やリアルタイムの物理表現に優れており、特に雪原のHothや森林のEndorなど映画の象徴的なロケーションを詳細に描写することに貢献しました。対応プラットフォームはPlayStation 4、Xbox One、Windows PC。発売日は2015年11月(北米・欧州では11月17日付近)。最大同時プレイヤー数は大規模モードで40人(20vs20)であり、映画の大戦闘をオンラインで再現することが意図されていました。

ゲームプレイの核 — シンプルさとフォーカス

Battlefront 2015の設計哲学は「映画体験の再現」と「大人数のマルチプレイヤー対戦」にあります。そのため、従来のクラスベースのRPG的育成よりも、瞬時に映画のヒーローやビークル(AT-AT、AT-ST、Xウィング等)に乗れること、地形やオブジェクトを使ったダイナミックな戦闘が重視されました。

  • プレイヤー・クラス:典型的な4クラス(Assault、Heavy、Officer、Specialist)とスターカードによる能力カスタマイズが存在します。スターカードは戦闘中に入手・装備する要素で、装備の組合せでプレイ感が変わります。
  • ヒーローシステム:ルーク、ダース・ベイダー、ハン・ソロ、レイアなどの“ヒーロー”は特定ポイントで出現し、一時的に使用できます(ヒーローは強力な存在で、試合の流れを変える要因となりました)。
  • ビークル:地上・空中の乗り物が多く登場し、Fighter Squadronなどの専用モードではビークル戦が主体となります。
  • 主なゲームモード:Walker Assault(大型モードでAT-ATが登場)、Supremacy(複数拠点の制圧)、Blast(小規模のチームデスマッチ)など。モードごとに求められる立ち回りが異なり、状況把握とチームプレイが重要です。

コンテンツ構成とローンチ時の評価

発売直後の評価は映像・音響表現の高さに対する賛辞と、内容量の少なさ・リプレイ性の薄さに対する批判が混在しました。多くのレビューは、グラフィックと音響で“スター・ウォーズらしさ”を非常にうまく表現している点を評価する一方で、キャンペーン(シングルプレイヤーのストーリーモード)が存在しないこと、マップやモードの種類が限定されていること、カスタマイズ性や深い成長要素が不足している点を低評価にしました。

ポストローンチの展開 — DLCと無料アップデート

EA/DICEは発売後も継続的にコンテンツを投入しました。目立った配信としては、2015年12月に無料配信された『Battle of Jakku』(ジャクーのマップ)や、有料のシーズンパス(Outer Rim、Bespin、Death Star、Rogue One: Scarif など)があります。これらのDLCは新マップ、新ヒーロー、新武器やゲームモードを順次追加し、コミュニティの要望に応える形でコンテンツ拡充が試みられました。

評価の分岐点 — 長所と短所を整理する

  • 長所
    • 映画音楽(John Williamsのテーマ)や効果音、ビジュアルの再現度が非常に高く、スター・ウォーズ世界への没入感が強い。
    • 大規模戦闘の演出(AT-AT、爆撃、VSビークル)による派手な体験。
    • 初心者でも入りやすいシンプルな操作体系とルール。
  • 短所
    • ローンチ時のコンテンツ量とモードの多様性不足。多くのユーザーが「長く遊べる深み」を求めていた点で物足りなさを感じた。
    • シングルプレイヤー用のストーリーが無く、1人でじっくり遊びたい層には訴求力が弱い。
    • 多くの点がマルチプレイヤーに依存しており、プレイヤー人口の変動がそのまま遊びやすさに直結する。

Battlefront 2015とマネタイズ論争(補足)

本作(2015年)については『Battlefront II(2017年)』ほどのマネタイズ論争は起きていません。Battlefront IIでのマイクロトランザクションといわゆる「ガチャ的」システムを巡る議論が大きな騒動になったため、2015年版に関して言及する際は、この点を明確に区別する必要があります。

現在の位置づけと影響

Battlefront 2015は「映像表現での勝利」と「ゲームデザイン面での課題」を併せ持つタイトルとして記憶されています。映画世界を忠実に再現した体験は、その後の同シリーズや他の映画IPゲームにも影響を与えました。一方で、プレイヤーの期待するゲームボリュームやシステムの奥行きを満たせなかった教訓は、以降のAAAタイトルにおけるローンチ体制やポストローンチ計画についての議論材料になっています。

総括 — どんな人に勧められるか

Battlefront 2015は「映画『スター・ウォーズ』の世界観をビジュアルと音で体験したい」プレイヤーや、「大規模マルチプレイのアクション的な派手さを楽しみたい」人には向いています。逆に、シングルプレイのしっかりしたストーリーや長期的な競技性・育成深度を求めるプレイヤーには不満が残る可能性が高いです。発売当時の賛否やDLCによる改善を踏まえた上で、自分の遊び方に合うかを判断すると良いでしょう。

参考文献

Star Wars Battlefront (2015) — Wikipedia

Star Wars Battlefront — EA公式(アーカイブや製品ページ)

IGN — Star Wars Battlefront

Eurogamer review — Star Wars Battlefront