EMGピックアップ完全ガイド:仕組み・音作り・導入のコツ

EMGとは何か — ギター・ベース界の“アクティブ”代表

EMG(イーエムジー)は、エレキギター/ベース用のアクティブ(電池駆動)ピックアップの代名詞的存在です。一般にはハイゲインでノイズが少なく、歪み系の音作りに強いという評価があり、特にヘヴィな音楽ジャンルで広く採用されています。本コラムでは、EMGの仕組み、代表モデルの特徴、導入時のポイント、メンテナンスや応用までを詳しく解説します。

EMGの歴史と位置づけ(概略)

EMGは1970年代から1980年代にかけて、アクティブ回路を取り入れたピックアップを商業化する過程で注目を集めました。アクティブピックアップは、ピックアップで拾った信号を内蔵プリアンプで増幅・整形するため、低インピーダンスで安定した出力が得られる点が特徴です。EMGはその分野で早期に普及したメーカーの一つで、多くのプロ奏者が採用したことでブランド認知が高まりました。

仕組み:アクティブピックアップがもたらす音の特性

アクティブピックアップは、パッシブ(通常のマグネット+コイル)と異なり、内蔵されたプリアンプ(電池で駆動)を介して信号を出力します。主な特徴は次の通りです。

  • 低インピーダンス出力:外部ケーブルやアンプの入力に対して影響を受けにくく、長いケーブルでも音質劣化が少ない。
  • 高出力で明瞭な信号:特に高域と中域がクリアで、歪みエフェクトをかけたときに輪郭が失われにくい。
  • ノイズ耐性:プリアンプによるバッファリングで外来ノイズやハムの影響を軽減しやすい。
  • EQの利便性:一部モデルは内蔵EQやアクティブ回路を変化させることで音色の幅を持たせられる。

ただし、電源(一般的には9V電池)が必要で、電池切れや独特の「クリーンな」キャラクターが好みと合わない場合もあります。

代表的なEMGモデルとその使い分け

EMGのピックアップは多数のモデルが展開されていますが、ここでは特にポピュラーなモデルの特徴を解説します。

  • EMG 81:ブリッジ向けの高出力ピックアップ。セラミック磁石を使用したモデルが多く、鋭く切れのある高域と強いアタックが特徴。メタル系でリードや重いリフに好まれる。
  • EMG 85:ネック向けに使われることが多いモデル。温かみのある中低域が特徴で、リードの太さやハーモニーの厚みを補う用途に適している。アルニコ磁石を用いるモデルが多く、音に丸みが出やすい。
  • EMG 60:比較的バランスの良いレスポンスで、クリーン〜軽いオーバードライブに向く。ミッドレンジの存在感を持たせつつ、アクティブらしい明瞭さを保つ。
  • EMG HZ(パッシブライン):EMGが後に展開したパッシブシリーズ。アクティブのキャラクターが合わないがEMGサウンドの傾向を取り入れたい場合の選択肢。
  • EMG 707/81-7など(7弦・8弦対応モデル):拡張弦数に対応するラインアップも充実しており、低域の締まりを重視した設計がなされている。

音作りの実戦的アプローチ(アンプ・エフェクトとの組み合わせ)

EMGを使う際の典型的な音作りの考え方:

  • ディストーション/ディシャンプ系との相性:EMGは明瞭な高域と強い出力を持つため、ハイゲインアンプや歪みペダルでの輪郭が出やすい。アンプのゲインを深くせず、チューブアンプのドライブとEMGの出力で粒立ちを狙う使い方が多い。
  • EQの扱い:中域を適度に上げるとリフの抜けが良くなる。逆にブーストしすぎると刺さることがあるので、必要ならローやハイを調整して“丸み”や“切れ”をコントロールする。
  • クリーン領域:EMGはクリーンでも非常に明瞭でノイズが少ないため、アンプのクリーンチャンネルでジャズやフュージョン的なプレイをすることも可能。ただし、パッシブの暖かさを好む奏者はEMGのクリーンが冷たく感じることがある。

取り付け・配線・改造のポイント

EMGはモデルによってソルダーレス(ハーネス)対応や標準的な配線で組み込めるものがあります。取り付けとカスタマイズの注意点:

  • 電源配線:9V電池をどこに入れるか(ギターバックの電池ボックス、コントロールキャビティなど)を事前に決める。バッテリーホルダーの固定は演奏中の接触を防ぐためしっかり行う。
  • ソルダーレスの利便性:EMG純正の配線システムはハンダ付けが不要で初心者にも扱いやすい。ただしスペースの都合や独自の回路追加(コイルタップやアクティブEQ)を行う場合はハンダ作業が必要になることもある。
  • コイルタップ/スプリット:EMGの一部モデルは特殊な回路を必要とするため、純正のコイルスプリット機能が無いこともある。パッシブ風のトーンを得たい場合はHZシリーズや外部にアクティブEQを組み合わせる方法を検討する。

メリットとデメリット(導入判断)

EMG導入を検討する上での長所と短所を整理します。

  • メリット:ノイズが少ない、高出力で歪み系に強い、ケーブル長の影響を受けにくい、一定のサウンドが安定して得られる。
  • デメリット:電池が必要、パッシブの温かさやサスティンの感触が好みと合わない場合がある、コントロールや改造の柔軟性がモデルによって制限されることがある。

メンテナンスとトラブルシューティング

日常的なチェックポイントと対処法:

  • 電池残量の確認:電池が弱くなると出力低下や音質の変化が出る。定期的に交換し、ライブ前は予備を用意する。
  • 接触不良:ソルダーレス接続部やジャックの接触不良はガリや断続的なノイズを生む。接点クリーナーやジャックの再固定で改善することが多い。
  • ノイズが出る場合:アース不良や外部機器との相性が原因となる場合がある。シールドケーブルの導入やギター内部のシールド加工を検討する。

ジャンル別の使い方と実戦例

EMGは特にメタルやハードロックでその特性を活かしやすいですが、それ以外でも活用法はあります。

  • モダンメタル/デス系:EMGのクリアでタイトな低域は低音域を多用するリフに適する。ドロップチューニングとの相性も良い。
  • ハードロック/ヘヴィロック:リードとリズムで色を変えるために、81系と85系のセットを併用するのが定番。
  • クリーン主体の音楽:EMGのクリーンはノイズが少なくクリアだが、暖かさやニュアンスはパッシブに軍配が上がる場合がある。用途に合わせてHZシリーズやミックスを検討すると良い。

著名なユーザー例(参考)

EMGは多くのプロミュージシャンに採用されています。代表的な例として、メタル系のギタリストやベーシストに支持されてきた歴史があります(例:MetallicaのメンバーやZakk Wylde、Dimebag Darrellなど、各アーティストは時期やモデルが変わることがあります)。具体的な仕様や組み合わせは各奏者のセッティングを参照してください。

購入時のチェックポイントとまとめ

EMG導入を検討する際のポイント:

  • 用途(ジャンル)と求める音色を明確にする:ハイゲイン主体かクリーンも使うかで選ぶモデルが変わる。
  • ギターの配線スペースやバッテリーホルダーの有無を確認する。
  • 試奏は必須:アンプやエフェクトとの組み合わせで印象が大きく変わるため、実際のセッティングで確認すること。

まとめると、EMGは安定した高出力と低ノイズが魅力のアクティブピックアップです。ジャンルや好みによっては最適解となる一方、電源管理や改造の制約など注意点もあります。導入前に自分の音作りの方向性を整理し、必要なら専門店での相談や試奏をおすすめします。

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参考文献