ノートナンバー徹底解説:MIDI・ピアノ・周波数・実践活用ガイド

ノートナンバーとは何か――定義と応用範囲

「ノートナンバー(note number)」は、音楽における音高を数値で表す概念で、文脈によって意味合いが変わります。アナログ楽譜や理論的なスケール度数(1度、3度など)を指す場合もあれば、デジタル音楽の世界ではMIDIノートナンバーのように機器間で音高を正確にやり取りするための整数を指します。本コラムでは主にデジタル音楽におけるノートナンバー(特にMIDI)を中心に、ピアノ鍵盤番号・周波数への対応・実務的な使い方や注意点を深掘りします。

MIDIにおけるノートナンバーの基本

MIDI(Musical Instrument Digital Interface)は、0から127までの整数で音高を表すノートナンバー(MIDIノート番号)を採用しています。MIDIの標準ではノート番号69がA4(A=440Hz)に対応します。これは多くの機器とソフトウェアで共通の基準です。MIDIメッセージでは、ノートオン/ノートオフでノート番号とベロシティ(強さ)が送られ、持続時間はノートオンとノートオフのタイミングで制御されます。

周波数との対応:計算式と実例

MIDIノート番号nに対する周波数fは、以下の標準式で求められます(A4=440Hz、n=69):

  • f = 440 × 2^((n − 69) / 12)

例:

  • n = 69 → f = 440 Hz(A4)
  • n = 60 → f ≈ 261.63 Hz(一般的に“ミドルC”=C4と表記される)
  • n = 21 → f ≈ 27.50 Hz(ピアノの最低音 A0 に相当)

この式は12平均律を前提にしており、歴史的な調律や平均律以外のスケーリング(純正律やピタゴラス律)、また参照周波数がA4=440Hz以外の場合は異なる値になります。

ピアノ鍵盤とノートナンバーの対応

現代の標準的なピアノは88鍵で、MIDIとの一般的な対応は以下の通りです。

  • 最低音 A0 = MIDIノート21
  • ミドルC = MIDIノート60(表記上はC4とされることが多いが、流派やソフトによってC3と表記されることがあるため注意)
  • 最高音 C8 = MIDIノート108

この「ミドルCの表記の揺れ(オクターブ番号のずれ)」はDAWや音源を扱う上での代表的な混乱要因です。利用するソフト/機材のオクターブ表記規則を確認して合わせることが重要です。

ノートナンバーの実務的活用例

ノートナンバーは単なる識別子以上の価値を持ちます。以下は主な活用例です。

  • トランスポーズ(移調): ノートナンバーに定数を加減するだけで瞬時に全体を上下させられる。
  • アルゴリズム作曲: 数列や乱数をノートナンバーに変換することで自動作曲に応用できる。
  • 和音検出・解析: ノートナンバーを12で割った余り(ピッチクラス)を使えば、キーやモードの推定、和音の同定が容易になる。
  • 音源のマッピング: サンプラーやシンセで、サンプルを特定ノート番号に割り当てて鍵盤全域で再生する。

MIDIデータ構造とノートナンバー

MIDIファイル(SMF)やリアルタイムMIDIデータは、ノートナンバーとベロシティ、チャンネル、タイミング(デルタタイム)を基本要素として扱います。例えば、同じノート番号のノートオンが複数重なると、機器やソフトによって挙動が異なります(ノート重複を許す、先着順で切る、ポリフォニック・ボイス割り当てなど)。これを理解していないと、打ち込み後に思わぬ音切れや音の被りが発生します。

チューニングと微分音(マイクロトーニング)への対応

MIDIのノートナンバーは整数であるため、純粋には微分音を直接表せません。微分音や細かなチューニング差を表現するためには主に2つの方法があります。

  • ピッチベンド:ノート単位で連続的な周波数変化を与える。解像度は機器依存(MIDI標準では14ビット=16384段階が一般的)。
  • MIDI Tuning StandardやMIDI NRPNを使ったチューニングテーブル:ノートナンバーごとに周波数を指定できる規格で、より精密なチューニング設定が可能。

音楽ジャンルや表現意図によって、ノートナンバーだけでなくこれらの拡張手段を併用する必要があります。

注意点とよくある誤解

実務で遭遇する主な注意点をまとめます。

  • オクターブ表記の違い:ソフト間でミドルCの表記がずれることにより、思わぬ1オクターブずれが起こる。
  • 参照ピッチの違い:A4=440Hz以外(例えばA4=442Hzなど)を使用する場合、周波数計算は変わる。
  • サンプラー設定:サンプルのルートノートを誤設定すると音程が合わない。
  • ベロシティとノートナンバーの混同:ノートナンバーは音の高さ、ベロシティは強さ(音色やアタックの変化のトリガー)を表す別の値。

実践的なチェックリスト(DAW/音源導入時)

  • ミドルCの表記(C3/C4)がどちらか確認する。
  • 参照ピッチ(A4の周波数)を確認・統一する。
  • サンプラーのルートノートとスケール設定をチェックする。
  • ミキシング時に音の被りを避けるため、同じノート番号の重複動作を理解する。

高度な応用:アルゴリズム作曲とデータ分析

ノートナンバーは数値データとして扱いやすいため、機械学習や統計解析と相性が良いです。音楽情報検索(MIR)や自動和音推定、スタイル模倣の研究では、音高系列を整数列として扱い、シーケンスモデルや隠れマルコフモデル、ニューラルネットワークへ入力します。こうしたアプローチでは、ピッチクラス(mod 12)やインターバル列(隣接ノート差分)に変換して扱うことが多いです。

まとめ:ノートナンバーを正しく理解して使いこなすために

ノートナンバーはデジタル音楽制作の基礎です。MIDIノート番号の基本仕様(0–127、69=A4=440Hz)と、ピアノ鍵盤との代表的な対応(A0=21、C4=60、C8=108)を押さえれば、多くの制作作業で混乱を避けられます。さらに、オクターブ表記や参照ピッチの違い、微分音を扱う方法(ピッチベンド、MIDIチューニング)を理解すると、実務でのトラブルが大きく減ります。デジタルとアコースティックの橋渡しとしてのノートナンバーの性質を意識しておくことが、クリエイティブな制作において重要です。

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参考文献