境界を越え続ける旋律と革新――レディオヘッドの歩みと遺産

レディオヘッドは、1985年に「On A Friday」として結成され、1992年のシングル「Creep」で世界的な注目を集めた後、アルバム『Pablo Honey』から『A Moon Shaped Pool』まで一貫して音楽的境界を押し広げてきました。デビュー初期からエレクトロニカ、ジャズ、ミニマリズム、そして古典音楽まで取り込む実験的サウンドを展開し、特に『OK Computer』は90年代末の社会的不安を象徴する作品として高く評価されています。また、2007年の『In Rainbows』で採用した“Pay What You Want”モデルは業界に革新をもたらしました。さらに、スティーヴ・ライヒによる『Radio Rewrite』やコリン・グリーンウッド自身の写真集『How to Disappear』など、古典音楽や視覚芸術の領域にも影響を及ぼし続けています。

🎶 結成と初期の軌跡

レディオヘッドは英国オックスフォードシャー州アビンドンの学校仲間で結成され、当時は「On A Friday」と名乗っていました。メンバーはトム・ヨーク(ボーカル、ギター、ピアノ)、ジョニー・グリーンウッド(リードギター、キーボード、オンデ・マルトノ)、コリン・グリーンウッド(ベース)、エド・オブライエン(ギター、バッキングボーカル)、フィル・セルウェイ(ドラム、パーカッション)の5人組です。1991年にEMIと契約を結び、1992年にシングル「Creep」をリリース。メジャーデビュー曲ながら強烈な自己嫌悪を歌った歌詞とヘヴィなギターリフで瞬く間にヒットし、バンドの名を世界に知らしめました。

📀 アルバムごとの進化

『Pablo Honey』 (1993)

デビューアルバム『Pablo Honey』は、グランジ/オルタナティヴ・ロックサウンドを前面に押し出し、シングル「Creep」を含む全11曲で構成されます。

『The Bends』 (1995)

2ndアルバム『The Bends』ではメロディアスなギターオリエンテッドなアプローチを深化させ、ポスト・ブリットポップの旗手として評価を高めました。

『OK Computer』 (1997)

テクノロジーへの不安や現代社会の疎外感をテーマにした『OK Computer』は、複雑なプロダクションと哲学的歌詞で90年代の音楽シーンに革命を起こし、Rolling Stone誌の「オールタイム・ベストアルバム」にもランクインするなど、現在も高く評価されています。

『Kid A』 (2000)/『Amnesiac』 (2001)

エレクトロニカ、ジャズ、ミニマリズムを大胆に融合させた『Kid A』はファンを二分しつつも批評家から絶賛を受け、直後の『Amnesiac』では未発表曲や実験音源を披露しました。

『In Rainbows』 (2007)

7thアルバム『In Rainbows』ではデジタル配信時に“Pay What You Want”モデルを導入し、約40%の購入者が平均6ドルを支払ったことで業界に大きな衝撃を与えました。

『The King of Limbs』 (2011)/『A Moon Shaped Pool』 (2016)

8thアルバム『The King of Limbs』ではリズムとサンプリングを極め、9thの『A Moon Shaped Pool』ではジョニー・グリーンウッドのオーケストレーションが際立ちました。

🌐 音楽的影響と評価

『The Bends』はコールドプレイやミューズなどポスト・ブリットポップ世代のバンドに多大な影響を与えました。ミニマリズム作曲家スティーヴ・ライヒは『Everything in Its Right Place』などを下敷きに『Radio Rewrite』を発表し、ポップとクラシックの溝を埋めました。マーキュリー・プライズ最多ノミネートを誇るほか、グラミー賞や各国の音楽賞でも数々の候補・受賞歴を持ち、高い評価を受け続けています。

🎤 ライブとファンとの絆

2001年の北米ツアーでアメリカ市場を制覇し、以来スタジアム級の動員力を誇るライブバンドとして知られます。2001年ツアー音源をまとめたライヴアルバム『I Might Be Wrong: Live Recordings』では、アコースティック演奏を含む多彩なセットリストを披露しました。

🌱 社会的活動と革新

トム・ヨークは気候変動問題に取り組み、アーティストとしての責任を問う公開書簡を著名ミュージシャンと共に発表しています。また、“Pay What You Want”という革新的リリース戦略は、アーティストがデジタル権利を保持しながら新たなファンとの関係を築くモデルとして注目を浴びました。

📸 最近の動向

2024年にはコリン・グリーンウッドが写真集『How to Disappear』を刊行し、バンドの舞台裏を親密に切り取った作品を発表しました。さらにトム・ヨークとジョニー・グリーンウッドからなる“The Smile”は、レディオヘッドの実験精神を受け継ぐ新プロジェクトとして話題を呼んでいます。

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