『Charles Manson Sings』:狂気とフォークが交錯する全貌解剖
『Charles Manson Sings』は、ESP-Diskから2006年1月24日にリリースされた編集盤で、1967年のスタジオ・セッション音源14曲(当時Awareness Recordsから限定プレスされた『Lie: The Love and Terror Cult』収録曲)と、2003年のプライベート・プレス盤『All the Way Alive』から12曲をデジタル・リマスターで再構成した全26曲を収録しています。
プロデューサーを務めたPhil Kaufmanは自己資金で初版をプレス後、ESP-Diskと契約して全国流通させ、コーラスにはMansonファミリーの女性メンバーが参加。素朴なアコースティック・フォークの装いながら、その裏側に潜むカルト的狂気が議論を呼び、現在ではコレクターズ・アイテムとして高い価値を誇ります。
概要
本作はESP-Diskのカタログ番号ESP 2003でCDフォーマットとして公式リリースされた初の作品です。収録時間は約56分41秒におよび、1967年9月11日録音の初期セッション音源と、2003年プライベート・プレス盤からのライヴテイクを含む全26曲で構成されています。
録音と制作背景
1967年9月11日のスタジオ・セッションではCharles Manson自身がアコースティック・ギターを弾き語り、その後1968年に一部オーバーダブを施す形で完成しました。プロデューサーのPhil Kaufmanは、当初Awareness Recordsレーベルから約2,000枚を私費プレスし、後にESP-Diskと契約して再リリース。この過程で、Mansonファミリーの女性メンバー(Nancy Pitman、Sandra Goodなど)がバックコーラスとして参加し、不気味なハーモニーを重ねています。
収録内容と楽曲分析
- Look at Your Game, Girl
抑制されたギター伴奏に乗せた穏やかな語り口が、歌詞の裏に潜む不穏さを際立たせます。 - People Say I’m No Good
シンプルなコード進行ながら、自嘲的かつ狂信的なテーマがMansonのキャラクターを浮き彫りにします。 - Mechanical Man/Ego/Home Is Where You’re Happy
いずれもフォークの形式を借りつつ、その中に暗い展望と病的願望を織り交ぜた構成です。 - All the Way Alive(2003年素材)
より生々しいヴォーカルが印象的で、プライベート・プレス盤ならではの臨場感を伝えます。
音楽的特徴とテーマ
全編を通じてアコースティック・ギターと囁くようなヴォーカルが基調となり、愛と恐怖、自己陶酔と破滅願望が交錯します。一見フォーキーな佇まいながら、その裏に横たわるカルト的狂気が独特の「異形の美学」を醸し出しています。
批評・論争
リリース当初から、Mansonの凶悪事件と音楽を結びつける試みに倫理的批判が噴出し、一部店舗では販売を拒否されるケースも見られました。一方で近年は文化研究や音楽史の観点から再評価が進み、60年代カウンターカルチャーの貴重な資料として注目を集めています。
コレクタブル性と現状
DiscogsではESP-Disk初版LP(Awareness Records表記含む)の良好なコンディション品が高額で取引され、CD再発盤でも限定数プレスのためプレミアが付くことがあります。2024年には再プレスの噂も流れ、コレクター市場で再び注目を浴びました。
結論
『Charles Manson Sings』は、フォーク音楽の皮膜に狂気とカルト性を封じ込めた異色の編集盤であり、リリースから20年を経た現在でもその不気味な魅力と歴史的意義は色あせることがありません。音楽的評価を超えた文化的ドキュメントとして、今後も研究・コレクションの対象となることでしょう。
参考文献
https://en.wikipedia.org/wiki/Charles_Manson_discography
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