保存版:The Move 必携アルバム&名シングル聴きどころとレコード購入ガイド
はじめに — The Move を再評価する理由
1960年代後半から1970年代初頭にかけて、英国で独自のポップ/サイケデリック/ハード寄りロックを展開したバンド、The Move。ロイ・ウッド(Roy Wood)を中心に、カール・ウェイン(Carl Wayne)、トレヴァー・バートン(Trevor Burton)、ビヴ・ビーヴァン(Bev Bevan)らが在籍し、後にジェフ・リン(Jeff Lynne)が参加してELO(Electric Light Orchestra)へと繋がる重要な過渡期シーンを担いました。
このコラムでは、The Move の代表曲と「買っておきたい」レコード(アルバム/シングル/コンピ)をピックアップし、それぞれの魅力・聴きどころ、購入時のポイント(どのタイトル・エディションが面白いか)を解説します。音質やプレスの細かなメンテナンス方法そのものには触れませんが、リリースの特徴や歴史的価値を重視しておすすめ盤を紹介します。
バンドの音楽的特徴と歴史的意義
- 幅の広い作風:初期はモッド/ポップ寄りの短いヒット曲を連発しつつ、後期はハード/プログレ寄りの大曲や複雑なアレンジも導入。ポップ・センスと野心的なアレンジが同居します。
- シングル志向の巧みさ:英国チャートを賑わせたシングル群(「Night of Fear」「I Can Hear the Grass Grow」「Blackberry Way」など)は短時間でのインパクトと独創的なサウンドプロダクションが魅力。
- ELO への橋渡し:ジェフ・リンの参加を経て、ロイ・ウッドとジェフ・リンの作曲/プロデュース感覚が融合。The Move の後期作品にはELO的なメロディ志向やオーケストレーション志向の萌芽が見えます。
必携アルバムとその聴きどころ
The Move(1968)
デビュー・アルバム(タイトルは国によって差異あり)。初期のポップ/サイケ路線が集約されており、シングル志向の短い名曲群が並びます。プロダクションは当時の英国ポップの典型的なサウンドですが、ロイ・ウッドのメロディセンスが明確に出ています。
- 聴きどころ:初期のシングル曲群、ポップでキャッチーなメロディライン
- 購入のポイント:オリジナル盤はコレクターズ・アイテム。近年のリマスターCDや正規再発LPで手軽に高音質を楽しめます。
Shazam(1970)
バンドの方向性がより多様化し、時に重厚なアレンジやサイケの実験性も見せる作品。アルバム全体での構成力が増しており、ロック的なダイナミズムも感じられます。
- 聴きどころ:「Brontosaurus」に代表されるヘヴィな曲調や、ロイ・ウッドの多彩な楽器使い。
- 購入のポイント:オリジナルのアナログ盤は音の厚みが魅力だと言われますが、再発でボーナストラックや別ミックスが付くこともあります。
Looking On(1970)
バンドとしてまとまりを見せた上で、より成熟したソングライティングとアレンジを提示した作品。ELO の萌芽のような要素が顔を出す曲もあり、ロイ・ウッドの創作力がピークを迎えた時期の一つです。
- 聴きどころ:シングル曲とアルバム曲のバランスが良く、楽曲のクオリティが安定している点。
- 購入のポイント:国内外の再発が複数あるため、ライナーノーツやボーナスの有無を確認して選ぶとよいでしょう。
必聴シングル(45回転)
The Move はシングルでのヒットが多く、45回転盤で聴くとその瞬発力がよく伝わります。代表的なシングルを挙げます。
- Night of Fear(1966)— 初期のヒット。ファズやギターの歪みが印象的。
- I Can Hear the Grass Grow(1967)— ポップかつサイケデリックな名曲。ロイ・ウッド作の代表作。
- Flowers in the Rain(1967)— プロモーションが物議を醸したヒット曲(後述のエピソードあり)。
- Blackberry Way(1968)— UKチャートで成功したメランコリックなポップ・ソング。
- Fire Brigade(1968)— パンチのある演奏とキャッチーなコーラスが魅力。
- Brontosaurus(1970)— ヘヴィ路線の代表。バンドの音楽変化を示す重要曲。
注目のエピソード:Flowers in the Rain とプロモーション事件
「Flowers in the Rain」は大ヒット曲ですが、プロモーション用ポスター(マネージャーのトニー・セカンダによる風刺画)が当時の首相ハロルド・ウィルソンを侮辱したとして訴訟になり、裁判で著作権や肖像権の絡む判決が出ました。結果的にこの作品の印税は長年にわたりチャリティに回されるなど、単なるヒット曲以上の社会的話題性を帯びました。
コンピレーション/リマスター盤のススメ
初期シングル中心に聴きたい場合や、アルバムの入手が難しい場合はまとまったコンピレーションが便利です。時代順に整理されたアンソロジーや、シングル・B面を収めた編集盤は、バンドの変遷を一気に把握するのに適しています。
- 選ぶ際のポイント:オリジナル・モノ/ステレオの違い、別テイクや未発表曲の有無、リマスターの有無をチェック。
- おすすめ:オフィシャルなボックスセットやレーベル信頼のリマスター盤は、解説や未発表音源が付くことが多くコストパフォーマンスが高いです。
どの盤を買うべきか(初心者〜コレクター別ガイド)
- まずは音楽を知りたい初心者:代表曲を網羅したベスト盤や定番のコンピレーション/リマスターCD。手軽に名曲群を聴けて、アルバム購入の判断材料になります。
- アルバムの世界観を味わいたいリスナー:Shazam や Looking On の正規再発LP/CD。アルバム単位で曲のつながりやアレンジの妙を楽しめます。
- コレクター/アナログ志向:オリジナルUKプレスのシングルやアルバム。状態の良いブラックラベル/初回仕様はコレクターズアイテムです。ただし相場はアイテムによって大きく異なります。
聴きどころ(トラック別の短コメント)
- Night of Fear:ギターとファズの効果でサイケ色を短時間に凝縮。
- I Can Hear the Grass Grow:メロディの良さと独特のサウンド・プロダクションが際立つ。
- Blackberry Way:アコースティック寄りのメロウな名曲。チャートヒットとしても重要。
- Fire Brigade:エネルギッシュでポップなロック。
- Brontosaurus:ヘヴィで重心の低いサウンド—バンドの音楽的拡張を示す曲。
最後に:The Move を聴く意義
The Move は「ヒット志向のポップ」と「実験的/重厚なロック」の両方を併せ持ち、英国ロック史の中で過渡的かつ実験的な位置を占めます。ロイ・ウッドの独創的な曲作りや、後のELOへ繋がる音楽的素材を楽しむには最適なバンドです。アルバム単位で揃えるのも良し、名曲シングルを集めて瞬発力を味わうのも良し——あなたの聴き方に合わせてぜひ手に取ってみてください。
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