Procol Harum(プロコル・ハルム)入門:『A Whiter Shade of Pale』から聴くべき名盤と魅力
プロフィール
Procol Harum(プロコル・ハルム)は、1967年にイギリスで結成されたロック・バンドで、プログレッシブ・ロックやバロック・ポップの源流のひとつとされます。リード・シンガー/ピアニストのゲイリー・ブルッカー(Gary Brooker)が中心人物で、非演奏メンバーとしての作詞家キース・リード(Keith Reid)による文学的で謎めいた歌詞、そしてマシュー・フィッシャー(Matthew Fisher)のハモンド/オルガンを軸にした独特のサウンドが特徴です。1967年のデビュー・シングル「A Whiter Shade of Pale」が世界的な大ヒットとなり、一躍国際的な注目を集めました。
音楽的特徴と魅力
Procol Harumの魅力は、ロックの骨格にクラシック(特にバロック)やゴスペル、ブルース、サイケデリアの要素を重ねた深いハーモニーと叙情性にあります。以下の要素が際立っています。
- ハモンド/オルガンを中心に据えた荘厳で牧歌的なサウンド。
- キース・リードの詩的で暗示的な歌詞。明確な物語を語らないぶん、聴く者の想像力を刺激します。
- ゲイリー・ブルッカーの抑制の効いたが表現力豊かなヴォーカルとピアノ。
- ロビン・トロワーなどのギターが加わると、ブルースやサイケ色が強まり、対照的な色合いが生まれる点。
- 楽曲構成におけるクラシック的な対位法や進行の採用で、ロックでありながら「古典的な深み」を持つ。
代表曲とその魅力
代表曲を挙げると、まず外せないのが「A Whiter Shade of Pale」。
- A Whiter Shade of Pale — 1967年発表。バロック音楽を思わせる和声進行と、マシュー・フィッシャーの印象的なオルガン導入句が特徴。抽象的で象徴的な歌詞とあいまって、時代を超えた哀愁と神秘性を放つ一曲です。リリース当時は大ヒットを記録し、現在でもクラシックとロックが交差する名曲として評価されています。
- Homburg — デビュー後のシングル。哀愁を帯びたメロディと内省的な歌詞で、A面曲に続く代表作となりました。
- Conquistador — ライブ録音が特に有名なナンバーで、劇的な展開と雄大なサウンドが魅力。スタジアム映えするダイナミズムがあります。
- A Salty Dog — 同名アルバムのリード曲。オーケストラ的なアレンジと叙情的な物語性で、バンドの成熟を象徴する一曲です。
- In Held 'Twas in I (Shine On Brightly) — アルバム『Shine On Brightly』に収められた組曲的な長尺曲。プログレッシブな実験性と組曲構成の先駆け的作品として評価されています。
名盤ガイド(選集)
- Procol Harum (1967) — デビュー・アルバム。A Whiter Shade of Paleを含む、バンドの原点が詰まった一枚。バロック風味とポップ感覚の併存が聴けます。
- Shine On Brightly (1968) — 組曲的、プログレ志向が色濃く出た意欲作。実験性と叙情性が同居しています。
- A Salty Dog (1969) — オーケストラルで映画的な響きを獲得した、バンドの代表的傑作のひとつ。楽曲の描写力が非常に高いアルバムです。
- Home (1970) — より内省的で抒情性の高い作品。バンドの成熟がうかがえます。
- Broken Barricades (1971) — ロビン・トロワー在籍期のラスト近くにあたり、ブルース/ロック色が強まった作品。トロワーのギターワークが光ります。
- Grand Hotel (1973) — より洗練されたプロダクションで、ポップさと大作感が混在する作品。1970年代前半の“大人のロック”を体現しています。
人間関係・メンバーの動向
Procol Harumは結成以来メンバー交代が多く、各時期で色合いが変わるのも魅力の一つです。ロビン・トロワーは在籍時にブルース/サイケ的ギターで存在感を放ち、のちにソロで大成功を収めました。作詞家キース・リードはライブでは演奏しない“非演奏メンバー”という珍しい立場で、バンドの文学的側面を担いました。長年にわたる活動の中でメンバーの脱退や復帰を繰り返しつつも、ゲイリー・ブルッカーを中心に音楽的な一貫性を保ってきました。
歴史的・文化的意義
Procol Harumは、クラシック音楽の手法をロックに取り入れる試みを早期に行い、その「バロック風ロック」スタイルは後のプログレッシブ・ロック、バロック・ポップ、オルタナティヴなロックの形成に影響を与えました。抽象的で寓意に満ちた歌詞、美しいメロディ、そして器楽的な洗練は「ロックという媒体での大作志向」を示し、多くのミュージシャンに刺激を与えています。
注意しておきたいエピソード
- 「A Whiter Shade of Pale」のオルガン導入部に関して、作曲上の貢献を巡る長年の論争がありました。導入句が曲の象徴的な要素であることから、後年にその貢献を巡る法的議論が起きています(詳細は各種資料を参照してください)。
- ゲイリー・ブルッカーはバンドの顔として長年活動しましたが、2022年に他界し、その訃報は多くのファンや音楽関係者に衝撃を与えました。これにより、ある種の時代の区切りが訪れたとも言えます。
なぜ今聴くべきか
クラシックとロックを自然にブレンドしたそのサウンドは、現代のリスナーにも十分響きます。歌詞の曖昧性や楽器の織りなす陰影は、単なる「懐古」ではなく、映画やドラマのサウンドトラックのように情景を喚起します。ロックのルーツやプログレの発展史に興味がある人だけでなく、深い叙情性や物語性のある音楽を求める人に特におすすめです。
まとめ
Procol Harumは、ロックの中にクラシックの気品と詩的な言葉を持ち込んだバンドとして重要な足跡を残しました。代表曲「A Whiter Shade of Pale」を起点に、アルバムごとに異なる表情を見せる豊かな音楽世界は、一度聴くと忘れがたい余韻を残します。バンドのディスコグラフィーを追うことで、60年代後半から70年代前半にかけてのロック音楽の変遷と創意を深く味わうことができます。
参考文献
- Official Procol Harum Website
- Procol Harum - Wikipedia
- Procol Harum | AllMusic
- Gary Brooker obituary | The Guardian
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