スティーヴ・ハケット入門:初心者〜コアファン必聴のおすすめアルバム7選と盤の選び方

イントロダクション — Steve Hackettとは

Steve Hackett(スティーヴ・ハケット)は、Genesis在籍時の独創的なギターワークで知られるイギリスのギタリスト/作曲家で、ソロ活動ではプログレッシブ・ロックを軸にフォーク、クラシック、ワールド・ミュージックやポップ寄りの楽曲まで幅広く探究してきました。ギター表現の幅(フィンガーピッキング、ハーモニクス、タッピングやエフェクトの創意)と、作曲面での叙情性・構築力が魅力です。本コラムでは「入門〜コア・ファン向け」におすすめするレコードを選び、それぞれの聴きどころやコレクション上の価値、どんなリスナーに向くかを深掘りして紹介します。

おすすめレコード(厳選)

  • Voyage of the Acolyte (1975)

    ソロ・デビュー作で、Genesis在籍期の副産物ではなく、ハケット自身の音楽的嗜好が早くも明確に表れた作品。プログレッシブな構成にアコースティックやクラシカルな要素が織り込まれており、ギター・インストゥルメンタル的な美しさと短い歌もののバランスが良いです。ハケットの初期ソロ表現を押さえたいなら必聴。

    聴きどころ:メロディ描写、ギターによる物語性、Genesisの影響と異なる個人性。

  • Please Don't Touch (1978)

    前作からの発展を感じさせる実験的な試みと、大編成やゲストを迎えたバラエティ豊かな楽曲群を含むアルバム。ロック的な側面と叙情的なアレンジが混在し、ハケットの作曲の幅を理解する上で重要です。

    聴きどころ:アレンジのスケール感、多彩な楽器編成、ロックとクラシックの交差。

  • Spectral Mornings (1979)

    ハケットの代表作のひとつ。タイトル曲をはじめとする叙情性の高い楽曲が並び、メロディの良さとギター表現の豊かさが際立ちます。プログレ愛好家のみならずメロディ志向のロック・リスナーにも刺さる一枚。

    聴きどころ:タイトル曲のギター・フレーズ、感情の揺れを描くアンサンブル、ライブでの定番曲の原型。

  • Defector (1980)

    バンド感の強い録音で、よりタイトでパワフルなロック寄りの作品。歌ものが中心になり、プロダクションも洗練されています。ハケットのソロ活動の中で「バンドとしての一体感」を味わえるアルバムです。

    聴きどころ:リズム隊との相互作用、エッジの効いたギター・ソロ、歌詞のテーマ性。

  • Bay of Kings (1983)

    完全アコースティック(クラシカル寄り)のギター・アルバム。ハケットが古典的なギター表現やフォーク/古楽への傾倒を示した作品で、技巧と叙情が研ぎ澄まされています。ギタリストやアコースティック・サウンドをじっくり味わいたい人に強く薦めます。

    聴きどころ:指弾きの美しさ、アルバム全体を通した統一感、ギター・アレンジの細部。

  • Time Lapse (Live, 1981)

    初期ソロ活動期のライブを収めたアルバムで、スタジオ作とは別の躍動感や即興性が楽しめます。スタジオ盤の楽曲をライブでどう表現しているか、バンドのアンサンブル感を確かめるのに最適です。

    聴きどころ:ライブならではのダイナミクス、ギターの生々しい音色、アレンジの変化。

  • Genesis Revisited(シリーズ)

    自身の在籍したGenesis楽曲を再解釈・再録音したプロジェクト。オリジナルへのリスペクトを保ちつつ、ハケット流のアレンジやゲスト・ミュージシャンの個性が加わるため、新旧のリスナー両方に興味深いリスニング体験を提供します。

    聴きどころ:原曲の再発見、ハケットのソロ表現とGenesisナラティブの接続点。

各アルバムの楽しみ方と聴く順序の提案

  • まずは「Spectral Mornings」→「Voyage of the Acolyte」
    メロディとギター表現の魅力を手早く味わえるので入門に最適。続けてデビュー作でハケットの原点的嗜好を確認すると理解が深まります。

  • ロック寄りを楽しみたいなら「Defector」「Please Don't Touch」
    バンド感やアレンジの豊富さを味わいたいときに。歌ものやドラマ性の強い楽曲が多く、ライブで盛り上がるタイプの曲も含まれます。

  • ギターの技巧やアコースティックを楽しむなら「Bay of Kings」
    静謐さや技巧の美を堪能したいときに最適。ギタリストやアコースティック・ファンに響きます。

  • Genesisの再解釈に興味があれば「Genesis Revisited」シリーズ
    Genesisファンはオリジナルと比較しながら聴くと新たな発見があります。

どの盤を買うべきか(オリジナル盤・再発盤の選び方)

  • コレクター志向ならオリジナル・アナログ盤(リリース国やレーベルによってマトリクス違い・ジャケット差異があることがある)を探すと楽しみが増します。

  • リマスターやボーナス・トラックを重視するなら公式リマスターCDや高音質の再発盤(メーカーによるリマスター盤)もオススメ。再発には未発表曲やライブ音源を収録したものもあり、アルバムの別側面を知る手がかりになります。

  • ライブ音源や復刻盤はアルバムごとに音質傾向が異なるため、試聴できるなら先に音源をチェックしてから入手するのが安心です。

聞きどころのポイント(ギター/作曲面で)

  • フィンガーピッキングとピック奏法の使い分け:表現の幅を理解すると各曲のニュアンスが分かる。

  • モチーフの反復と発展:短い主題が曲中で変奏されて行く様子に注目すると構築美が味わえます。

  • アンサンブルとの対話:ギターがリードする場面と伴奏に回る場面の使い分けにより、楽曲のドラマが生まれます。

  • 静と動のコントラスト:アコースティックな静謐パートとロック的な爆発パートの対比が魅力の一つです。

どんなリスナーにおすすめか

  • Genesisファン:在籍期の延長線上とソロ独自性の両方を楽しめます。

  • ギター志向のリスナー:テクニックと表現力の両面で学びと楽しみがあります。

  • プログレッシブ・ロック入門者:メロディ志向で聴きやすい曲も多く、敷居が比較的低い作品もあります。

  • アコースティック/クラシック寄りのギター音楽好き:『Bay of Kings』などがフィットします。

最後に

Steve Hackettはキャリアを通じて常に自分の表現を更新してきたアーティストです。今回挙げた作品群はその多様性を示す良いサンプルであり、聴く順や盤の選び方次第で新たな側面が次々と見つかるはずです。まずは代表的なアルバムから入り、気に入った方向性(ギター技巧/叙情的メロディ/アコースティック)に沿って掘り下げていくことをおすすめします。

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