ミック・ジャガー必聴レコード厳選ガイド:ソロ&ローリング・ストーンズの聴きどころと最適な聴き順

はじめに — ミック・ジャガーという存在

ミック・ジャガーはロック史における稀有なフロントマンであり、ローリング・ストーンズの顔としてだけでなく、ソロ・アーティストとしても独自の道を歩んできました。本コラムでは、Mick Jagger(ミック・ジャガー)の「聴くべきレコード」を厳選して深掘りします。ソロ作とローリング・ストーンズの代表作を織り交ぜ、曲の魅力や制作背景、聴きどころを解説します。レコード自体の再生・保管・メンテナンスについての解説は含めません。

聴く順のガイドライン

まずどこから聴けばよいか迷う方へ。

  • 「ソロのジャガー」を知りたい → ソロ第1作『She's the Boss』(1985)、続いて『Wandering Spirit』(1993)
  • 「ストーンズでのジャガー」を深く味わいたい → 1968〜1972年のアルバム(『Beggars Banquet』〜『Exile on Main St.』)を推奨
  • ポップで直球のヒット曲を楽しみたい → 『Some Girls』(1978)や『Tattoo You』(1981)

ソロ作:Mick Jagger の個的表現を知るための4枚

She's the Boss(1985)

ジャガーのソロ・デビュー作。80年代サウンドを前面に押し出しつつ、彼のボーカル・エネルギーとポップセンスが際立つ作品です。

  • 代表曲:「Just Another Night」「Lucky in Love」
  • 聴きどころ:ダンサブルでシンセを取り入れたプロダクションと、ジャガーらしいリズム感。メインストリーム志向のアレンジが多数。
  • 制作/参加ミュージシャン:ロビー・キングらプロデューサー、ストリングスや当時のセッション・ミュージシャンの起用。
  • 注目点:ストーンズとは異なる“個人”としてのヒット志向が見える、分岐点的作品。

Primitive Cool(1987)

ソロ第2作。前作の延長線上にありつつ、曲作りにおける迷いや模索が感じられるアルバムです。

  • 代表曲:アルバム全体はコンセプト的な統一感よりも個々の曲の表情が光る
  • 聴きどころ:ラフで生々しいトーンが時折顔を出し、ジャガーのボーカル表現の幅を観察できる。
  • 批評的には賛否両論だが、ジャガーの“試行”を記録した貴重作。

Wandering Spirit(1993)

ソロ作の中でも評価が高く、ストレートなロックンロール感とブルース/R&B要素を強く感じさせる1枚。

  • 代表曲:「Sweet Thing」「Don't Tear Me Up」
  • 聴きどころ:ギターの生演奏、タイトなバンド・サウンド、そしてジャガーの熟成した歌が魅力。前ソロ作よりも“ロック回帰”の色合いが強い。
  • 参加ミュージシャン:多数の一流セッション/ゲストを迎え、シンプルながら表情豊かなアレンジ。

Goddess in the Doorway(2001)

新世紀に入っての作品。ポップな側面と成熟した歌心が共存しています。批評では賛否ありつつも、ジャガーの多面的な魅力が見える作品です。

  • 代表曲:「Dancing in Light」「Hideaway」
  • 聴きどころ:モダンな制作感と往年のブルース/ロック要素のブレンド。ゲストの存在感も注目ポイント。

ローリング・ストーンズで押さえるべき“ジャガー像”が見える名盤

ストーンズ作品は、バンドとしての創作過程の中でジャガーの個性が発露する場です。ここでは「歌手/ソングライター」としてのジャガーを強く感じられる名盤を選びました。

Beggars Banquet(1968)

ストーンズのルーツ回帰を示す重要作。フォーク/ブルースを土台に、ジャガーの歌とリリシズムが深みを持ち始めます。

  • 代表曲:「Sympathy for the Devil」(※実際の収録は『Beggars Banquet』ではないと誤解されがちですが、この時期の作風を理解するうえで必聴)
  • 聴きどころ:ルーツ・ミュージックへの回帰が、ジャガーの語り口とボーカル表現をより骨太にした。

Let It Bleed(1969)

ジャガーのボーカリストとしての魅力と、暗く重厚な世界観を伴った代表作。時代性と個人的な表現が結びついたアルバムです。

  • 代表曲:「Gimme Shelter」「You Can't Always Get What You Want」
  • 聴きどころ:歌唱のダイナミクス、物語性のある歌詞、そして酸いも甘いも噛み分けたようなジャガーの表現。

Sticky Fingers(1971)

ジャガーとリチャード・ロジャースらが作り出すソングライティングの黄金期を象徴する作品。ブルース、カントリー、ロックの融合が見事。

  • 代表曲:「Brown Sugar」「Wild Horses」
  • 聴きどころ:メロディ・ラインと歌詞の対話。ジャガーの感情表現の幅が広がった時期。

Exile on Main St.(1972)

多くの批評家が傑作と認めるアルバム。混沌とした録音事情の中で生まれた“泥臭さ”が魅力で、ジャガーのボーカルは荒々しくも説得力があります。

  • 代表曲:「Tumbling Dice」「Happy」
  • 聴きどころ:録音の雰囲気、ゴスペルやR&Bへの接近、そしてジャガーのシャーマンのような存在感。

Some Girls(1978)

パンクやディスコの台頭に応じて変化したストーンズのサウンド。ジャガーの商業的な嗅覚と表現力が結実した作品です。

  • 代表曲:「Miss You」「Beast of Burden」
  • 聴きどころ:ポップさとロックの境界を行き来する柔軟さ。ヒット曲の中に骨太のロックが同居。

Tattoo You(1981)

ストーンズのヒット曲「Start Me Up」を含むアルバム。ライブでの定番曲が多く、ジャガーのパフォーマンス性がよく現れています。

  • 代表曲:「Start Me Up」「Waiting on a Friend」
  • 聴きどころ:スタジオ録音の断片をつなぎ合わせた独特の制作スタイル。ジャガーのボーカルの多面性が楽しめる。

各アルバムを深く味わうための聴き方メモ

  • 歌詞に注目:ジャガーはしばしば社会的・人間関係的なテーマを歌詞に織り込む。英語歌詞を追うと新たな発見がある。
  • 時代背景を手がかりに:各アルバムの制作年・社会情勢・音楽潮流(R&B、ブルース、パンク、ディスコ等)を押さえると、選曲やアレンジの理由が見える。
  • ソロとバンドの使い分け:ソロ作は「個人的な試み」や外部のプロデューサーとのコラボ色が強く、ストーンズ作はバンドの相互作用(特にリチャード・ローリングスとの相乗効果)を強く感じられる。

まとめ — ジャガーを聴く楽しさ

ミック・ジャガーは単なる“伝説のフロントマン”にとどまらず、時代ごとに変わる音楽的文脈に対して柔軟に反応し、自己表現を更新してきた人物です。ソロ作は彼の個人的な色合いを、ストーンズの名盤群はバンドという共同体の中での彼の役割を強く示します。いくつかのアルバムを通して歩くことで、歌い手としての成長、そしてロックの多様性を堪能できるでしょう。

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