Marc Almond(マーク・アルモンド)徹底ガイド:Soft Cell~ソロ名盤・代表曲と聴きどころ

Marc Almond — プロフィールと魅力を深掘り

Marc Almond(本名:Peter Mark Sinclair Almond、1957年7月9日生まれ)は、イギリス出身の歌手・ソングライターであり、1980年代のシンセポップ/ニュー・ウェイヴ・シーンで一躍注目を浴びた存在です。Soft Cellとしてのヒットで世界的に知られる一方、ソロ転向後はカバレット(キャバレー)やトーチソング、ヨーロピアンな演歌性を取り入れた多彩な作品群を発表。耽美的で演劇的な歌唱表現と、アウトサイダー的な感性で長年にわたり独自のポジションを築いてきました。

簡単な経歴概略

  • 1970年代末、David Ballと共にエレクトロニック・デュオ「Soft Cell」を結成。
  • 1981年、Gloria Jonesのカバー「Tainted Love」が世界的ヒットとなり、同年リリースのアルバム『Non-Stop Erotic Cabaret』でブレイク。
  • Soft Cellの活動停止後はソロ活動に専念し、カバー曲集やオリジナル作を発表。ジャック・ブレルのカバーやロシアのロマンス曲を取り上げるなど、ジャンルを横断するリリースで知られるようになる。
  • 1989年にはGene Pitneyとデュエットした「Something's Gotten Hold of My Heart」が英国チャートで大ヒット(1位)を記録。
  • 以降もポップ、バラード、カバレット、トラディショナル曲など幅広く探求し続けている。

代表曲・名盤(聴きどころ)

  • Soft Cell — 「Tainted Love」:シンプルなシンセ・アレンジと切迫した歌声で世界的ヒットに。Marcのキャリアを象徴する一曲。
  • Soft Cell — 「Say Hello, Wave Goodbye」:夜の孤独や別れを描く名バラード。ドラマティックな展開が魅力。
  • Marc Almond(ソロ) — 「Tears Run Rings」:ソロ期の代表作のひとつで、叙情的なメロディと豊かな表現力が光る。
  • Marc Almond & Gene Pitney — 「Something's Gotten Hold of My Heart」:伝統的なポップ・バラードの解釈で英国チャート1位を獲得。
  • 名盤(おすすめアルバム) — Soft Cell『Non-Stop Erotic Cabaret』(1981)、Marc Almondのジャック・ブレル曲集(Brelカバー集/「Jacques」として知られる作品群)、ロシア民謡やロマンスを扱った『Heart on Snow』など。

音楽性と歌唱の魅力

Marc Almondの最大の魅力は、その歌声と表現力にあります。声質はしばしば“語り”と“歌”の狭間にあるような、ドラマ性の高い唱法で、メロディをただなぞるだけでなく物語や登場人物を歌い分けるかのようです。以下の要素が特徴的です。

  • エモーショナルな語り口:台詞的な歌唱や繊細な吐息、急に吐き出すような高揚感など、非常に演劇的。
  • ジャンルの横断性:シンセポップからカバレット、ブレルやロシア民謡まで、異なる音楽文化を自在に横断する。
  • 耽美性とアウトサイダー感:都会の夜や破滅的な愛、社会の周縁にいる人々への視線が歌詞に表れやすい。
  • ビジュアルと演出:アンドロジナス(中性的)で演劇的なステージ衣装やメイクによって、楽曲の世界観を拡張する。

ライヴ/ステージでの魅力

ライヴでは、楽曲を単に再現するのではなく一つの短いドラマや演目として見せる手腕に長けています。セットリストにポップなナンバーと劇的なバラード、カバー曲を織り交ぜ、MCも含めて観客を一つの物語世界に誘います。声の表現に幅があり、室内楽的な編成からフルバンドまで、どの編成でも説得力があります。

コラボレーションと影響

Marc Almondは多数のアーティストと共演やコラボレーションを行ってきました。ポップ/ニュー・ウェイヴの文脈だけでなく、根底にはカバレットやヨーロッパの古典的な歌唱文化への敬意があり、Jacques BrelやMarlene Dietrich、Scott Walker、デヴィッド・ボウイなどが影響源として語られます。これらの要素が、彼の作品に濃厚なドラマ性と独自性をもたらしています。

人物像と文化的意義

Marc Almondは単なる“ポップ・スター”ではなく、文化的に複数の役割を担ってきた人物です。性的少数者やアウトサイダーの視点を前面に出すこと、クラシックな歌唱表現をポップの文脈に持ち込むこと、そして演劇的な自己表現を通じて“歌うことの物語化”を実践してきました。これにより1980年代当時の若い世代だけでなく、その後の多様なアーティストにも影響を与えています。

初心者への入口(聴き方ガイド)

  • まずはSoft Cellの「Tainted Love」で彼のポップな面を体感。
  • 次に「Say Hello, Wave Goodbye」などのバラードで、物語を歌う感覚を味わう。
  • ソロ曲「Tears Run Rings」や、Gene Pitneyとのデュエット「Something's Gotten Hold of My Heart」で、ソロ期の表現力の深さを確認する。
  • 興味が湧いたら、Brelカバー集や『Heart on Snow』のような一風変わったテーマ作に触れて、彼の多才さを楽しむ。

まとめ

Marc Almondは、シンセポップのヒットメーカーとしての顔と、ヨーロピアンなカバレット/トーチソングの表現者としての顔を両立させた稀有なアーティストです。ドラマティックで耽美的な歌唱、ジャンル横断的な選曲、そして観る者を惹きつける舞台演出。音楽と演劇が溶け合ったような彼の表現は、いまなお強い魅力を放ち続けています。

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