Tortoiseの名盤完全ガイド|おすすめアルバムと効率的な聴き方・入門から深掘りまで
イントロダクション:Tortoiseとは何か
Tortoiseはシカゴ出身のインストゥルメンタル・バンドで、ポストロック/ポストジャズの重要バンドの一つです。ロック、ジャズ、ダブ、ミニマル、電子音楽などを大胆に融合させたサウンドは、1990年代以降のインディー/実験音楽シーンに強い影響を与えました。本コラムでは、初めて聴く人にも入口となる名盤群と、それぞれのアルバムをより楽しむための聴きどころを掘り下げて紹介します。
推薦アルバム一覧(必聴順ではなく代表作中心)
Tortoise(1994)
セルフタイトルのデビュー作。ローファイな感触と実験性が混ざり合った作品で、バンドの出発点を知るには最適です。曲の構造におけるリズムの遊びや、不協和でも心地よいテクスチャを感じられます。初期の生々しい演奏感とアイディアの断片が魅力。
聴きどころ:バンドが「ジャンルの壁」を壊す過程をダイレクトに味わえること。インスト中心ながらポップス的なフックが隠れている点にも注目。
Millions Now Living Will Never Die(1996)
Tortoiseを広く知らしめた名盤。ミニマルな反復とダイナミクスの急変が印象的で、ポストロック史に残る作品の一つです。アルバムの中心的トラック「Djed」は長尺の構築美を示し、多くのリスナーに強烈な印象を残しました。
聴きどころ:緻密なレイヤリングと展開。じっくり集中して聴くと、各パート(パーカッション、ベース、ギター、鍵盤、電子音)の相互作用がはっきり見えてきます。
TNT(1998)
ジャズや即興演奏の影響が色濃く出た、より「演奏性」を前面に押し出した作品。管楽器や鍵盤のフレーズが活き、バンドの表現領域が拡張されたアルバムです。即興的な演奏の妙とアンサンブルの緊張感が楽しめます。
聴きどころ:リズムの変拍子やテンポ変化、アンサンブルの呼吸感。ヘッドフォンで各楽器の定位を追うと新たな発見があります。
Standards(2001)
クラウトロックやダブ、電子音楽の影響を洗練させた作品。反復するグルーヴとモジュレーションを活かした作りで、Tortoiseの持つ「クールな実験性」が成熟した一枚です。
聴きどころ:ビートとテクスチャの微細な変化、空間系エフェクトの効かせ方。バックグラウンドで流しても芯がブレない音像が魅力。
It's All Around You(2004)
よりメロディックで温度感のある作品。前作までの実験性を残しつつ、楽曲のまとまりや“歌うような”楽器表現が目立ちます。リスナーへの親和性が高まり、聴きやすさと深さを両立したアルバムです。
聴きどころ:メロディの輪郭、楽曲毎の「風景」の作り方。夜や静かな時間に聴くと曲間のニュアンスがよく伝わります。
Beacons of Ancestorship(2009)
ダイナミクスとテクスチャのバランスが取れた近年作。過去作の要素を結び付けつつ新たなサウンドスケープへ到達しています。リズムの多様性とサウンドデザインの細やかさが光る一枚です。
聴きどころ:曲ごとに変わる「色合い」。かつての実験精神を保ちつつ、現代的な音響的アプローチが加わっています。
The Catastrophist(2016)
最新作群のひとつで、バンドとしての円熟味が感じられる作品。インスト中心ながらも歌の要素やゲストの参加がアクセントとなり、聴きやすさと芸術性のバランスが取れた一枚です。
聴きどころ:メロディとアンサンブルの統合。過去のファンにも新規の聴き手にも入りやすい構成になっています。
各アルバムの聞き分け方・聴取シチュエーション
- 集中して聴きたいとき:「Millions Now Living Will Never Die」や「TNT」。長尺の展開やアンサンブルの細部が楽しめるのでヘッドフォン/静かな環境が向く。
- 作業用・BGM:「Standards」や「Beacons of Ancestorship」。繰り返しのグルーヴが作業のテンポを保ちつつ飽きさせない。
- 入門編:「It's All Around You」やセルフタイトル作。メロディ寄り・聴きやすさが高く、Tortoiseの多様性を掴みやすい。
他アーティストとの相互作用・楽しみ方の広げ方
- 同時代のポストロック系(Slint、Mogwai、Godspeed You! Black Emperor等)や、Stereolabのような実験ポップ、ニューエイジ風のアンビエントと並べて聴くと、Tortoiseのユニークさが際立ちます。
- ジャズ・即興やクラウトロックへの関心があるなら、CanやNeu!、あるいはジャズのインスト作品と比較してみると、Tortoiseのアプローチの独自性が見えます。
- ライブ音源やリミックス集も、スタジオ盤とは違った解釈が楽しめるので、気に入ったアルバムがあれば掘ってみると新たな発見があります。
購入時の目安(どのエディションを選ぶか)
- オリジナルのThrill Jockey盤はリリース当時の音像が楽しめます。初版プレスはコレクターズアイテムになっている場合もあります。
- 近年の再発・リマスター盤はダイナミクスや音像が現代的に整えられていることが多く、プレイヤー環境がモダンならそちらを選ぶのも良いです。
- ヴァイナルでの音像差やプレス品質を重視する場合は、180gプレスや公式の再発(ラベル表記を確認)をチェックしてください。
まとめ:どこから聴き始めるか
まずは「Millions Now Living Will Never Die」を一枚聴いて、そこから「TNT」「Standards」「It's All Around You」をたどると、Tortoiseの発展と各時期の特徴を体系的に楽しめます。インスト中心ながら感情の振幅が大きく、何度も聴き返すことで新たな細部が見えてくるタイプの音楽です。好みのアルバムを見つけたら、近年作やライブ音源へも広げてみてください。
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参考文献
- Tortoise - Wikipedia
- Tortoise | Thrill Jockey (公式ページ)
- Tortoise | AllMusic
- Tortoise Discography | Discogs
- Pitchfork review: Tortoise — TNT


