在来浴室とは?メリット・デメリット・ユニットバスとの違いをわかりやすく解説

1. 在来浴室とは?

在来浴室(ざいらいよくしつ)とは、床・壁・天井・浴槽などを1つずつ現場で組み上げ、職人が施工するオーダーメイド型の浴室のことです。

木造・鉄骨・RCなど建物の構造に合わせて自由に作れるため、
昔の戸建て住宅や旅館、高級住宅では主流の工法でした。

対して、現在主流の**ユニットバス(システムバス)**は工場で製造したパーツを現場で組み立てる方式で、
在来浴室と比較されることが多いです。


2. 在来浴室の構造

在来浴室は以下のように、多くの工程を現場で行います。

  • :モルタル仕上げ、タイル仕上げ、石材仕上げ
  • :タイル・木材・FRP・左官など多様
  • 天井:木目仕上げ、アルミパネル、塗装仕上げ
  • 浴槽:鋳物ホーロー、ステンレス、FRP、人工大理石 など
  • 防水層:モルタル防水・アスファルト防水などを施工

防水工事は職人の技術力に左右されやすく、
在来浴室の耐久性の要となる部分です。


3. 在来浴室のメリット

3-1. 自由なデザイン・サイズが可能

  • 構造体の形に合わせて浴室サイズを調整できる
  • 材質・色柄・質感を自由に選べる
  • 高級感のある石材・木材仕上げも可能

狭小住宅・変形地の浴室でも問題なく対応できるのは大きな魅力です。

3-2. 空間全体を「特別な浴室」に仕上げられる

旅館風の浴室や、露天風呂風の演出など、
完全カスタムの空間を作りたい場合に向いています。

3-3. 高耐久な素材を選べば長寿命

タイルや石材はメンテナンス次第で非常に長持ちします。


4. 在来浴室のデメリット

4-1. 防水性能が職人の腕に依存する

在来工法は「現場施工」によって品質が変わります。
防水層の劣化や施工不良があると、
漏水事故のリスクが高い点は避けられません。

4-2. 断熱性能が低いことが多い

昔ながらの在来浴室は冬場に「寒い」が悩みになりがちです。
ただし近年は断熱材や二重窓の追加で改善可能です。

4-3. 工期が長い

ユニットバスは2日〜3日で工事が完了することが多いですが、
在来浴室は 1〜2週間以上 かかることもあります。

4-4. リフォーム費用が高くなりやすい

防水層のやり直し、タイル施工、左官工事など、多工程のため
ユニットバスより高額になりやすい 傾向があります。


5. 在来浴室とユニットバスの違い

項目在来浴室ユニットバス
施工方法現場で造作工場製品を組立
デザイン完全自由規格の中で選ぶ
防水性施工品質に左右される高い(構造一体型)
工期長い短い(2〜3日)
費用高くなりがち比較的安い
断熱性低め(対策必要)標準で高い

6. 在来浴室が選ばれるケース

  • 高級注文住宅
  • リゾートホテル・旅館
  • 温泉設備
  • 古民家リノベーションで雰囲気を残したい場合
  • 既存の構造によりユニットバスが設置できない場合

「特別感」「素材感」「世界観」を重視したい住まいに向いています。


7. 在来浴室のリフォームについて

在来浴室からユニットバスに変更するリフォームは一般的です。
理由として、

  • 防水トラブルが減る
  • 工事が早い
  • 暖かく、掃除が楽になる
  • コストが抑えられる

といったメリットがあります。

逆に、在来浴室を維持したい場合は

  • タイル防水の再施工
  • 断熱材の追加
  • 窓の二重化
  • 給湯器の高効率化

などで快適性を高めるケースもあります。


8. まとめ

在来浴室とは、

  • 現場で職人が造作するカスタムメイド浴室
  • デザイン自由度が圧倒的に高い
  • 防水・断熱性能は施工品質と材料選定が重要
  • 工期・費用はユニットバスより大きくなりやすい

という特徴があります。

リフォームや新築計画で浴室の種類を検討するとき、
「デザイン重視」か「機能性・メンテ性重視」か が大きな判断ポイントになります。


参考文献(クリックで開きます)