Eddie Palmieriの全貌:ラテン・ジャズとサルサを革新したピアニストの概要と名盤ガイド
Eddie Palmieri — 概要と魅力
エディ・パルミエリ(Eddie Palmieri)は、プエルトリコ系アメリカ人のピアニスト/作曲家/バンドリーダーであり、ラテン・ジャズとサルサの発展において極めて重要な存在です。1960年代の「ラ・ペルフェクタ(La Perfecta)」期におけるトロンボーン重視のアレンジでの革新、1970年代のジャズ/ファンク/ソウルとの融合、そしてアフロ・カリブの宗教音楽(ルクミ、マクンバ等)への深い探求まで、常にジャンルの境界を押し広げてきました。
聴きどころ・音楽的特徴
- リズムの多層性:サルサのダンス性を保ちつつ、複雑なポリリズムやクラヴィカル(ピアノ)によるクロスリズムを導入。
- ホーン・アレンジの革新:特に1960年代の編成ではトロンボーンを中心に据え、温かく厚みのあるサウンドを構築。
- ジャズ的即興と作曲性:ハーモニーやフォームにジャズの要素を取り入れ、ソロや集団インタープレイに自由度を与える。
- 宗教・民俗音楽への敬意:アフロ・カリブ系の宗教音楽からリズムやモチーフを導入し、儀礼的な強度を演奏に反映。
おすすめレコード(深掘り解説)
1. Azúcar Pa' Ti(La Perfecta期)
なぜ聴くか:パルミエリの“ラ・ペルフェクタ”期を象徴する作品群の代表格。トロンボーン2管を中心に据えたユニークな編成が、当時のサルサ/ラテン・ダンス音楽に新風を吹き込みました。
- 音楽的ポイント:厚みのあるホーン・ハーモニー、グルーヴ感のあるモントゥーノ、ピアノのリズム的アクセント。
- 注目トラック:タイトル曲(「Azúcar Pa' Ti」)やダンサブルなナンバー。ヴォーカルとブラスの対話に注目すると、バンドの“会話”がよく分かります。
- 聴き方の提案:まずはホーンのアレンジとピアノのリズムの噛み合わせを意識して聴くと、当時の革新性が分かります。
2. Harlem River Drive(1971)
なぜ聴くか:サルサ/ラテン音楽とソウル/ファンク、さらにはジャズ・ロック的要素が融合した野心作。社会的テーマや都会の風景を音楽で描く点でも興味深いアルバムです。
- 音楽的ポイント:エレクトリックな要素やスペーシーなアレンジ、長尺のインスト曲での展開力。ラテン・パーカッションとファンク・ビートのブレンドが躍動します。
- 注目トラック:タイトル曲を中心に、ロングフォームの展開で各メンバーの個性が際立ちます。
- 聴き方の提案:一曲ごとのダンス性だけでなく、アルバムを通してのムードの変化(都会的な緊張感→解放)を追うと面白いです。
3. Sun of Latin Music(1974 — グラミー受賞作)
なぜ聴くか:グラミー賞(ラテン部門)を受賞した歴史的な作品で、パルミエリの作曲家/編曲家としての成熟を示す一枚。アフロ・カリビアン的な元素とジャズ的構築が高次元で融合しています。
- 音楽的ポイント:複雑な打楽器編成、変拍子や変則構成を用いた緻密なアレンジ。宗教音楽からの引用やモチーフの転用も見られます。
- 注目トラック:アルバム全体がコンセプチュアルなまとまりを持つため、一曲ずつの聴きどころを超えて通しで聴くことを勧めます。
- 聴き方の提案:パルミエリがどのように伝統的要素を現代的なアンサンブルに落とし込んでいるか、各パートの役割分担を意識して聴いてください。
4. Lucumi, Macumba, Voodoo(1978)
なぜ聴くか:アフロ・カリブ系の宗教的リズムと象徴性を前面に押し出した作品。パルミエリのスピリチュアルな探究心と音楽的冒険心が色濃く反映されています。
- 音楽的ポイント:コール・アンド・レスポンス、儀礼的なビート、呪術的なムードを生む打楽器のレイヤー。
- 注目トラック:宗教音楽的モチーフを大胆に展開するトラック群。音色の空間演出やダイナミクスの幅が聴きどころです。
- 聴き方の提案:宗教的テーマやリズムの起源に関する基本知識と併せて聴くと、より深く作品の意図が把握できます。
5. Live録音・アンソロジー(編集盤)
なぜ聴くか:パルミエリはライヴでの即興力、バンドのダイナミクスがとくに魅力的です。編集盤やライヴ盤で各時代の変遷を追えば、アレンジやバンド編成の変化が明確になります。
- 音楽的ポイント:スタジオ録音とは異なるテンポの揺らぎ、ソロの自由度、観客とのインタラクション。
- 注目点:初期のラ・ペルフェクタ、1970年代のコンボ、後年の小編成まで、時代ごとの“生のエネルギー”を比較して聴くと理解が深まります。
聴く順番(入門〜深掘りのガイド)
- 入門:ラ・ペルフェクタ期(Azúcar Pa' Ti等)でまず“サルサとしてのダンス感”とホーンの魅力を掴む。
- 中級:Harlem River Driveでジャズ/ファンクとの融合を体感し、編曲の広がりを知る。
- 上級:Sun of Latin MusicやLucumi, Macumba, Voodooでアフロ・カリブ系の深層や作曲的複雑性を堪能する。
おすすめの聴きどころ(個別の注視ポイント)
- ピアノの役割:伴奏リズム(モントゥーノ)だけでなく、カウントやモチーフ提示、ハーモニー変化のトリガーとしての働きを確認。
- ホーン・アレンジ:ブラスのハーモニーが曲の顔をつくる場面を抜き出し、その動機の展開を追う。
- 打楽器:コンガ、ボンゴ、ティンバレスなどのそれぞれの機能(推進力/装飾/儀礼)がどう役割分担されるかを聴き分ける。
- 即興:ソロのアプローチ(モーダル、ビバップ的フレーズ、ブルース的言語など)の違いに注目。
最後に:なぜEddie Palmieriを聴くべきか
エディ・パルミエリの音楽は、ダンス音楽としての強度を維持しながら、作曲・編曲の芸術性、そして文化的な深みを同時に提供します。単に“グルーヴが良い”というだけでなく、楽曲構成やリズムの起源、宗教的/社会的文脈まで掘り下げることで、新しい発見が次々と現れます。レコードを通して彼の音楽を辿ることは、ラテン音楽の歴史とその多様性を学ぶ格好の旅になるでしょう。
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