Tom Tom Club おすすめレコード徹底解説—聴きどころと音楽性を深掘りするコラム
Tom Tom Club — おすすめレコード深掘りコラム
Tom Tom Club(トム・トム・クラブ)は、Talking Heads のリズム隊であるティナ・ウェイマス(ベース/ボーカル)とクリス・フランツ(ドラム)が中心となって1981年に結成したプロジェクトです。ニュー・ウェイヴとファンク、ディスコ、カリビアン、アフロ・ビート、初期のエレクトロ/サンプル文化を自在に横断するサウンドで、ダンスフロア寄りのポップ楽曲を多く生み出しました。本稿では「聴くべきレコード」を中心に、楽曲・音作り・背景・聴きどころを深掘りして紹介します。
おすすめ1:Tom Tom Club(1981) — 必聴のデビュー作
おすすめ度:★★★★★(入門/マスト)
ポイント:
- 代表曲「Genius of Love」「Wordy Rappinghood」などを収録。シングルはクラブやラジオで大ヒットし、後のヒップホップ/R&B サンプリング文化にも大きな影響を与えました。
- 音楽的にはファンク、ディスコ、カリブ海のリズム、ニュー・ウェイヴ的な実験性が混ざり合い、軽快で中毒性の高いグルーヴが特徴です。
- 制作背景としては、Talking Heads と並行したサイド・プロジェクトでありつつ、トラック作りはより“踊れる”方向に振られています。プロダクションは床をしっかり支える低音と、手作り感のある打楽器やコーラスの重なりが魅力。
聴きどころ:
- 「Genius of Love」:シンセのリフ、クラヴィネット的な音色、女性コーラスの遊び、リズムの“抜け”が絶妙。サンプリングされやすいリフの作り方を学べます。
- 「Wordy Rappinghood」:言葉遊びと多人数コーラス、ポリリズム的なアレンジがユニーク。
おすすめ2:Close to the Bone(1983) — 実験性とポップの狭間
おすすめ度:★★★★☆(デビュー後の拡張)
ポイント:
- デビューの勢いを受けつつ、より多様な音色・プロダクションに挑戦した作品。ダンサブルながらも曲ごとに異なるテクスチャを試しているのが特徴です。
- 前作よりも全体に落ち着いた印象だが、巧妙なリズム・アレンジやサンプル的手法、ゲストの参加など制作の幅が広がっているのが聴きどころ。
聴きどころ:
- ヴォーカルのレイヤーやコーラス・アレンジ、各トラックのスペーシーな処理に注目すると、同バンドの“実験性”が見えてきます。
おすすめ3:Boom Boom Chi Boom Boom(1988) — 80年代末のポップ性強化
おすすめ度:★★★☆(ポップ寄り/時代色あり)
ポイント:
- 80年代後半の音色と制作感(シンセのディケイや電子ドラムの音色)が色濃く出た作品。ダンスフロアで映えるポップ・チューンが多い一方で、Tom Tom Club の持ち味である遊び心は健在です。
- 当時のプロダクションを楽しみたいリスナーや、80sサウンドの解釈を見たい人におすすめ。
おすすめ4:Dark Sneak Love Action(1991) — 90年代のビート感とエレクトロの接近
おすすめ度:★★★☆(ファン向けの変化球)
ポイント:
- 90年代初頭のクラブ/ダンスサウンドの影響が色濃く、エレクトロニカ的な要素や加工ヴォーカルが取り入れられています。
- 同時代のダンス音楽に興味があるなら、Tom Tom Club の“進化”を見る上で興味深い一枚。
おすすめ5:The Good, the Bad and the Funky(2000) & Downtown Rockers(2012) — 後年の仕事
おすすめ度:★★★〜★★☆☆(近年作の補完)
ポイント:
- 2000年代以降はゲスト参加やプロダクションの多様化が目立ちます。古くからのファンには、新しい解釈やライブでの再現性を楽しめる作品群です。
- 「Downtown Rockers」は老練のグルーヴ感と当時のプロダクションが融合した作品で、長年のキャリアの“今”を知るのに良い選択。
コンピレーション/シングルのすすめ
ポイント:
- 入門者はまずベスト盤や代表シングル(特に「Genius of Love」「Wordy Rappinghood」)を押さえると全体像が掴みやすいです。これらはラジオヒットやクラブでの支持が強く、Tom Tom Club の核が凝縮されています。
- 12インチ・シングルやリミックス集はクラブ向けアレンジやエクステンデッド・ミックスが楽しめ、ダンス寄りの魅力を深く味わえます。
Tom Tom Club の音楽的特徴と聴きどころ(深掘り)
- リズムは常に中心:ベースとパーカッションが曲の“核”になっており、シンプルながらもヒネリのあるグルーヴが多い。
- 音色のミックス感覚:アナログ感のある低域に、手作り感のある打楽器やコーラスを重ね、空間系エフェクトは必要最低限に留めて“踊れる”生々しさを残す。
- ボーカルの遊び:ティナの歌はしなやかでポップ、複数人コーラスやリードの重ね方で曲にコミカルさや親しみやすさを与える。
- 多文化的な引用:カリブやアフリカ系のリズムやコーラス、さらにはラップ的な語りや言葉遊びの導入など、ポップに異文化要素を取り入れるセンスが光る。
- サンプリング/影響力:特に「Genius of Love」は多くのアーティストにサンプリングされ(例:De La Soul、Mariah Carey 等)、現代ポップ/ヒップホップにも響く“使える”フレーズの作り方が学べる。
“どのレコードから聴くか” のおすすめ順
- まずは:Tom Tom Club(1981) — 入門として最良。
- 次に:ベスト盤やシングル集 — 代表曲を網羅して全体像を把握。
- その後:Close to the Bone → Boom Boom Chi Boom Boom → Dark Sneak Love Action という順で、年代ごとの変遷をたどると音楽性の拡がりが分かりやすい。
聴き方の提案(プレイリストの組み方)
- 「クラブ寄り」「ポップ寄り」「実験寄り」の3カテゴリーで曲を分け、気分に合わせてプレイリストを作るとTom Tom Club の多面性が楽しめます。
- 代表曲を起点に、そこからアルバムのB面曲や12インチミックスをつないでいくと、ダンスフロア志向の流れが自然に見えてきます。
購入・収集のヒント(簡潔に)
- オリジナル盤の音色やアートワークを重視するなら初期プレスを探す価値あり。ただし、リイシューでもマスタリングが改善されていることがあるため、試聴が重要です。
- 12インチ・シングルや限定リミックス盤はクラブ・ミックスや未発表バージョンが収録されていることが多く、コレクション的にも面白いです。
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参考文献
- Tom Tom Club — Wikipedia
- Tom Tom Club — AllMusic(ディスコグラフィ/レビュー)
- Tom Tom Club — Discogs(リリース詳細)
- Genius of Love とサンプリング文化に関する記事(参考)
- Tom Tom Club — WhoSampled(サンプリング/被サンプリング一覧)


