ロバート・ジョンソンのおすすめレコード徹底解説—デルタ・ブルースの名盤と聴き方ガイド
Robert Johnson — おすすめレコード深掘りコラム
Delta blues の伝説的存在、Robert Johnson(ロバート・ジョンソン)は、1936–1937 年という短い録音期間に残した音源が今日のロック/ブルースに計り知れない影響を与えています。本コラムでは、初心者から中級リスナーまでを対象に「聴くべきレコード(アルバム/コンピレーション)」を厳選して紹介し、それぞれの聴きどころ、歴史的意義、収録曲のハイライトを詳しく解説します。なお、レコード盤の再生や保管方法についての解説は含めません。
なぜ「レコード(アルバム)」を聴くのか
ロバート・ジョンソンのオリジナル録音は 78 回転のシングル盤に残されたため、現代的なアルバム形態は後年の編集盤によって成立しました。編集盤ごとに選曲や音源の処理、解説が異なるため、「どの盤を聴くか」で体験が変わります。
各編集盤はジョンソンの歌唱・ギターワークの特色を伝えるとともに、ブルース復興運動やロック世代への影響(例えば、エリック・クラプトンやローリング・ストーンズら)を理解する手引きにもなります。
おすすめリリース(優先度順)
The Complete Recordings (Columbia / Legacy)
解説:ジョンソンの現行の「決定版」として広く推薦されるボックス/完全編集盤です。オリジナルのレコーディングに加え、別テイクや詳細なライナーノーツを収録する版が一般的で、彼のレパートリーを通して一貫した全体像を把握できます。
聴きどころ:細かなフレージングの差異や、歌い回しの変化、別テイクによる即興性などを確認できます。初めてまとまった形で彼を聴くなら最初に手に入れたい一枚です。
King of the Delta Blues Singers (Vol. 1, Columbia 1961)
解説:1961 年に編集されたこの LP はブルース復興の契機となり、若いロック/ブルース・ミュージシャンに大きな影響を与えました。歴史的意義が非常に高い編集盤です。
聴きどころ:「Cross Road Blues」「Come On in My Kitchen」など、後の世代に受け継がれた主要曲が収録。音源は当時の転写やイコライジングの影響を受けますが、歴史的文脈を味わうには最適です。
King of the Delta Blues Singers, Vol. 2 (Columbia 1970)
解説:Vol.1 の成功を受けて編まれた続編。Vol.1 に入らなかった名曲や別テイクが補完的に収録されています。
聴きどころ:「Hellhound on My Trail」「Milk Cow Blues」など、よりダークで実験的な側面を知ることができます。
The Essential Robert Johnson(シングル/入門コンピ)
解説:入門者向けに代表曲を1枚にまとめた編集盤。全曲を網羅するわけではありませんが、短時間で彼の肝を掴むには便利です。
聴きどころ:代表曲のエッセンスを効率よく聴けるので、まずはこのタイプで興味を確かめ、その後「Complete」へ進むのがおすすめです。
主要収録曲と聴きどころ(代表曲ガイド)
Cross Road Blues(Crossroads)
ポイント:ジョンソンの代表作の一つで、「十字路で悪魔と取引した」という伝説と結びつけられる曲。ギターのリズム・パターンとボーカルの語り口が特徴的で、後世のロック解釈(クリーム/エリック・クラプトン等)にも強く影響しています。
Hellhound on My Trail
ポイント:幽玄で陰鬱なムードを湛えた名曲。リバーブなしでも「追われる焦燥感」を生む歌唱とギターワークは、ジョンソン独特の世界観を示します。歌詞の象徴性とメロディの緊張感が聴きどころです。
Sweet Home Chicago
ポイント:後のシカゴ・ブルースや都市型ブルースと関係づけられるナンバー。明快なフレーズとキャッチーなコーラスがあり、カバーも多い代表曲です。
Love in Vain
ポイント:哀愁漂うスローブルース。後にローリング・ストーンズがカバーしたことでロック・リスナーにも知られるようになりました。ジョンソンの柔らかい歌唱が胸に残ります。
Me and the Devil Blues
ポイント:悪魔譚的なモチーフを扱った深い歌詞と、低めのヴォーカルが印象的。フォーク的な語りの手法とブルースの形式が融合しています。
Come On in My Kitchen
ポイント:典型的なデルタ・ブルースの哀切さと繊細なギターが光る曲。歌詞の語り口が個人的で親密な印象を与えます。
I Believe I’ll Dust My Broom
ポイント:ジョンソンのバージョンは後のブギやエレクトリック・ブルースに繋がる重要な原型。テンポ感とリズムの取り方が革新的でした。
編集盤を選ぶ際のポイント(音質以外)
収録曲の網羅性:まずは「全曲収録(or 代表曲のみ)」かを確認しましょう。全曲収録盤は演奏の変遷や別テイクを聴くのに向きます。
ライナーノーツの質:歴史的文脈や録音状況の解説が充実していると、曲の理解が深まります。研究者や著名な音楽評論家によるノーツが付いている版がおすすめです。
企画意図:1960〜70 年代の編集盤は「ブルース復興」という文脈で選曲されています。一方、近年の完全盤は学術的な整備を重視していることが多いです。
聴き方の提案(深掘りするために)
同一曲の別テイクを比較する:歌い回しやギターのフィンガリングの違いから即興性や録音当日のコンディションが見えてきます。
時代背景を参照する:1930 年代の米国南部の社会事情や移動・録音の事情を並行して学ぶと、歌詞の意味や表現の背景がよく分かります。
カバー曲と比較する:クラプトンやストーンズ等のカバーと聴き比べると、ジョンソンの原型がいかに受け継がれ、変化してきたかが分かります。
まとめ
Robert Johnson は短い活動期間ながら、その録音群はブルース/ロックの源流を知る上で不可欠です。入門者には「代表曲を効率よく集めた編集盤」を、より深く知りたい人には「The Complete Recordings」のような全集的編集盤を強くおすすめします。楽曲ごとの解釈や別テイクの比較を行うことで、ジョンソンの表現の層を多角的に味わえます。
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参考文献
- Robert Johnson — Wikipedia
- Robert Johnson — AllMusic
- Library of Congress — 検索結果:Robert Johnson
- Searching for Robert Johnson (1991) — IMDb(ドキュメンタリー)
- King of the Delta Blues Singers — Wikipedia(編集盤の歴史)


