The Stranglers完全解説|結成から名盤・代表曲・ライブの魅力まで
プロフィール — The Stranglersとは
The Stranglers(ザ・ストラングラーズ)は、1970年代後半の英国パンク/ニュー・ウェーブ期に登場したロックバンドです。1974年にイースト・エンドのパブシーンを基盤に結成され、独特の低音ベース、鍵盤を前面に出したアレンジ、時にダークで挑発的な歌詞で知られます。パンクと呼ばれることが多いものの、実際にはパンク、ニュー・ウェーブ、ポストパンク、パブロック、時にアートロックやクラシカルな要素を融合した音楽性を持ちます。
結成と歴史の概略
- 結成:1974年、Hugh Cornwell(ギター/ボーカル)、Jean-Jacques Burnel(ベース/ボーカル)、Dave Greenfield(キーボード)、Jet Black(ドラムス)という主要メンバーで活動を開始。
- 1977年前後:シングル「(Get A) Grip (On Yourself)」「Peaches」などで注目を集め、デビュー・アルバム『Rattus Norvegicus』(1977)で商業的にも成功。
- 1980年代〜1990年代:メンバーチェンジやサウンドの変化を経つつ、チャートヒットやツアーを継続。Hugh Cornwellは1990年代半ばに脱退。
- 2000年代以降:メンバー交代後もバンド名義で活動を続け、クラシックラインナップの遺産と新たな解釈を両立させたライヴやリイシューで支持を保っています。
音楽的特徴とサウンドの深掘り
The Stranglersのサウンドは単純な「パンク」分類では語り尽くせません。以下がその主要な特徴です。
- ベースの存在感:Jean-Jacques Burnelのベースは攻撃的かつメロディックで、バンドの骨格を形作る重要な要素です。しばしば曲の主旋律をベースが担うこともあります。
- 鍵盤の役割:Dave Greenfieldのオルガン/シンセは、バロック風のフレーズやモーグライクなサウンドを取り入れ、冷たく都会的な雰囲気やサスペンス感を生み出します。
- ギター&ボーカル:Hugh Cornwellのギターは時にシンプルで歪んだリフを刻み、彼の語り口調のボーカルは物語性や皮肉を強調します。
- リズム:Jet Blackのドラムは力強く、パンクのエネルギーを支えると同時に、ミディアムテンポのグルーヴやジャズ/ボサノヴァ的な変拍も見られます。
- テーマ性:都会の孤独、社会風刺、セクシュアリティ、歴史・文学的モチーフなど、歌詞は時に挑発的で文学的な深みを持ちます。
代表曲と名盤の紹介
以下は新規リスナーに押さえてほしい代表曲とアルバムです。
- 代表曲:
- Golden Brown — バンドの最も広く知られた楽曲。シタール風のフレーズと不規則な拍子が特徴で、商業的にも大ヒット。
- Peaches — スラップ風のベースと挑発的な歌詞で初期の代表作。
- No More Heroes — パンク的な攻撃性とキャッチーさを兼ね備えたアンセム的ナンバー。
- Always the Sun — 1980年代のよりメロディックな側面を示す曲。
- 名盤:
- Rattus Norvegicus(1977) — デビュー作。荒々しさとポップさが混在し、初期の衝動が詰まった名盤。
- No More Heroes(1977) — 代表曲を収録、初期の完成度を示す一枚。
- La Folie(1981) — 「Golden Brown」を収録。実験的なアレンジと成熟したソングライティングが見られる。
- Feline(1983)〜この時期以降はより洗練されたプロダクションと新しい音楽性が顕著。
歌詞とテーマの奥行き
The Stranglersの歌詞は単なる反骨精神だけでなく、文化的・歴史的参照、エロティシズム、社会批評など多層的です。例えば「No More Heroes」はヒーロー崇拝への懐疑、「Golden Brown」は曖昧な象徴性(恋愛、薬物、時間など解釈が分かれる)を持ちます。語り口はしばしば皮肉めいており、世界観全体に冷徹で都会的な色合いを与えています。
ライブ/パフォーマンスの魅力
スタジオ作と並んでThe Stranglersはライヴバンドとしての評価が高いです。主な魅力は次の点にあります。
- 低音が生々しく響くライヴアレンジ。
- クールで時に挑発的なステージングと観客との緊張感。
- セットリストで初期の攻撃性から後年のメロディアスな楽曲まで幅広く提示することにより、長年のファンと新規観客双方を満足させる構成。
バンドの影響と受容
The Stranglersはパンク以降の多くのバンドに影響を与えました。特にベース主導のアンサンブル、鍵盤の前面化、暗く文学的な歌詞はポストパンクやニュー・ウェーブの潮流に影響を与えています。商業的成功とアンダーグラウンドな評価の両立、そして時に物議を醸すイメージは、彼らが単なる一過性の流行に終わらなかった理由でもあります。
なぜThe Stranglersは今も魅力的か
- 音楽的な幅の広さ:パンク的な荒々しさから耽美で緻密なアレンジまで自在に行き来する点が、世代を超えた魅力を持たせています。
- 個性あるメンバー:Burnelのベース、Greenfieldの鍵盤、Cornwellの語り口とJet Blackのドラマーとしての存在感。それぞれの個性が強く、それらが拮抗してバンドの独自性を生む。
- 歌詞の普遍性と複雑さ:単純な若者の反抗だけに留まらない深みがあるため、繰り返し聴くほど新たな発見がある。
- ライヴでの説得力:盤を超えたダイナミズムと表現力があり、現場での体験価値が高い。
入門のための聴き方ガイド
初めて聴く人には、以下の順で聴くとバンドの変遷と多面性が分かりやすいです。
- 『Rattus Norvegicus』→ 初期の攻撃性とエネルギーを体感。
- 『No More Heroes』→ 名曲とパンク的洗練。
- 『La Folie』→ メロディと実験性の交差点。「Golden Brown」を中心に。
- ベスト盤/ライヴ盤 → 各時期の代表曲とライヴの空気感を把握。
まとめ
The Stranglersは、単なる1970年代のパンクバンドではなく、古典的なロックの技術や鍵盤アレンジ、文学的な歌詞世界を併せ持つバンドです。ベースと鍵盤による独自のサウンド、挑発的で多義的な歌詞、ライヴでの説得力が長く支持される理由です。初期作品の荒々しさから1980年代の洗練まで、幅広い作品群を通じてその魅力を堪能できます。
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参考文献
- The Stranglers - Wikipedia (EN)
- The Stranglers - Official Site
- AllMusic - The Stranglers Biography
- Discogs - The Stranglers Discography


