WUXGAとは?1920×1200(16:10)の特徴と他規格の比較、使い方を徹底解説

WUXGA とは

WUXGA(ダブリュー・ユー・エックス・ジー・エー、Widescreen Ultra Extended Graphics Array)は、ディスプレイ解像度の規格の一つで、ピクセル数が横1920×縦1200ピクセル、アスペクト比16:10を指します。略称の「W」はワイド(widescreen)、「UXGA」はUltra Extended Graphics Arrayに由来します。主にPCモニタ、ノートPC、プロジェクタなどで用いられる解像度で、16:9のフルHD(1920×1080)に比べて垂直方向に余裕があることが特徴です。

基本的な数値と計算

  • ピクセル数:1920 × 1200 = 2,304,000(約230万画素)
  • フルHD(1920×1080)との比較:フルHDは2,073,600ピクセルなので、WUXGAは約230,400ピクセル(約11.11%)多い
  • アスペクト比:16:10(横長だが、16:9より縦がやや長い)

例えば、表示領域の高さが重視される作業(文書作成、コーディング、タイムラインの長い映像編集など)では、16:10の縦方向の余裕が有益です。

歴史的背景と命名

コンピュータのディスプレイ解像度は、初期のVGA(640×480)やSVGA(800×600)などから発展してきました。「UXGA」は1600×1200(4:3)の名称として登場し、ワイドスクリーンが普及するにつれて「WUXGA」のようにワイド版として派生した名称が使われるようになりました。WUXGA自体は2000年代初期から中期にかけて、ワイド液晶の普及とともに一般的な解像度の一つになりました。

WUXGA と他の解像度の比較

  • WUXGA(1920×1200、16:10) — 生産性重視、プロ用機器や一部ノートPC/モニタで採用
  • フルHD / 1080p(1920×1080、16:9) — 映像コンテンツと親和性が高く、TVや多数のノートPCで標準的
  • UXGA(1600×1200、4:3) — かつての高解像度標準、主に4:3用途
  • WQXGA(2560×1600、16:10) — より高解像度でプロフェッショナル向けやハイエンドモニタで採用
  • 4K / UHD(3840×2160、16:9) — 映像制作や高精細表示で普及が進む

WUXGAはフルHDと同じ横方向ピクセル数を持ちながら縦方向に余裕があるため、1080pの映像を表示すると上下に60ピクセルずつ(合計120ピクセル)の余白ができることになります(レターボックス的な余白)。

利用シーンとメリット

  • 生産性向上:文書作成、Web開発、プログラミング、Excelのような表計算で縦方向の表示領域が増えるため、一度により多くの行やコンテンツを表示できる。
  • コンテンツ制作:写真編集や映像編集でタイムラインやツールパネルを広く表示できる。
  • プレゼンテーション/プロジェクション:WUXGAは多くのビジネス用プロジェクタのネイティブ解像度として採用されてきた(高精細で文字の可読性が高い)。
  • マルチウィンドウ活用:横幅はフルHDと同等なので横並びのアプリケーションを維持しつつ、縦に余裕を持たせられる。

欠点・注意点

  • 映像コンテンツとの整合性:多くの動画コンテンツは16:9(例:1920×1080)で制作されているため、上下に黒帯が入る、もしくはスケーリングされて縦方向が切られる可能性がある。
  • GPU負荷:ピクセル数はフルHDより約11%多いため、ゲームやGPU負荷の高い作業では若干パフォーマンスに影響が出る(ただし大きな差ではない)。
  • ノートPC・モニタの主流動向:2010年代以降は一時期16:9が主流となったため、WUXGAを採用する機種は減少した時期がある。ただし近年は16:10の復権も見られる。

ピクセル密度(PPI)と視認性の関係

同じ解像度でもディスプレイの物理サイズによってピクセル密度(PPI:pixels per inch)は変わります。PPIは次の式で計算できます。

画面の対角ピクセル数 = sqrt(横ピクセル^2 + 縦ピクセル^2)

PPI = 対角ピクセル数 / 対角インチ

例:

  • 24インチ WUXGA:対角ピクセル数 ≒ 2,264.69 → PPI ≒ 94.4
  • 15.6インチ WUXGA ノート:PPI ≒ 145.1

一般にPPIが高いほど文字や細部がシャープに見えますが、文字サイズやOSのスケーリング設定も考慮する必要があります。

接続規格とリフレッシュレート

WUXGA(1920×1200)は帯域要求が比較的低いため、HDMI、DisplayPort、DVI いずれの一般的な規格でも60Hzで容易にサポートされます。DVI-D(シングルリンク)は1920×1200@60Hzに対応できない場合があるため、デュアルリンクDVIまたはDisplayPort/HDMIを用いることが一般的です。高リフレッシュレート(例えば120Hzや144Hz)でWUXGAを利用する場合は、接続規格とケーブルの帯域が対応しているか確認が必要です。

プロジェクタ分野でのWUXGA

ビジネス向け・教育向け・一部のホームシアター用プロジェクタでWUXGAネイティブ解像度が採用されてきました。プロジェクタでは、ネイティブ解像度に合わせた入力を行うと文字の読みやすさやシャープさが高まり、プレゼン資料やスライドの可読性が向上します。

WUXGA が向いているユーザー

  • ドキュメント作成やコーディングで縦方向の表示領域が欲しい人
  • 中〜上位のビジネス用途、プレゼンや教育で鮮明な文字表示が重要な環境
  • フルHDよりわずかに高い解像度が欲しいが、4Kまでのハードウェア負荷は避けたいユーザー

選び方のポイント

  • 用途(動画視聴中心か作業中心か)を明確にする:動画中心なら16:9の方が画面を有効活用しやすいが、作業中心なら16:10の方が便利。
  • 画面サイズとPPIのバランス:大きなモニタでWUXGAだとPPIが低くなるため、文字が粗く見えることがある。作業用モニタなら24インチ前後、ノートPCならフルHDより高いPPIを目安に選ぶ。
  • 接続とリフレッシュレート:用途に応じてHDMI/DisplayPortやDVIのバージョンを確認する。
  • 将来性:4Kやウルトラワイド(21:9)など他のトレンドとの比較、予算との兼ね合いを考える。

まとめ

WUXGA(1920×1200、16:10)は、フルHDと同じ横幅を保ちながら縦方向に余裕を持たせた解像度で、文書作成やプログラミング、コンテンツ制作、ビジネスプロジェクションなど生産性を重視する用途に適しています。フルHDより約11%多いピクセル数で、GPU負荷の増加は小幅ですが、映像視聴との相性(多くの映像が16:9で制作される点)やディスプレイの物理サイズに伴うピクセル密度の変化に注意して選ぶと良いでしょう。

参考文献