Montrose徹底解説:70年代ハードロックの原点とおすすめアルバム完全ガイド

はじめに — Montroseという存在

Montroseは1970年代初頭にアメリカで結成されたハードロック・バンドで、ギタリストのロニー・モントローズ(Ronnie Montrose)を中心に活動しました。特にデビュー作『Montrose』(1973年)は、後にヴォーカリストとしてソロキャリアを築くサミー・ヘイガー(Sammy Hagar)在籍期の作品としても知られ、北米のハードロック/ヘヴィロック史に残る名盤のひとつと評価されています。本コラムでは「初めてMontroseに触れる人」「作品を深掘りしたいファン」双方に向けて、聴く価値の高いレコード(盤)を選び、その魅力と聴きどころを詳しく解説します。

推薦盤一覧(ピックアップ)

  • Montrose(1973年) — デビュー作。バンドの代名詞的名盤。
  • Paper Money(1974年) — 前作の延長線上にありつつ、スケール感のある曲も増えた2作目。
  • Open Fire(Ronnie Montrose, 1978年) — ロニーのソロ作。インスト主体で彼のギタリスト性を別角度から味わえる作品。
  • Gamma 1(Gamma, 1979年) — ロニーが結成したプロジェクト「Gamma」の1作目。モントローズ期とは違うモダンなロック感。
  • Compilations / Live(各種編集盤) — 初期のベストやライブ盤は入門用として有用。

詳解:『Montrose』(1973) — バンドの到達点と原点

代表作であり“入門”の鉄板。骨太なリフ、直球な歌メロ、そしてロニーのタイトかつダイナミックなギターが前面に出た作品です。サミー・ヘイガーの力強いボーカルと相まって、アメリカンハードロックのクラシックと呼べる完成度を持っています。

  • 聴きどころ:冒頭を飾る「Rock the Nation」の勢い、「Bad Motor Scooter」の印象的なイントロ(チューブを使ったスライドギター風サウンド)、「Space Station #5」のダイナミックな楽曲構成。
  • 意義:シンプルながらパワフルなアレンジは同時代のハードロックに大きな影響を与え、後のヘヴィロック/アリーナロックへ橋渡しする役割を果たしました。
  • おすすめの聴き方:初めてならアルバム頭から通して。各曲のリフとギターフレーズに注目するとロニーのプレイの幅が見えてきます。
  • 盤の選び方(簡単に):オリジナル・ヴァイナルと近年のリマスターCD/180g再発盤で音の傾向が異なります。オリジナルは生々しさ、リマスターは帯域のバランスが整って聴きやすい傾向。

詳解:『Paper Money』(1974) — 変化の兆しと曲の幅の拡大

続く2作目は、デビュー作の直球感を保ちつつも楽曲のレンジやアレンジに意欲的な試みが見える作品です。バンドサウンドにより広がりを持たせた曲が増え、時にメロディアス、時に重厚なアプローチをみせます。

  • 聴きどころ:「I Got the Fire」など、よりブルージー/ファンキーなニュアンスを含むトラックが顔を出します。楽曲のバラエティが増えており、バンドの方向性を多面的に示す盤。
  • 意義:サウンドの幅を広げたことで、単純な“硬直的ハードロック”ではない多様性を示し、ロニーの作曲・アレンジの器用さが際立ちます。
  • おすすめの聴き方:デビュー作と比較しながら聴くと、楽曲構成やプロダクションの差が明確になり面白いです。

詳解:『Open Fire』(Ronnie Montrose, 1978) — ギタリストとしての内面を覗く

バンド名義ではないロニーのソロ作ですが、モントローズのファンにとって必聴の一枚。インスト主体で、アコースティックやアンビエント的なアレンジを取り入れた曲もあり、彼のギタリスト/作曲家としての繊細さと表現力が際立ちます。

  • 聴きどころ:歌のないインスト曲であるからこそ、フレージング、トーン、曲構成の美しさが直に伝わります。ロック的な激しさとは別の魅力を提示。
  • 意義:エレキギターの技巧だけでなく、音色選びやメロディの構築力を理解するうえで重要な作品。

詳解:Gamma(1979〜) — 変化球としての好例

ロニーが後に結成したGammaは、よりシンセ入のモダンなロックサウンドやプログレ寄りの要素を取り入れたプロジェクトです。モントローズ期のファンには驚きがありつつ、ロニーの音楽的好奇心の広さを示す作例として注目に値します。

  • 聴きどころ:ヴォーカルやプロダクションがモダン寄りで、ギターは曲のテクスチャー作りに徹する場面が増えています。
  • おすすめ:モントローズから派生した進化系・別路線を楽しみたい人に。

コンピレーション&ライブ盤の活用法

初期の名曲群はベスト盤や編集盤にまとめられていることも多く、まず主要曲だけを効率よく聴きたい場合には有用です。加えて、ライブ音源ではスタジオ録音とは違ったダイナミクスや即興性が楽しめるため、バンドの演奏力やアンサンブルを知るにはライブ盤もおすすめです。

選盤のヒント(買う/聴く際のポイント)

  • まずはスタジオ2作(『Montrose』『Paper Money』)を押さえる:バンドの核となるサウンドを理解するのに最適です。
  • ロニーのギターを深掘りしたいなら『Open Fire』やGammaも並行して聴く:テクニックや音楽性の幅が見えてきます。
  • 音源のバージョン違いに注意:オリジナル、リマスター、再発盤で音質やトーンがかなり変わります。音の好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
  • コンテクストを知る:サミー・ヘイガーは後にソロで大成功を収めるため、サミー在籍期の作品はその初期のヴォーカル表現を見るうえでも興味深いです。

聴き手に伝えたいこと

Montroseは「単純にかっこいいリフ」と「ギタリストとしての表現力」が両立したバンドです。ストレートなロックンロールが好きな人はデビュー作の直球感に熱くなり、もっと音色や表現の深さを求める人はロニーのソロやGammaで新しい表情を見つけられます。作品ごとの質感の違いを楽しみ、時代背景(70年代のアメリカンロック/ハードロック)と照らし合わせながら聴くと、より深く味わえます。

聴き比べ・深堀のためのおすすめ順

  1. 『Montrose』 — まずはここから。バンドの顔を知る代表作。
  2. 『Paper Money』 — バンドの幅と変化を確認。
  3. 『Open Fire』 — ギタリストとしてのロニーの別側面を体感。
  4. 『Gamma 1』 — 70年代末のロック志向の変化を感じる一枚。
  5. 編集盤/ライブ盤 — 断片的に名曲を拾いたいときに。

最後に — Montroseを楽しむためのひと言

Montroseは「荒々しさ」と「技巧」が同居するバンドです。バンド名義/ロニー名義/Gammaといった異なる顔を行き来しながら聴くことで、ロックという表現の多面性に気づかされます。まずは代表曲を通してテンションを掴み、その後にアルバム単位で深堀すると新たな発見があるはずです。

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参考文献