オデッタの名盤ガイド:初心者からコレクターまで押さえる聴きどころとレコード選び
はじめに
Odetta(オデッタ、1930–2008)は、20世紀アメリカのフォーク/ブルース/ゴスペルを代表する歌手・ギタリストの一人です。力強く、しばしば“声そのものが楽器”と称される歌唱で、1960年代のフォーク・リバイバルと公民権運動に大きな影響を与えました。本コラムでは、レコード収集目線で「まず押さえておきたい名盤」を中心に、各作品の魅力と聴きどころ、入手時の目安(オリジナル盤や定評ある再発)などを詳しく解説します。
Odetta が残した音楽的な意義
オデッタはアフリカ系アメリカ人が伝え続けてきた伝承歌(バラッド、スピリチュアル、ワークソング)を、現代のフォーク・リスナーへ直截に伝えたアーティストです。伴奏はギターや時にベース程度のシンプルさに留められ、歌のダイナミクスと語りの力で物語を紡ぎます。そのためスタジオ盤でも“ライブ感”が強く、声の表情と選曲の重みが直に伝わります。
おすすめレコード(名盤解説)
Odetta Sings Ballads and Blues(1956)
オデッタの代表的な初期作品で、伝承歌やブルースをストレートに歌い上げた入門盤。彼女の“声”の持つ迫力と表現力を最も純度高く味わえるアルバムです。フォーク・リバイバル期のミュージシャンに与えた影響が大きく、当時の録音ながら聴き手に迫る臨場感があります。
なぜ聴くべきか:オデッタの歌唱の根幹と選曲感覚が凝縮された作品。伝承歌の力強さとブルースの味わいが同居しており、彼女を初めて聴くならまずここから。
入手の目安:初期のオリジナル・プレス(Tradition 等)や、その後の定評あるリイシュー盤(CD/アナログ)を確認するとよいでしょう。
At the Gate of Horn(1957)
シカゴの伝説的クラブ「Gate of Horn」での活動に由来するタイトル。スタジオ録音ながらクラブ演奏の空気感や親密さを感じさせる仕上がりで、ライブ・フォークの魅力がよく出ています。
なぜ聴くべきか:クラブ・シーンで育まれた選曲と、観客に語りかけるような歌い回しが際立つ一枚。曲の語り口、テンポの取り方、ダイナミクスの作り方が学べます。
入手の目安:オリジナル盤または同じく評判のよいアナログ再発を探しましょう。
My Eyes Have Seen(1959)
Vanguard へ移籍してからの作品で、制作・サウンド面でのクオリティが向上しています。より豊かな編成やアレンジが加わり、伝統曲の幅広い表現を試みた意欲作です。
なぜ聴くべきか:Vanguard 時代の制作水準によって歌の輪郭が一層鮮明になり、スタジオ録音としての完成度が高い。オデッタの歌声がより多面的に表れる作品です。
入手の目安:Vanguard のオリジナル・プレスは音質とコレクター価値の面で注目されます。公式再発や信頼できるリマスター盤も選択肢になります。
Odetta at Carnegie Hall(1960)
タイトル通りカーネギー・ホール公演の臨場録音。大舞台での歌唱がパワフルに収められており、ライブ盤としての魅力が最大限に発揮されています。観客との一体感や、曲ごとの起伏がダイレクトに伝わる名演録音です。
なぜ聴くべきか:ライブならではの熱量、オデッタのパフォーマンス力を堪能できる決定盤的な一枚。スタジオ盤とは異なる“現場の説得力”を味わえます。
入手の目安:歴史的公演のため再発も多く、音質やボーナス曲の有無で盤を選ぶとよいでしょう。
Christmas Spirituals(1960)
ゴスペル、スピリチュアルに焦点を当てたアルバム。宗教歌・スピリチュアルの力強さと慰めを、オデッタの深い声で再提示した作品です。季節的にも評価が高く、彼女のスピリチュアル曲への造詣が色濃く出ています。
なぜ聴くべきか:スピリチュアルの表現力を純粋に味わえる希少な録音。宗教的情感やコール&レスポンス的な要素が際立ちます。
入手の目安:Vanguard 時代のオリジナルや、良質な再発盤をおすすめします。
各盤の聴きどころ(共通のポイント)
- 歌唱表現のダイナミクス:静かな語りから爆発的なクライマックスまで、オデッタの声は曲ごとに表情を大きく変える。
- 選曲の深さ:単なるカヴァー集ではなく、アメリカの歴史や生活に根ざした曲目が並び、それを通じて物語が語られる。
- シンプルな編成:ギターと声、時にベースや簡素な伴奏という編成が多く、歌が前面に出る構成。
- 公民権運動との関わり:歌唱の正義感や説得力は当時の社会運動とも呼応しており、歴史的文脈で聴くことで一層重みが増す。
盤の選び方・コレクションの指針(注:再生・保管の実務は除外)
- オリジナル盤とリイシューの違い:オリジナル(1950〜60年代)には当時の空気が残りコレクター価値がありますが、リイシュー/リマスターは音質改善や追加解説が付く場合が多いです。目的(歴史的価値重視か、音質重視か)で選びましょう。
- 信頼できるレーベル:Tradition、Vanguard といった当時の主要レーベルは復刻も丁寧なことが多く、リイシューを探す際の目安になります。
- ライナーノーツと文脈:再発の多くには詳細なライナーノーツや未発表写真・解説が付くことがあり、オデッタの理解を深める上で有益です。
どの一枚から聴くべきか(初心者向けガイド)
- まずは「Odetta Sings Ballads and Blues」:声そのものと伝承歌の魅力をダイレクトに味わえます。
- ライブの迫力を知りたいなら「Odetta at Carnegie Hall」:パフォーマンス力と観客の反応が伝わる名盤です。
- ゴスペル/スピリチュアルを深く味わうなら「Christmas Spirituals」:宗教歌の重みと慰めを感じられます。
補遺:影響と後世への伝播
オデッタの影響は同世代のフォーク・アーティスト(例えばボブ・ディラン、ジョーン・バエズなど)や、その後の黒人音楽家にも及びます。シンプルな伴奏と圧倒的な歌唱で、伝承歌の価値を再提示した点が高く評価され、今日のフォーク/アメリカーナ文脈の理解にも欠かせない存在です。
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参考文献
- Odetta — Wikipedia
- Odetta — AllMusic(アーティスト概要・ディスコグラフィ)
- Odetta 関連記事(All About Jazz などのアーカイブ)
- The New York Times — Odetta の追悼記事
- The Guardian — Odetta obituary
- Odetta — Discogs(リリースとプレス情報の参照に便利)


