Ian Gillanの歌声と名盤をLPで味わう:Deep Purple Mk II期の必携レコードと収集ガイド
はじめに — Ian Gillanという声の魅力
Ian Gillanは英国ロックを代表するシャウト系ヴォーカリストのひとりで、ディープ・パープル(Deep Purple)での声質と表現力が最も知られています。鋭いハイ・ノート、ブルージーな語り、荒々しいロック・シャウトの幅を併せ持ち、1970年代のヘヴィ・ロック/ハード・ロックのサウンドを象徴する存在です。本稿では、Gillan本人の歌声や表現がよく分かる「レコード(LP)」を中心に、代表作・名盤を深掘りして紹介します。レコード盤そのものの再生や保管の解説は行わず、音楽的・歴史的な価値、聴きどころ、収集時の注目点などを中心にお届けします。
目次
- ディープ・パープル期の必携レコード(Studio & Live)
- 再結成&80年代以降の重要作
- ソロ/サイド・プロジェクトの注目盤(Gillan, Ian Gillan Band, Black Sabbath等)
- 収集・購入の際に注目すべきポイント(盤・プレスの選び方)
- 最後に:聴き方の提案
ディープ・パープル(Mk II期) — まずはここから
Ian Gillanを語る上で外せない黄金期は、Ritchie Blackmore(G)、Jon Lord(Key)、Roger Glover(B)、Ian Paice(Dr)と組んだMk IIラインナップ。ヴォーカル、ギター、オルガンが躍動するサウンドは、Gillanの声が主役として映えるため、まずLPで押さえておきたい作品を挙げます。
Deep Purple in Rock (1970)
概要:バンドがハードロック/ヘヴィ・ロックへ踏み込んだ転換点。Gillanの高音とドラマ性が全面に出たアルバム。聴きどころは力強い歌唱とギター・オルガンの攻撃的アンサンブル。
代表曲:Speed King、Child in Time(長尺のドラマティックな歌唱が堪能できる)
注目ポイント:オリジナル・プレスはコレクター価値が高いが、近年の180gリイシューでも音圧・質感は良好。歌の表情やスタジオでの息づかいをLPで味わうとGillanの声の魅力が直に伝わります。
Fireball (1971)
概要:テンポや音色の幅が広がり、バンドの表現力がさらに充実した一枚。Gillanのフレージングが多彩に出る作品です。
代表曲:Fireball(タイトル曲のエネルギー感)、Strange Kind of Woman(メロディックな歌い回し)
Machine Head (1972)
概要:ディープ・パープルの代表作であり、Gillanのヴォーカルが世界的に知られるきっかけになったアルバム。「Smoke on the Water」はロック史に残るリフとともにGillanの雄叫びが印象的。
代表曲:Smoke on the Water、Highway Star、Lazy、Space Truckin'
注目ポイント:名曲群を収録しているため、初めて聴く人はこのLPから入るのがおすすめ。スタジオでの熱量、ギターとオルガンに対するGillanの応戦のような歌唱が聴き取れます。
Made in Japan (1972) — ライブ盤
概要:ライブでの表現力を記録した不朽のライヴ盤。ステージでの即興処理や長尺のソロ回し、Gillanの生々しい高音が圧巻です。
代表曲(演奏例):Child in Time、Highway Star、Space Truckin'
注目ポイント:ライブならではの叫びや即興が楽しめ、スタジオ盤とは異なるダイナミクスが分かる。多くの再発があるため、音質にこだわるならオリジナルや評価の高いアナログ・リマスター盤を検討してください。
Who Do We Think We Are (1973)
概要:Mk II期の最後のスタジオ作品。疲弊や緊張感も感じられるが、Gillanの表現は成熟している。
代表曲:Woman from Tokyo(シングルとしての知名度が高い)
再結成期(1984)以降の注目盤
Perfect Strangers (1984)
概要:Gillanを含むMk IIの再結成アルバム。80年代のプロダクションをまといつつも、往年の強度を取り戻した作品。
代表曲:Perfect Strangers(タイトル曲)、Knocking at Your Back Door(親しみやすいリフとコーラス)
注目ポイント:再結成の意義やGillanの成熟した歌唱を確認できる一枚。時代の音作りを感じさせるが、歌の存在感は失われていません。
ソロ/サイド・プロジェクトで異なる側面を見せるレコード
GillanはDeep Purple以外でも多様なプロジェクトを行い、ヴォーカリストとしての引き出しを広げました。ここではLPで聴くと面白い代表作を紹介します。
Gillan(バンド) — Gillan (1978), Mr. Universe (1979), Glory Road (1980)
概要:1970年代後半〜80年代初頭にかけてのGillan名義のバンド作品。ハードロック路線を基本にしながら、より直球のロックンロール/パンク的な勢いを持つ曲もある。
聴きどころ:Gillanの声のフレーズ作り、ステージを想像させる力強さ。Glory Road期の楽曲群はライブ・アンセム性が高く、LPでの迫力も魅力です。
Black Sabbath — Born Again (1983)
概要:Ian Gillanがブラック・サバスのヴォーカルを務めた異色作。サバスのダークな土壌にGillanの攻めた歌唱が加わり、賛否両論ながら独特の存在感を放ちます。
聴きどころ:Gillanの荒々しいシャウトとブラック・サバスの重さの化学反応。サバス系のコレクションに加えることでGillanの幅を理解できます。
ソロ作(Naked Thunder 1990、Toolbox 1991、One Eye to Morocco 2009 など)
概要:より個人的な表現やポップ/ブルージーな面を見せる作品群。Deep Purple的な硬質さとは違う歌の味わいを味わいたい時に有効。
聴きどころ:ミドルテンポやバラードでの歌い回し、表情豊かな低域の表現。
Roger Glover 関連(The Butterfly Ball など)
概要:Deep Purpleメンバー同士のコラボレーション作品。ゲスト参加の形でGillanの別の歌い口が聴けることがある。
レコード(LP)選びのポイント — 何を基準に買うか
ここではメンテナンス以外の観点で、収集・購入時に注目すべき点を挙げます。
- オリジナル・プレス vs 再発(リイシュー)の選び方
オリジナルは雰囲気とコレクション価値が高い反面、盤質やノイズに注意。再発はクリーンなカッティングや180gプレス、最新のリマスターが施されていることがあり、音質重視なら良い選択肢です。
- マスター・ソースの違い
リイシューでもマスターがオリジナル・テープからか、デジタル・リマスター由来かで音像が変わります。暖かみを重視するならアナログ由来リマスター、クリアさを重視するなら適切にリマスタリングされた盤を。
- ジャケット・ステートと付属品
当時の内袋やライナー、インナー写真、歌詞カードの有無で付加価値が変わります。特に初期のデザインや特殊ジャケット(ゲートフォールド等)はコレクターズ・アイテムになりやすいです。
- ライブ盤は演目・収録日をチェック
複数のテイクが存在するライブ音源は、どの公演が収録されているかで名演度が変わります。Made in Japanのように名ライブは必ずチェック。
- 価格感と希少性
Deep Purpleの代表作は需要が高く、良盤は値が張ります。まずは音質・演奏・歴史的価値のバランスで優先順位を決めるとよいでしょう。
聴き方の提案 — Gillanの特性をLPで味わうコツ
- 高音の伸びやダイナミクスを楽しむなら、Machine HeadやMade in Japanのような発声・シャウトの瞬間が多い曲を大音量で聴く。
- 表情豊かな低音域や語りのニュアンスを味わうなら、再結成期やソロ作のミッドテンポ曲をじっくり聴く。
- 同じ楽曲のスタジオとライブ版を聴き比べると、Gillanの即興的な歌い回しやステージでの持久力がよく分かります。
まとめ
Ian Gillanは単に「高音が出る」だけのシンガーではなく、楽曲ごとに表情、ドラマ、リズム感を変化させる稀有なヴォーカリストです。Deep PurpleのMk II期の名盤群(Deep Purple in Rock, Machine Head, Made in Japan など)はまず押さえるべき必携LPであり、再結成期やソロ作、サイドプロジェクトを併せて聴くことでGillanの多面性が見えてきます。レコードで聴くと、テイクの空気感やヴォーカルの息遣い、アンビエンスがより生々かつ立体的に感じられるはずです。
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参考文献
- Ian Gillan 公式サイト
- Deep Purple 公式サイト
- AllMusic — Ian Gillan(英語)
- Discogs — Deep Purple ディスコグラフィ(英語)
- ウィキペディア — Ian Gillan(日本語)


