Wishbone Ash 名盤ガイド:LPで聴く代表作 Argus/Live Dates から盤選びと聴き方のポイント
はじめに — Wishbone Ashとは何か
Wishbone Ashは、イギリス出身のロック・バンドで、双頭(ツイン)リードギターのハーモニーを前面に押し出したサウンドで1970年代初頭から中期にかけて独自の地位を築きました。フォークやプログレッシブ・ロック、ハードロックの要素を取り込み、メロディ重視かつ緻密なギターアレンジで多くのリスナーと後続のギタリストに影響を与えました。本コラムでは、レコード(LP)で聴く価値のある代表作・名盤を中心に、各アルバムの特徴、聴きどころ、そして盤選びのポイントを詳しく解説します。
おすすめレコード総覧(優先順位順)
- Argus(アルガス) — 代表作中の代表作
- Live Dates — バンドの演奏力とツインギターの魅力がわかるライブ盤
- Wishbone Ash(デビュー)/Pilgrimage — 初期の創造力とブルース基盤
- Wishbone Four/There’s the Rub — 音楽性の幅を見せた中期作
- New England(中後期)+近年作の注目盤 — 進化と安定を示す作品群
Argus(1972) — 必聴の名盤:様式、雰囲気、名曲
ArgusはWishbone Ashのキャリアにおけるハイライトで、バンドの音楽性がもっとも完成された形で提示されています。双頭ギターのハーモニー、牧歌的かつ戦記的な歌詞の世界観、ダイナミックな曲構成が特徴です。ロック/フォーク/プログレ要素が融合し、アルバム全体を通して一つの物語やムードを作る点が魅力。
- 聴きどころ:重厚なギターのツインハーモニー、変拍子やテンポ変化を用いたドラマ性、楽曲ごとの劇的な展開。
- 代表曲(アルバム内で特に有名な曲):"The King Will Come"、"Blowin' Free"、"Warrior"(※曲名は主要な切り取りとして紹介)
- 盤選びのポイント:オリジナル盤は雰囲気・ダイナミクスが魅力的ですが、マスタリングの差や盤質により個体差が出ます。リマスターや正規再発はクリアな高域やノイズ低減が期待できますので、音質重視なら良好な再発を検討するのも手です。
Live Dates(1973) — ライブでこそ映える双頭ギター
スタジオ盤の完成度もさることながら、Wishbone Ashの真骨頂はライブにあります。1973年発表のライブ盤は、スタジオ曲をリアルな空気感と即興性で再構築しており、ギターの掛け合い、アンサンブルの確かさ、観客との一体感が直に伝わってきます。ツインギターの立体感や、ライブならではの長尺ソロが楽しめるため、バンドの実力を知るには最適の一枚です。
- 聴きどころ:スタジオ・アレンジとの差異、ギターの即興とハーモニー、バンドとしてのグルーヴ。
- 盤選びのポイント:ライブ盤は音の収録やミックスの差が大きく出がちです。オリジナルの音の温度感を好むか、近年のリマスターで鮮明になった音を好むかで選び分けを。
初期作(Wishbone Ash、Pilgrimage) — 形成期のエネルギー
デビュー作と続くPilgrimageは、まだ荒削りながらも音楽的探究心に溢れた時期の作品群です。ブルース寄りの手触りが残りつつ、後の双頭ギター美学へつながる萌芽が見られます。初期の演奏や曲作りに興味があるリスナーには必聴です。
- 聴きどころ:原石的な演奏、ブルースからフォーク、プログレへ向かう過程が垣間見える点。
- 盤選びのポイント:初期は演奏の勢いや録音の「歯切れの良さ」が魅力になるため、オリジナル盤や早期プレスも評価されます。ただしノイズや経年劣化を考慮して状態の良い個体を選んでください。
中期の変化 — Wishbone Four、There’s the Rub など
Argus以降、バンドはより幅広い音楽性を模索します。There’s the Rubのような作品では、プロダクションが洗練され、ポップ寄り・メロディ寄りの曲が出てきます。一方でWishbone Fourのようにアコースティックなアプローチやより内省的な楽曲もあり、バンドの表現の幅が広がる時期です。
- 聴きどころ:スタイルの多様化、プロダクションの変化、楽曲ごとのアプローチの違いを楽しむ。
- 盤選びのポイント:作品ごとに音作りが異なるため、自分の好むサウンド傾向(生々しさ/クリアさ/プロダクションのきらびやかさ)に合わせて盤を選ぶと良いでしょう。
後期作/復活作 — New England ほか
後期のアルバムには、よりメロディックで洗練された楽曲が増え、80年代以降のロック感覚やポップな側面も取り入れられます。これらは初期・中期とはまた違った魅力を持っており、バンドの継続的な創造性を示しています。
- 聴きどころ:成熟した作曲、洗練されたアレンジ、時代ごとの音作りの違い。
- 盤選びのポイント:CDやデジタルで聴くことが多い時代の作品でも、アナログで出ている盤は当時の音作りの空気感を伝えてくれることがあるので、気になる作品はLPもチェックしてみてください。
聴き方・楽しみ方の提案
- 入門ルート:まずはArgusを一周し、次にLive Datesでライブの熱気を味わう。そこからデビュー作や中期作に遡ると、変遷がよくわかります。
- 注目点:ツインリードギターのフレージング、コーラスワーク、曲ごとのダイナミクス(ゆったりしたパートと疾走パートの対比)に耳を向けると発見が多い。
- 歌詞にも注目:叙情的・牧歌的な描写や、戦記的・物語的な世界観が織り込まれた曲が多く、歌詞を追うことで曲の背景が深くなります。
盤(リリース/エディション)に関する実務的アドバイス(選び方の観点)
同じアルバムでも、オリジナル盤/再発盤/リマスター盤で音の傾向が大きく異なります。選ぶ際のポイントを整理します。
- オリジナル盤:当時のエネルギーやダイナミクスが味わえる反面、盤質やマスタリングの古さが気になることもあります。コレクターや当時のサウンドを重視する向きに。
- リマスター/再発:音像が整理され、ノイズが低減されることが多いです。高域の伸びや低域の締まりが改善される場合もあり、現代のオーディオ環境で聴くには便利。
- 特殊盤(アナログ再プレス、限定盤など):重量盤(180g)やアナログ・リマスターは人気ですが、必ずしも全てが「良い音」とは限らないため、試聴レビューやマスタリング元の情報を確認するのが良いです。
どの一枚を買うべきか?(目的別おすすめ)
- まず一枚でバンドを知りたい:Argus(最も代表的で入門に最適)
- ライブの勢いを体感したい:Live Dates
- 初期の荒々しさ/形成期の個性に惹かれる:デビュー作、Pilgrimage
- 幅広い音楽性を楽しみたい:There’s the RubやWishbone Fourなど中期作を順に
- コレクター志向で歴史的価値と音の趣を楽しみたい:コンディションの良いオリジナル・プレスを探す(ただし状態重視)
最後に — Wishbone Ashの音楽的意義
Wishbone Ashは「ツインリード」の先駆的存在として、後続の多くのバンドに影響を与えました。メロディとハーモニーを重視したギターアンサンブル、フォークやプログレ的な叙情性、そしてライブでの確かな表現力。LPというアナログのフォーマットで聴くと、これらの要素がより豊かに、より温度感をもって伝わってきます。アルバム単位での世界観をじっくり味わいたい方には、とくにArgusとLive Datesは強くおすすめします。
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参考文献
- Wishbone Ash - Wikipedia
- Argus (Wishbone Ash album) - Wikipedia
- Live Dates - Wikipedia
- Wishbone Ash 公式サイト
- Wishbone Ash - AllMusic


