The Church徹底解説:結成から名曲「Under the Milky Way」までの魅力と聴き方
The Church — プロフィール:何者か
The Churchはオーストラリア・シドニーで1980年に結成されたロックバンドで、スティーヴ・キルビー(Steve Kilbey:ボーカル/ベース)を中心に、ピーター・コップス(Peter Koppes)やマーティ・ウィルソン=パイパー(Marty Willson-Piper)といったギタリスト陣を擁して長年にわたり活動してきました。結成当初はポストパンクやジャングル・ギターに根差したサウンドを展開しましたが、その後サイケデリックでドリーミーなテクスチャーへと深化し、1988年のアルバム『Starfish』収録のシングル「Under the Milky Way」により国際的な知名度を得ました。
略歴(要点)
- 結成:1980年、シドニー。
- 初期:ジャングリーでややポストパンク寄りのサウンド(例:Of Skins and Heart、The Blurred Crusade)。
- 商業的な転機:1988年の『Starfish』とシングル「Under the Milky Way」で国際的注目を獲得。
- 90年代以降:商業的成功と並行して実験性・音響性を追求(例:Priest=Aura)。
- メンバー変遷:コアであるキルビー/コップス/ウィルソン=パイパーを軸に、ドラマーやツアーラインナップに変化があった(Tim Powlesなどが長く参加)。
- 近年:活動を続けつつ作品群で一貫した音楽的世界を深めている。
サウンドの核:何が特徴か
The Churchの魅力は一言で言えば「光と闇を同居させる音のテクスチャー」と「詩的で神秘的な歌詞表現」にあります。具体的には次の要素が挙げられます。
- ギターの重層性:複数のギターがコントラストを作りながら重なり合い、チャイミングなアルペジオ、リバーブやコーラスエフェクトを多用した“壁”を作る。
- 浮遊感あるメロディとバスライン:ベースとドラムはしばしば落ち着いたグルーヴを保ち、歌やギターが空間を泳ぐための土台を提供する。
- スティーヴ・キルビーのボーカルと詩世界:低めで落ち着いた声質に、夢幻的・象徴的な歌詞が乗り、聴き手の想像力を刺激する。
- ポップ性と実験性の均衡:シングル曲としてのキャッチーさ(フック)を持ちながら、アルバムでは長尺の曲やアンビエント的展開も織り交ぜる。
歌詞とテーマ:詩的世界観の深さ
キルビーらが紡ぐ歌詞は、具体的描写よりもイメージの重なりや象徴を重視する傾向があり、夜、宇宙、記憶、孤独、宗教的・神秘的モチーフが繰り返し登場します。断片的で抽象的な表現が、音の空気感と合わさることで聴き手自身の情景や感情を呼び起こさせる点が魅力です。
ライブの魅力:スタジオと違う呼吸
The Churchのライブは、スタジオ録音の緻密さを保ちながらも即興的な広がりがあることが特徴です。曲のテンポや展開を変えて場面を引き伸ばしたり、ギター同士の呼吸から新たなフレーズを生むことが頻繁にあります。深いリバーブ/空間感を活かしたサウンドメイキングは、ライブ会場でより強烈に体感できます。
代表曲・名盤の紹介(入門と深化のための選書)
- Of Skins and Heart(1981)— デビュー作的な痛快さと初期ポップ性が強い作品。バンドのルーツを知るのに適している。
- The Blurred Crusade(1982)— ジャングリーでメロディックなギターが際立つ初期の名盤で、彼らの“ギター・サウンド”の原型が見える。
- Starfish(1988)— 国際的ブレイクを果たしたアルバム。「Under the Milky Way」を含み、メロディと空間の洗練度が高い。
- Priest=Aura(1992)— 批評家からの評価が高い実験的かつ濃密な作品。より深い音響・精神性を求めるリスナーに。
- Further/Deeper(2014)・Man Woman Life Death Infinity(2017)— 近年の充実作。成熟したバンド感と現代的な録音感を両立している。
The Churchが持つ固有の魅力(深掘り)
- 「陰と陽の両立」:ポップで親しみやすい旋律と、同時に暗く深い精神性を併せ持つため、何度も聴き返すほど新たな発見がある。
- 演奏者間の化学反応:複数の個性的なギタリストが互いに対話しながらテクスチャーを作るため、一曲ごとに微妙な表情の違いがある。
- 長期にわたる一貫性と変化:結成から長い年月を経ても核心的な音楽観を保ちつつ、サウンドや制作手法を更新し続けるバランス感。
- 映画的・視覚的な想起力:曲が“場面”を思い起こさせるため、BGM的にも、集中して聴く音楽としても機能する。
入門ガイド:初めて聴く人への聴き方提案
- まずは「Under the Milky Way」などの代表曲で入口を作る(短時間でバンドの核を掴める)。
- 次に『The Blurred Crusade』や『Priest=Aura』のアルバム通しで、初期のギター感とより実験的な側面の対照を聴く。
- ライブ音源や長尺曲で、即興的な広がりと演奏者同士の化学反応を体験する(スタジオ版とは別の魅力)。
影響と遺産
The Churchはジャングル系ギター・ポップ、ネオ・サイケ、ドリームポップ、シューゲイザーなどに影響を与えてきました。特にギターの重なりによるテクスチャー作りは、その後のバンドやプロデューサーに参照されることが多く、コアなファンと批評家双方から根強い支持を受けています。
まとめ:なぜ聴き続けられるのか
The Churchの音楽は、即効性のあるメロディと深い精神性を同時に持っているため、ライトリスナーから音楽マニアまで幅広い層に訴えます。表面的な美しさと裏側の暗さが綾なすバランス、演奏陣の熟練したアンサンブル、詩的で映像的な歌詞世界──これらが重なって“何度も戻ってくる”魅力を生んでいます。
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