The Churchとは何者か:ギター・ポップとサイケデリアの系譜をアルバム別に徹底解説

The Churchとは:静謐なギター・ポップとサイケデリアの継承者

オーストラリア出身のロック・バンド、The Church(ザ・チャーチ)は1980年代初期の結成以来、スティーヴ・キルビー(ボーカル/ベース)を中心に、繊細なギター・アンサンブルと詩的で神秘的な歌詞を武器に独自の地位を築いてきました。ジャングリーでドリーミーな「ギター・サウンドスケープ」と、時に陰影を伴うメロディが彼らの特徴です。本稿では、入門〜コア・ファン向けに「聴くべきレコード」をピックアップし、それぞれのアルバムの魅力と聴きどころを深掘りしていきます。

入門—まずここから聴きたい4枚

初めてThe Churchを聴くなら、以下の4枚が特に取っつきやすく、かつバンドの幅をよく示しています。

Starfish(1988)

代表曲「Under the Milky Way」を収録し、国際的な注目を集めたアルバム。ポップな楽曲構成と深い雰囲気が両立した一枚で、プロダクションはより洗練され、メロディが前面に出ています。商業的成功によって新しいリスナーを多数獲得したため「入口」として最適です。

  • 代表曲:Under the Milky Way、Reptile
  • 聴きどころ:ドリーミーなギター層とキルビーのアンビエントなヴォーカル、キャッチーさと陰影の絶妙なバランス

The Blurred Crusade(1982)

初期の傑作で、ジャングリーで煌めくギターと詩的な歌詞が結実した作品。まだ若いバンドが持つ瑞々しさと、ポストパンク/ニューウェイヴ的な骨格が感じられます。初期のエネルギーとメロディの美しさが好きな人におすすめです。

  • 代表曲:Almost With You(などの初期ヒット)
  • 聴きどころ:ギターのハーモニー、シンプルながら印象的なメロディライン、80年代初期の空気感

Seance(1983)

前作よりも陰翳が深まり、サイケデリックでアンビエントな要素が強く出た作品。実験性と叙情性の両立が顕著で、夢と現実の境界を漂うような音世界が展開されます。The Churchの「暗い側面」を探るなら必聴です。

  • 代表曲:Electric Lash、It’s No Reason
  • 聴きどころ:空間的なエフェクト、音色の重なりが生む瞑想的効果

Priest=Aura(1992)

バンドの芸術性が高まった作品で、コンセプチュアルかつドラマティックな楽曲が並びます。テクスチャー志向のサウンド、複雑なアレンジ、そしてキルビーの物語的な歌詞が合わさり、ファンの間で高い評価を得ているアルバムです。

  • 代表曲:Metropolis、The Altered Beast(アルバムを通しての統一感が強い)
  • 聴きどころ:曲構成の複雑さ、音の密度、叙情的で時に神秘的なムード

深掘り—アルバム単位で味わいたい傑作群

以下は、The Churchのキャリアを通じて特に「作品性」が光るアルバム群です。各時期の変化や実験性を確認しながら聴いてみてください。

Of Skins and Heart(1981)

デビュー作。荒削りながらもフックのある楽曲が並び、バンドの原点的エネルギーが詰まっています。初期の姿を知るうえで欠かせない一枚です。

Gold Afternoon Fix(1990)

Starfishの成功後にリリースされたアルバムで、より内省的かつ洗練された楽曲群を含みます。ポップ性と実験性の狭間にある音作りが魅力です。

Sometime Anywhere(1994)

メンバー構成や制作スタイルの変化が色濃く反映された時期の作品。サウンドは層を成し、聴くたびに新しい発見があるアルバムです。

Magician Among the Spirits(1996)・Hologram of Baal(1998)

90年代後半はより実験的かつダークなサウンドを追求した時期。ギターの扱いや音像の拡張が目立ち、従来の「ギター・ポップ」イメージとは一線を画す作品群です。

Forget Yourself(2003)

2000年代初頭の名盤。ロック色を取り戻しつつもダイナミックな表現が光る作品で、バンドの再評価を促した一枚です。ライブ感とエネルギーが強く出ています。

Further/Deeper(2014)

近年の代表作の一つ。長年のキャリアを踏まえつつ、新しいメンバー構成(イアン・ホーグなどの参加)やアレンジが反映された力作で、メランコリックかつ力強い楽曲が揃います。ベテランとしての洗練を感じさせる作品です。

アルバムごとの楽しみ方・聴き方の視点

  • 初期(1981–1984):ジャングリーで瑞々しいギター、簡潔な曲構成。バンドのエネルギーとメロディの核を見る。
  • 中期(1988–1994):プロダクションの厚み、詩的な歌詞、商業的成功と芸術志向の両立を感じる。
  • 後期(1996–現在):実験的・テクスチャー重視の作風や、成熟した叙情性。何度も聴いて層を楽しむタイプ。

代表曲ピックアップ(導入プレイリスト案)

  • Under the Milky Way(Starfish)— バンド最大のヒット、夢見るような名曲。
  • Almost With You(The Blurred Crusade)— 初期の煌めきが分かる一曲。
  • Reptile(Starfish)— ダークで陶酔的なギターワークが印象的。
  • Metropolis(Priest=Aura)— コンセプチュアルかつ叙情的。
  • Forget Myself(Forget Yourself)— 近年のロック色を示す力強い曲。

まとめ:どのアルバムから入るか

まずは「Starfish」でThe Churchの魅力の入口に立ち、「The Blurred Crusade」や「Seance」で初期の魅力を味わい、「Priest=Aura」や「Further/Deeper」で作家性の深さを確かめる、という流れが自然です。The Churchは一聴で全貌が見えるタイプのバンドではなく、繰り返し聴くほどにギターの重なりや歌詞の層が立ち上がってきます。アルバム単位で聴き込むほど、彼らの多面性に魅了されるでしょう。

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参考文献