Steve Howeのギター世界を徹底解説:Yesの名盤とソロ作を聴き方まで網羅

Steve Howe — 簡単なプロフィールと評価

Steve Howe はイギリス出身のギタリストで、特にプログレッシブ・ロック・バンド「Yes」の中心的存在として知られています。クラシック、ジャズ、ブルース、カントリー、フォークなど多様な音楽要素を自在に取り入れ、エレキ、アコースティック、スライド、ラテン系のテイストやクラシック・ギターのタッチまで幅広いサウンドレンジを持つことが特徴です。本コラムでは、Steve Howe のプレイや作曲性がよくわかるおすすめレコードを取り上げ、それぞれの聴きどころを深掘りします。

おすすめレコード一覧(解説付き)

The Yes Album(Yes)

Steve Howe が Yes に正式加入して初めてレコーディングに参加したアルバムのひとつで、バンドとしての音楽性が大きく開花した作品です。ロック的なエネルギーとプログレ的な展開を兼ね備え、Howe の多彩なギターが楽曲の輪郭を決めています。

  • 代表曲: "Yours Is No Disgrace", "Starship Trooper"
  • 聴きどころ: エレキとアコースティックを織り交ぜるアレンジ、曲ごとに変化するトーン感。特に「Starship Trooper」ではソロの構築とリズム刻みのバランスが秀逸。
  • 背景: バンド全体のアンサンブルの中で Howe のギターパートが「メロディを補強する」役割以上に、曲の構造を作る役目を担っている点に注目。

Fragile(Yes)

Yes の代表作のひとつ。バンドのメンバー全員が作曲に貢献する形を取り、Howe の短いが精緻なギターパートが各所で光ります。技術的な難易度だけでなく、音楽的な「場面転換」を生み出す表現力が特徴です。

  • 代表曲: "Roundabout", 各メンバーのソロ・パート(Howe の貢献が随所に見られる)
  • 聴きどころ: ロック的リフから繊細なアコースティック・フレーズまで、楽曲のダイナミクスを描く Howe の対位法的アプローチ。
  • 背景: プログレッシブな構成を取りながらもポップ感覚のあるフックが多数。Howe のギターは楽曲の「推進力」だけでなく、空間を埋める装飾性も担う。

Close to the Edge(Yes)

プログレの金字塔とされる長尺組曲を含むアルバム。Howe のギターはテクニカルでありながら叙情性を失わないのが特徴です。特に長いパッセージの中でモチーフを展開し、他楽器と絡むことでドラマ性を作り出します。

  • 代表曲: タイトル曲「Close to the Edge」(組曲)、"And You and I" など
  • 聴きどころ: 組曲形式の中でテーマを繰り返しつつ変奏する Howe のフレーズ、アンサンブル内での対話的ソロ。
  • 背景: 楽曲の構造理解があると、Howe のフレージングやダイナミクスの意図がより明確に聞こえます。

Going for the One(Yes)

1970年代後半の Yes を代表する作品の一枚。Howe のギターはより歌心を重視したアプローチが増え、アコースティック・ギターやスライド、レスポンシブなソロが楽曲に温度を与えます。

  • 代表曲: "Awaken", "Going for the One"
  • 聴きどころ: 大曲「Awaken」での段階的に高まるクライマックスにおける Howe のメロディック・ソロ。繊細なアルペジオとドラマティックなコードワークの対比。
  • 背景: 比較的歌メロ重視のアプローチと、プログレ特有の構築技巧が両立している時期の名作。

Beginnings(Steve Howe ソロ)

Steve Howe の初ソロ作で、彼の音楽的ルーツがダイレクトに表れた作品です。バンドでの派手なプレイとは異なり、アコースティック中心で叙情的な曲が多く、Howe の作曲家としての側面が強調されます。

  • 代表曲: アルバム全体を通しての多彩な小曲群(クラシック風、フォーク風、ブルース風など)
  • 聴きどころ: ギター・トーンの違いと、楽曲ごとに色づけされるアレンジ。クラシカルなフィンガリングや親しみやすいメロディが魅力。
  • 背景: ソロ作ならではのパーソナルな表現が味わえるので、Howe を「ギタリスト」以上に「作家」として知るには最適。

The Steve Howe Album(Steve Howe ソロ)

ゲストミュージシャンを迎えたバラエティに富むソロ作品で、エレクトリックからアコースティックまで幅広いサウンドを収録。Howe のスタイルが多面的に出ているため、彼の全体像を掴むのに適しています。

  • 代表曲: 多彩なインストゥルメンタル曲群とポップ/ロック寄りの曲
  • 聴きどころ: 編曲ごとの異なるギター・アプローチ(ハイブリッド奏法、レイヤーされたギター・テクスチャ)を楽しむこと。
  • 背景: ゲストとの共演により、多様な音楽的コントラストが生まれている点が面白い。

Natural Timbre(Steve Howe ソロ)

アコースティック楽器に重心を置いた作品で、クラシック・ギターやマンドリンなど“自然な音色”に焦点を当てています。録音の空気感やアコースティック・アンサンブルの響きが魅力。

  • 代表曲: アコースティック・インスト中心の楽曲群
  • 聴きどころ: 指弾きによる繊細なニュアンス、サステインや共鳴を活かしたフレーズの美しさ。
  • 背景: バンドサウンドとは別の側面、Howe の音楽的深度と歌心が見えるアルバム。

Homebrew シリーズ(Steve Howe コレクション)

デモや未発表音源、初期アイディアをまとめたシリーズ。曲の芽がどのように成長していったか、あるいはライブとは異なる素顔のアレンジを知ることができます。ファン向けの「制作過程」を追える貴重な資料的レコードです。

  • 代表性: デモ段階の演奏、未発表トラック、別テイクなど
  • 聴きどころ: 作品のスケッチ的側面。Howe のフレーズや構想が素の形で聞けるため、作曲手法やアレンジの発想を学べる。
  • 背景: 完成版との比較で聴くと、曲作りのプロセスを追体験できる楽しさがある。

Anderson Bruford Wakeman Howe(ABWH)

Yes の主要メンバーによる別プロジェクトで、古典的な Yes サウンドを継承しつつも独自色を打ち出したアルバム。Howe のギターはバンドのサウンドに深みと多彩さを与えています。

  • 代表曲: アルバム全体を通じた大曲志向の楽曲群
  • 聴きどころ: 典型的なプログレッシブ・アンサンブル内での Howe の役割—装飾的なアルペジオからドラマティックなリードまで。
  • 背景: 既存の Yes ファンだけでなく、Howe の対位法的アプローチやアンサンブル感を再確認するのに良い一枚。

Howe のプレイを深く楽しむための聴き方アドバイス

  • パートごとに注目する: リードだけでなくリズム、アルペジオ、ハーモニクスなど「どのパートを担っているか」を意識すると Howe の多面性が見える。
  • 他楽器との対話を追う: キーボードやベースとの掛け合い、特にYesでは各楽器がテーマを引き継いだり応答したりする瞬間が多い。
  • アコースティック曲も聴く: Howe のメロディ感覚やクラシック的な指使いはソロ/アコースティックで顕著に現れる。
  • デモや別テイクを比較する: Homebrew 系で構想の変遷を追うと作曲術のヒントが得られる。

まとめ — なぜ Steve Howe を聴くべきか

Steve Howe は単なる速弾きや技巧に頼るギタリストではなく、楽曲全体の語り口(ナラティブ)をギターで紡げる稀有な存在です。バンド楽曲でもソロでも、メロディとテクニック、アンサンブルの中での役割意識が強く表れます。今回挙げたアルバムは、その多面性をさまざまな角度から示してくれるものばかりなので、初めて聴く方は Yes の代表作と Beginnings / The Steve Howe Album をセットで聴くことをおすすめします。

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参考文献