Aksak Maboulの名盤を深掘り|背景・聴き方・おすすめレコードと入手ガイド
イントロダクション
Aksak Maboul(アクサック・マブル)は、1970年代末にベルギーで生まれた実験的・前衛的音楽プロジェクトで、ポップ感覚とアヴァンギャルドな手法を同居させた独自のサウンドで知られます。中心人物の一人であるマルク・オランダー(Marc Hollander)は後にレーベル「Crammed Discs」を主宰し、そこからの発信も含めて欧州のフリー/実験音楽やワールド・ミュージックの潮流に影響を与えました。本コラムでは、彼らの代表作/名盤を深掘りし、各レコードの魅力と聴きどころを丁寧に解説します。
Aksak Maboul の音楽的特徴と背景
バンド名の「Aksak」は、トルコ語で「不規則なリズム(=“limping”)」をもじった言葉遊びから取られており、音楽的にも従来のロックの4/4拍子に頼らないリズム感や、フォーク、クラシック、電子音楽、現代音楽的なアプローチを横断する姿勢が特徴です。即興的要素、コラージュ/モンタージュ技法、ユーモアを含んだポップ性が入り混じり、聴くたびに新しい発見があるアルバムが多いのが魅力です。
おすすめレコード(深掘り)
Onze Danses Pour Combattre la Migraine(1977)
デビュー作にして名盤。ジャンルや様式を飛び越える短い楽曲群と実験的な断片が並び、ポップな旋律とコンクレート的な音響処理、室内楽的アレンジが交差します。アルバム全体が一種の小品集として機能しており、聴き手にとって毎トラックが“発見”の連続となる構成です。
聴きどころ:曲と曲のあいだに挿入される短いインタールード(音のコラージュ)、トラディショナルな楽器と電子的処理の対比、突発的に現れるポップなフレーズ。初めて聴くならアルバム序盤から通して一気に聴くことを勧めます。歴史的にはベルギーの実験シーンとつながる重要作で、Aksak Maboul の出発点を理解するうえで不可欠です。
Un Peu de l'âme des bandits(1980)
デビュー作から一歩進んで、より歌もの/ポップ性を前面に出した作品。ただし“ポップ”といっても商業音楽的なそれではなく、変拍子や不定形のアレンジ、実験的なサウンドデザインが隙間に潜んでいます。ボーカル曲も増え、物語性やキャラクター性が強い楽曲が並びます。
聴きどころ:歌モノのメロディーラインに隠された不協和や不均衡、シアトリカルな演出、楽器編成の緻密さ。A面・B面で異なる色合いを見せるため、レコードでのA/Bの流れを意識して聴くと面白いです。こちらもコレクターズ・アイテムとして人気が高い作品。
再発盤・アンソロジー/未発表曲集(リイシュー)
オリジナルのアナログ盤はコレクターズ市場で価値が上がっていることが多いため、初めて聴く場合は公式リイシューやアンソロジー盤を選ぶのが現実的です。リマスターやボーナストラック、未発表録音を収録した再発はいくつか出ており、歴史的文脈とともに音像を再評価するうえで有益です。
聴きどころ:リイシューには当時のデモ音源やラフミックスが含まれることがあり、制作の過程や別テイクの面白さを味わえます。現代的なリマスタリングにより、細部の音像がクリアになる一方で、オリジナルの摩擦感やテープの温かみが多少薄れる可能性もあるので、好みに応じてオリジナル盤と聴き比べるのも楽しいです。
アルバム別の「聴き方」とおすすめポイント
初めて聴く人へ:「構成の妙」を体感するため、アルバムを通しで聴くのが一番。曲の間の“溝”や繋ぎの効果が作品の魅力を醸します。
ディテール重視の聴き方:ある一曲を選んで、編曲(どの楽器がどのフレーズを担当しているか)、スタジオ処理(エフェクト、編集の痕跡)、曲間のノイズやコラージュに注目すると、制作の手触りが見えてきます。
歴史的文脈で聴く:同時代のロック・イン・オポジション(Rock in Opposition)や欧州の実験音楽、さらにはワールド・ミュージック/フォークの再解釈と比較すると、Aksak Maboul の独自性が一層際立ちます。
収集・購入のヒント(盤の選び方)
オリジナル盤は音の雰囲気やコレクション価値がありますが、状態(盤質・ジャケットの保存)をよく確認してください。
公式リイシューはリマスターや解説(英/仏語)を付けている場合が多く、初めて聴く人や詳細なクレジットを知りたい人には便利です。
デジタル配信で気軽に試聴してから、気に入った盤をアナログで手に入れる方法もおすすめです。
Aksak Maboul を深めるための次の一歩
・同時代のベルギー/欧州の実験アーティストや、Crammed Discs 周辺のアーティスト(レーベルのコンピなど)を聴いて、音作りやコンセプトの共鳴点を探してみてください。
・ライブ録音や復活後の作品群(プロジェクト再編成後の新録音やツアー録音)も近年存在するので、スタジオ作とライブ作の違いを楽しむのもおすすめです。
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