Goblin(ゴブリン)— イタリアのホラー映画サウンドトラックを牽引した名バンドのプロフィールと代表作
Goblin — プロフィール(概略)
Goblin(ゴブリン)は、1970年代イタリアで結成されたグループで、映画音楽・特にホラー映画のサウンドトラックで世界的に知られるバンドです。鍵盤奏者クラウディオ・シモネッティ(Claudio Simonetti)、ギタリストのマッシモ・モランテ(Massimo Morante)、ベーシストのファビオ・ピニャテッリ(Fabio Pignatelli)を中核に、時期によってドラマー等のメンバーが変動する形で活動してきました。
1975年のダリオ・アルジェント監督作『Profondo Rosso』(邦題:深紅)のサウンドトラックで一躍注目され、続く1977年『Suspiria』のスコアで国際的な評価を確立。以降もホラー映画作品を中心に独特の音世界を築き上げ、多くの再発・カバー・サンプリングの対象となっています。
音楽的特徴とサウンドメイク
鍵盤とシンセの主導:クラウディオ・シモネッティのミニモーグやメロトロンを中心にしたサウンドが基軸。温かいアナログ・シンセと不穏なストリングス音色の組合せが“映画的”な色彩を作ります。
リズムの緊張感:ファビオの太いベースラインと変拍子やオスティナート(反復フレーズ)を活かしたリズム隊が、じわじわと高まる不安感を演出します。ドラムやパーカッションのアクセントが場面転換やクライマックスを際立たせます。
ギターのテクスチャ:マッシモのギターは単なるリードではなく、エフェクトやフレージングで空間を歪ませる役割を持ち、サウンド全体に生々しい“有機的な不穏さ”を加えます。
メロディと不協和:単純なキャッチーさと、ジャズやクラシック的な不協和音を併用して聴覚的緊張を作るのが得意。短いモチーフを繰り返しながら微妙に変化させ、映像との同期効果を高めます。
音響的アプローチ:スタジオでのテープ操作、リバーブ、ディレイなどを積極的に用い、“音の塊”として恐怖感や夢幻性を作り出します。
代表作・名盤ガイド
Profondo Rosso (1975) — ブレイクスルー作。緻密なメロディとリズムが映画の緊張を増幅し、Goblinの名を一躍知らしめたサウンドトラック。初めて聴くならここから入るのが定番です。
Suspiria (1977) — 彼らの代表傑作の一つ。童謡めいた旋律と不気味なサウンドスケープの対比、そして圧倒的な映画的演出が特徴。ホラー音楽の金字塔として評価されています。
Dawn of the Dead (1978) — ジョージ・A・ロメロの作品(イタリア版などで使用)に関わったスコア。ダイナミックでロック色の強いトラックが多く、映画音楽とロックの境界を曖昧にします。
Tenebre(関連作品・80年代の仕事) — 80年代に入ってからの作品群では、シンセサウンドの比重が増え、当時の流行を取り入れつつも彼ららしい不穏さを保ちます(作曲クレジットや編成は作品ごとに変動します)。
Goblinの魅力を深掘りする — なぜ心を捉えるのか
映画と一体化した“劇伴としての完成度”:Goblinの楽曲は単なるバックグラウンド音楽でなく、映像の感情を能動的に動かす役割を果たします。メロディの提示、反復、緊張の解放までを緻密に設計している点が強烈な印象を残します。
親しみやすさと違和感のバランス:キャッチーなフック(主題)を持ちながら、すぐそばに“不協和”や“音響的違和感”が潜んでいる。その二面性が聴く者の注意を引き続けます。
生演奏的ダイナミズム:アナログ機材と生楽器の混合により、トラックに独特の有機的揺らぎが残ります。これがサンプル主体の現代音楽と一線を画す魅力です。
影響力と拡散性:ホラー映画愛好家だけでなく、ロック/プログレ/エレクトロニカ/メタルのミュージシャンにも影響を与え、近年はリイシューやライブ再現、サンプリングを通じて若い世代にも再評価されています。
聴きどころ・入門ガイド
初めて聴くなら:『Profondo Rosso』→『Suspiria』→『Dawn of the Dead』の順で聴くと、彼らのサウンドの変遷と幅がよく分かります。
注目ポイント:テーマの“反復による変形”、キーボードの音色選び(メロトロンやモノシンセの質感)、ベースとギターのテクスチャの対話に耳を向けると、音だけで物語が立ち上がる感覚を味わえます。
映像と合わせて体験:可能であれば映画本編を映像とともに体験すると、サウンドトラックが持つ演出的機能がより明確になり、Goblinの巧みさが実感できます。
ライブと現在の活動について(概観)
結成以来、メンバーの変遷や派生ユニット(Claudio Simonettiを中心としたプロジェクトや“Goblin Rebirth”など)が生まれ、同じ「Goblin」名義でも複数の編成が存在してきました。近年はオリジナル作品のリイシューや、映画上映と並行してライブ演奏を行うイベントが世界各地で組まれ、ライブでサウンドを再現・再解釈する試みが評価されています。
Goblin を聴く上での注意点(リスナー向けの視点)
作品ごとにアプローチが異なる:全作が同じテイストではなく、映画の要求や時代背景で音作りが変化します。複数作を聴くことでその多面性が見えてきます。
バンド名の混同:過去・現在で異なるメンバーが同名で活動しているため、クレジットや演奏メンバーを確認するとより正確に作品背景を理解できます。
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