John Wettonの生涯と音楽的影響:King CrimsonからAsiaまでの軌跡
John Wetton のプロフィールと概要
John Wetton(ジョン・ウェットン、1949年6月12日生〜2017年1月31日没)は、イングランド出身のベーシスト、シンガー、ソングライター。1970年代のプログレッシブ・ロック期に頭角を現し、King Crimson、UK、そして1980年代のメガヒットを生んだAsiaなど、幾つもの重要なプロジェクトで中心的役割を果たしました。豊かな声質とメロディックなベースワーク、そしてポップとプログレの橋渡しをするソングライティングで幅広いファン層を獲得しました。
経歴(概観)
- 初期と台頭:1960〜70年代にバンドを転々とした後、1972年頃からKing Crimsonに参加。以後、同バンドの革新的な時期に重要な役割を担いました。
- UK とプログレ継承:1978年にEddie Jobsonらと結成したスーパーグループUKでは、複雑な楽曲構成におけるリズムと歌の橋渡し役を務めました。
- ポップな成功:Asia:1981〜82年にかけてGeoff Downesと組んで結成したAsiaで、セルフタイトルのデビュー作(1982年)が世界的大ヒット。「Heat of the Moment」などは80年代ロックの代表曲になりました。
- ソロ/コラボレーション:ソロ活動や数多のコラボレーションでも精力的に作品を残し、晩年までツアーと録音を続けました。2016年に病気が明らかになり、2017年に逝去しました。
音楽的特徴と魅力 — なぜ多くの人を惹きつけるのか
John Wetton の魅力は、単なる「良い歌手」「良いベーシスト」という枠を越えて、多層的な音楽家としてのバランスにあります。以下にそのポイントを整理します。
- 表現力豊かなボーカル:温かみと力強さを併せ持った声は、バラードからヘヴィな展開まで情感豊かに歌い上げます。高音部での伸びと中低域の落ち着きが同居しており、歌詞の感情をダイレクトに伝えます。
- メロディに寄り添うベース:彼のベースは単なる低音の支えに留まらず、楽曲のメロディやコード進行を補強する「歌うベース」です。プログレの複雑さを支えつつ、ポップなサビではキャッチーさを生む役割も果たしました。
- ソングライティングの力:緻密なアレンジとわかりやすいフックを両立させる作曲力を持ち、プログレッシブな構成とヒット曲の条件を両立させられる稀有な才能でした。
- ジャンルを横断する柔軟性:アート志向のKing Crimsonから、技巧派のUK、商業的成功を求めたAsia、そしてソロ作での個人的な表現まで、状況に応じた音楽性の切り替えが自然にできることも大きな強みです。
- ステージでの説得力:落ち着いたが芯のあるパフォーマンスで観客を受け止め、曲のピークを効果的に作る力がありました。
代表曲・名盤(入門ガイド)
幅広い活動の中から、初めて聴く人におすすめの代表的な作品をピックアップします。
- King Crimson — Larks' Tongues in Aspic / Starless and Bible Black / Red
1973〜74年のKing Crimson期のアルバム群。ウェットンのベースとボーカルがバンドのダークで実験的なサウンドに深みを与えています。特に「Starless」は彼の歌唱が印象的な名曲です。
- UK — UK(1978)
英国のテクニカルなミュージシャンたちが集った一枚。プログレの高度な器楽性に、ウェットンのメロディセンスと歌が温かさを加えています。
- Asia — Asia(1982)
シングル「Heat of the Moment」をはじめ、メロディックで耳に残る楽曲群。プログレ出身者が作った「大衆に届くロック」の好例で、彼のボーカルが広範な層に受け入れられました。
- ソロ作品(入門的に)
ソロ活動では本人の個人的な感情やよりストレートなロック/バラードが聴けます。初期ソロや90年代以降の作品群は、ファンにとっては彼の人柄が反映された重要な音源です(代表作は複数あるため、まずはライブ盤やベストで全体像を掴むのがおすすめ)。
ライブと人柄
ウェットンはステージ上での安定感が印象的でした。過度にパフォーマティブではなく、楽曲の感情に誠実に向き合う姿勢がファンの信頼を集めました。ミュージシャン仲間からは「頼れるリード」と評されることが多く、共演者とのケミストリーを大切にするタイプでした。
影響・遺産
彼の仕事は、プログレッシブ・ロックと商業ロックの橋渡しを示した点で重要です。多くのベーシストやボーカリストに影響を与え、特に「楽器的に歌うベース」「歌と楽器のバランス」についての好例として語られます。Asiaのヒットによって、80年代のロック・シーンにも大きな痕跡を残しました。
聴き方の提案
- はじめてならAsiaのセルフタイトル(1982)を入り口に、メロディと歌の魅力を体感する。
- その後、King Crimson期のアルバムで彼のより実験的・技巧的な面を聴き比べると、ウェットンの多面性が分かりやすい。
- ライブ盤やアンソロジーで彼の歌唱の表現力や歌詞解釈を追うと、個人としての魅力が深く理解できます。
まとめ
John Wetton は、テクニックとメロディのバランス、誠実な歌唱、そしてジャンルを超えた柔軟性によって長年にわたり多くのリスナーを惹きつけ続けたミュージシャンです。プログレッシブ・ロックの核心にいた者が、商業的成功と芸術性の両立を体現した稀有な存在として、現在でも多くの音楽ファンに愛されています。
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参考文献
- John Wetton — Wikipedia
- John Wetton obituary — BBC
- John Wetton obituary — The Guardian
- John Wetton — AllMusic


