King Curtis(キング・カーティス)— 歌うようなサックスで紡ぐR&B/ソウルの伝説のプロフィールと代表曲ガイド
King Curtis(カーティス・“キング”・オースリー) — プロフィール
King Curtis(本名:Curtis Ousley、通称カーティス・“キング”・オースリー)は、20世紀中盤から後半にかけてR&B/ソウル/ロックの分野で大きな存在感を示したアメリカのサクソフォーン奏者です。テナー・サックスを中心に、歌うようなトーンとグルーヴ感あふれるフレーズで多くのヒットや名演に彩りを与えました。生年は1934年、1971年に急逝していますが、その短い生涯にもかかわらず後世のミュージシャンに与えた影響は非常に大きいです。
- 本名:Curtis Ousley(カーティス・オースリー)
- 生年/没年:1934年生〜1971年没
- 主な楽器:テナー・サクソフォン(ほかにアルトやソプラノも使用)
- 活動ジャンル:R&B、ソウル、ロック、ジャズのクロスオーバー
- 代表的な立場:リーダー/「King Curtis & the Kingpins」率いる活動、スタジオ・ミュージシャン(特にAtlantic系のセッション)
音楽的な魅力 — なぜ特別なのか
King Curtis の魅力は「声のようなサックス」に集約されます。具体的には次の点が際立ちます。
- 温かく人間味のあるトーン:艶と太さを兼ね備えた音色で、歌声の代弁者のようにメロディを歌い上げます。バラードでもアップテンポでも聴き手の感情に直接訴えかけます。
- フレーズの即時性とキャッチーさ:大きなテクニックをひけらかすより「短くて印象に残るフレーズ」を多用し、楽曲のフックとして働くソロを作るのが得意でした。ポップ/R&B的感覚に優れています。
- ジャズとR&Bの橋渡し:ビバップ由来の語彙を持ちながら、ブルースやゴスペルの語法を自然に取り入れており、ジャズ的な知性とブラック・ポピュラー音楽のグルーヴを両立させました。
- アンサンブル・センス:ボーカルとの応答(コール&レスポンス)やバンド全体のグルーヴを意識したプレイが多く、ソロが楽曲の“声”として機能します。
- 多面的な役割:リーダーとして演奏/録音を行う一方で、スタジオ・ミュージシャンとして他アーティストの名演にも多数参加。名脇役であると同時に、曲を引き立てる“顔”にもなりました。
代表曲・名演(聴きどころ付き)
以下はKing Curtisを知るために押さえておきたい代表的なトラックと、聴く際のポイントです。
- Soul Twist — シンプルでダンサブルなR&Bインスト。短いフレーズで強烈に耳に残る作りはKing Curtisのポップな才覚がよく分かります。
- Soul Serenade — ゆったりとしたインスト・バラード。歌うようなトーンと情感豊かなフレージングが光る名曲で、サックスの歌心を堪能できます。
- Memphis Soul Stew — リズムとブラスのアレンジが楽しい、ステップ感のある演奏。聴いている者を自然に身体を動かさせるドライヴ感が魅力です。
- King Curtis & the Kingpins のライブ演奏 — バンド感・即興の熱さを味わえるライブ録音も多数。観客との呼吸やエネルギーがダイレクトに伝わってきます。
セッション・ワークと共演者としての存在感
King Curtis は単独作品だけでなく、数多くの録音セッションで重要な役割を果たしました。ソウルやR&Bの大物アーティストのレコーディングに呼ばれ、曲の印象を決定づけるサックスソロやリフを提供しています。特に1960年代後半からはAretha Franklin(アレサ・フランクリン)らと深く関わり、ツアーや録音でそのバンドとして重要な位置を占めました。
表現のテクニック — 聴き手に残る“言葉”としてのサックス
具体的な演奏テクニックというよりも、King Curtis の特徴は「語る」感覚にあります。例えば:
- 口元のニュアンス(アンブシュア)で声のような色合いを作る
- フレーズの終わりに余韻を残すことで“言い切る”力を付ける
- 短いモチーフを繰り返しながら徐々に変化をつけ、曲全体の主題を作る
- バンドとの対話を大事にし、ソロ自体が楽曲の一部として自然に機能する
影響と受け継がれるもの
King Curtis のスタイルは、その後のソウル/R&B系サクソフォニストやロック系のホーン・プレイヤーに強い影響を与えました。「歌うようなサックス」という表現は彼を基準に語られることが多く、幅広いジャンルで彼のフレーズ感やトーン志向が参照され続けています。短いキャリアながらも、ポップ/ブラックミュージックの重要な語り部の一人でした。
聴き始めのガイド(初心者向け)
まずは代表曲の短いトラックで「声としてのサックス」を体感してください。落ち着いたバラードでトーンを、アップテンポ曲でグルーヴ感を確かめると良いです。ライヴ録音はエネルギーと即興の妙を知るうえで有効です。
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参考文献
- King Curtis — Wikipedia (英語)
- King Curtis — AllMusic
- King Curtis — Britannica
- The New York Times — 当時の訃報記事(1971)


