Brass Construction徹底解説:70年代ディスコとファンクを牽引したホーン・バンドの歴史と必聴名盤ガイド
Brass Constructionとは — 短いイントロダクション
Brass Constructionは1970年代に頭角を現したアメリカのファンク/ディスコ・バンドです。リーダー兼アレンジャーのランディ・マラー(Randy Muller)を中心に、ホーン・セクションを前面に出した大編成でタイトなリズム・グルーヴと伸びやかなブラス・ラインを武器にしました。ダンスフロア志向の長尺で展開するトラックから、ディスコ・ポップ寄りの短尺ヒットまで幅広くこなし、70年代後半のクラブ・シーンやその後のハウス/ヒップホップ世代に与えた影響も大きいバンドです。
おすすめレコード(深掘り解説)
Brass Construction (1975) — デビュー作(必聴)
なによりもまずこのデビュー盤を挙げなければなりません。バンドの「音の設計図」が明確に表れている作品で、長尺のダンス・グルーヴと金管が渾然一体となったダイナミックさが魅力です。シンプルなリズム・パターンを軸に、徐々にパーツが重なっていく展開はクラブでも映えますし、アルバム全体を通して聴くことでアンサンブルの完成度やアレンジの妙を堪能できます。
聴きどころ:
- イントロから徐々に組み上がるリズム構造とホーンのレイヤリング
- ダンス・フロアでの即効性とアルバム全体での物語性(長尺曲の持つ起伏)
- ランディ・マラー流の「シンプルだが効く」フック作り
コレクション的価値:デビューのオリジナル盤は人気があり、ジャケット/盤の状態次第で値が付くことがあります。音質面ではオリジナル・プレスの雰囲気を好むリスナーも多いですが、現代のリマスターや良好な再発も聞きやすくおすすめです。
Brass Construction II (1976) — 進化とダンス寄りの充実感
1作目の勢いを受けつつ、よりダンス・フロアを意識した洗練が進んだセカンド。アレンジの密度が高まり、楽曲ごとにバリエーションを持たせつつもバンドの核であるホーン主導のグルーヴは揺るぎません。ディスコ/ポストファンク的な要素が目立ち、より短尺でインパクトのある曲も増えます。
聴きどころ:
- 演奏のタイトさがさらに増しており、グルーヴの切れ味がよい
- ダンスやラジオ向けのフックが増え、クラシック化したトラックも多い
- アレンジの多彩さ(リズムチェンジやホーンの対位法)
コレクション的価値:こちらもオリジナルの人気は高いですが、用途(DJプレイ/リスニング)に合わせてオリジナル盤と良質な再発盤を選ぶと良いでしょう。
Brass Construction III(1977)/以降の中期作 — 実験と深化
3作目以降はさらに音の幅が広がり、ファンクの骨太さとディスコ的洗練がバランスよく混在します。アルバムごとに少しずつ色合いが変わり、ホーン・アンサンブルを中心にしつつもリズムやプロダクション、コーラス・アレンジなどで新しい試みをしているのが魅力です。好みで「フロア向け強め」を選ぶか「アルバムとしてじっくり聴く」タイプを選ぶかでおすすめ盤が変わります。
聴きどころ:
- 曲ごとのアレンジの工夫(間の取り方、ホーンの配置)
- コーラスやメロディ・ラインに見られるポップな側面
- 中期以降でのプロダクションの変化を追う楽しさ
ベスト盤/編集盤(例:「Movin'」集など) — 入門用・プレイリスト代わりに
まずは「代表曲だけ聴きたい」「プレイリスト代わりに使いたい」という向きにはベスト盤や編集盤が便利です。Brass Constructionは長尺のトラックも多いため、短時間でバンドの魅力を掴みたいときに最適。クラブ寄りの曲、ポップ寄りの曲、インスト寄りのグルーヴなど、バンドの側面を手早く把握できます。
聴きどころ:
- 「Movin'」などの代表トラックを一発で体感できる
- アルバムでの流れとは別の「シングル志向」の良さを味わえる
- サンプリング元として知られるグルーヴの断片を確認できる
なぜこれらのレコードが重要か — 音楽的/文化的な観点から
- ホーン中心の編成でファンクとディスコを橋渡しした点。70年代のダンス音楽史における「過渡期」を体現している。
- シンプルなリズムに複雑なホーン・アレンジを重ねる手法が、後のハウスやヒップホップのプロデューサーにとって魅力的なサンプリング素材となったこと。
- 長尺のダンス・トラックと短尺のシングル志向曲の両方を持つため、クラブ用途にもラジオ/家庭でのリスニング用途にも対応する汎用性がある。
聴きどころのポイント(選曲・再生で注目したい視点)
- 「イントロでの展開」:多くの曲はゆっくり組み上がるので、イントロの変化を追うとアレンジの妙がよく分かる。
- 「ホーンとリズムの対話」:単なるホーンの鳴りではなく、リズム隊との掛け合いを聴くことでバンド全体の緊張感が伝わる。
- 「反復と変化」:繰り返しのグルーヴにいかに小さな変化を加えて飽きさせないか、という作りが随所に見られる。
購入・コレクションの観点(何を基準に選ぶか)
- 目的を明確にする:資料的に揃えたいのか、日常的に聴く/DJで使うのかで選ぶ盤が変わります。
- オリジナル盤と再発の違い:オリジナルはコレクション価値が高いことが多いですが、再発は状態が良く価格が手頃で聴きやすい場合が多いです。
- ジャケットやクレジットを確認する:プロデューサーやアレンジャー(ランディ・マラー等)の記載、ライナーノーツの有無でその盤の情報量が変わります。
まとめ
Brass Constructionは「ホーンが主役のダンス・バンド」という明快な個性を持ちながら、曲ごとに色合いを変えられる柔軟さも併せ持っています。入門はデビュー作(1975年作)とベスト盤、じっくり掘るならセカンド以降のアルバム群を通して全体像を把握するのがおすすめです。音の構造やアレンジ感を追うと、当時のダンス音楽の潮流とその後の影響力がより鮮明に見えてきます。
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参考文献
- Brass Construction — Wikipedia
- Brass Construction — Discogs(ディスコグラフィ)
- Randy Muller — Wikipedia
- Brass Construction — AllMusic(アーティスト紹介とレビュー)


