The Fugs 入門ガイド:代表曲と名盤を聴く順序と聴き方で紐解く1960年代ニューヨークのカウンターカルチャー
はじめに — The Fugsとは何者か
The Fugs(ザ・ファッグス)は1960年代のニューヨーク・カウンターカルチャーを代表する集団的ロック/ポエトリー・グループです。詩人であるエド・サンダース(Ed Sanders)とトゥリ・クッパーバーグ(Tuli Kupferberg)を中心に結成され、政治的風刺、性的ユーモア、実験的なサウンドを混ぜ合わせた独自の表現で知られます。ロック、フォーク、フリー・ジャズ、詩の朗読がぶつかり合うその音楽性は、当時の反戦・反体制ムーブメントと強く結びついていました。
聴く前の心構え
The Fugsは「きれいにまとまったポップ」ではなく、意図的に荒削りで挑発的な表現を多用します。歌詞の直接性、下品ともとれるユーモア、即興的な演奏の要素を楽しめるかどうかが鍵です。背景にある詩的・政治的な文脈を知るとより深く味わえますが、まずは「自由な混沌」をそのまま受け止めて聴いてみてください。
代表曲(バンド全体を知るためのハイライト)
- I Couldn't Get High — バンドのユーモアと日常的モチーフが漂う一曲(多くのベスト選に収録される代表曲)。
- Kill for Peace — 反戦メッセージを直接的に表現した曲で、THE FUGSの政治性を象徴する一曲。
- C.I.A. Man — 政府/諜報機関を風刺した歌で、皮肉と怒りが同居する典型的ナンバー。
- Boobs A Lot(曲名例) — 下品さを笑い飛ばす風刺精神が前面に出た楽曲群の代表例。
おすすめレコード(深掘り)
The Village Fugs(初期作・デビュー周辺)
なによりまず「原点」を聴きたい人に。初期録音は粗削りで荒々しく、詩人たちの群像劇のような勢いがあります。フォークやブルースの土台に即興的なカオスが被さるその音像は、後の実験性の基盤となりました。
- 聴きどころ:政治風刺/性的ユーモアの直接性、ライブ感のある即興。
- おすすめポイント:Fugsの「荒々しい生々しさ」を最もストレートに味わえる。
The Fugs Second Album(中期の発展期)
デビューの荒々しさを基に、曲構成や演奏の幅が広がり始める作品群。ロック色・プロダクションの実験が増え、よりバンドとしてのまとまりを感じられる一方で、詩的・政治的メッセージはさらに鋭くなります。
- 聴きどころ:複数ジャンルを横断するアレンジ、バンド・サウンドの厚み。
- おすすめポイント:初期の暴走と後期の実験性をつなぐ“橋渡し”的な位置づけ。
Tenderness Junction(メジャー・レーベル期の挑戦)
よりプロダクションを意識した作風が増え、楽曲の幅も広がった時期の作品。ポップ/ロックの枠組みを借りつつも、Fugs流の毒とユーモアを失わない作りになっています。メジャー・リリースならではの録音クオリティ向上も魅力です。
- 聴きどころ:作曲面での工夫、演奏のまとまりと毒のバランス。
- おすすめポイント:Fugs入門者が「意外と聴ける」と感じやすい作品群。
It Crawled into My Hand, Honest(実験性の頂点)
多くの批評家やファンから「彼らの最高傑作」として挙げられることのある野心作。音響実験、長尺の詩的トラック、ユーモラスでありながら内省的な曲まで、バラエティに富んだ内容です。自由詩とサウンドコラージュが一体化したアルバム体験として評価されています。
- 聴きどころ:音響的な冒険、詩と音楽の融合、長尺トラックの物語性。
- おすすめポイント:Fugsの「芸術的野心」を最も濃密に感じられる作品。批評的評価も高い。
ベスト/コンピレーション盤(初めて聴く人向け)
曲のレンジを短時間で掴みたい場合は各種ベスト盤やコンピを利用すると便利です。初期の過激さから後期の実験までをバランス良くまとめた編集盤をひと通り聴くと、本格的にアルバムを追う際の指標になります。
- 聴きどころ:代表曲を効率よく押さえられる点。
- おすすめポイント:入門用として最適。収録曲は盤によって差が大きいので曲目を確認して選ぶと良い。
どう聴き分けるか(聞き手へのアドバイス)
- 「政治・詩」に注目する聴き方:歌詞の風刺性や時事的文脈を追うと、当時の社会状況と連動した深い示唆が得られます。
- 「音響・実験」に注目する聴き方:ノイズや即興パート、音響コラージュの配置を追い、音の構造的面白さを楽しみましょう。
- 「ユーモア・パフォーマンス」を楽しむ:下品さやブラックユーモアも彼らの重要な表現手段。笑いや挑発が意図的である点に注意して聴くと味わいが深まります。
まとめ — 何を買うべきか
はじめてならば「代表曲を集めたコンピ」→「初期アルバム(荒々しさ)」→「It Crawled into My Hand, Honest(実験的到達点)」の順で聴き進めると、Fugsの全貌が順序立てて理解できます。コレクターなら初期オリジナル盤や当時のリリース順に沿って通して聴くのがおすすめです。
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