フィオレンツァ・コッソット完全ガイド:メゾソプラノの魅力・聴き方・代表レパートリーを徹底解説
フィオレンツァ・コッソットとは
フィオレンツァ・コッソット(Fiorenza Cossotto、1935年生)は、20世紀後半を代表するイタリアのメゾソプラノ。厚みと艶を兼ね備えた豊かな中低域、劇的なフレージング能力、そしてイタリア・ヴェルディ/フランス・レパートリーにおける強靭な表現力で知られます。オペラの大役(アムネリス、エボーリ、アズチェーナなど)を中心に多くの録音を残し、スタジオ録音・ライブ録音の両面で名演が聴ける歌手です。
コッソットの魅力 — 聴くべきポイント
- 声の色とセンセーション:深みのあるメゾの響きと上方への伸びをバランスよく使い分け、悲劇的な情感や嫉妬・怒りといった劇的感情を色で描き出します。
- 語り(レチタティーヴォ)とアリアの一体感:台詞的な歌い回しでも音楽的に説得力があり、場面の中で「歌」が即座にドラマにつながるタイプです。
- 役作りの重心:ヴェルディのヒロイン級メゾを得意とし、力強さと女性的な柔らかさを同居させることで、単なる“低音の魅力”以上の人間描写をします。
入門編:最初に聴きたい一枚(コンピレーション/アリア集)
まずはアリア集やベスト盤で「声そのもの」と「表現の幅」を掴むのがおすすめです。コッソットのアリア集には、代表的なヴェルディやビゼー、ロッシーニやプッチーニのメゾ的作品がバランスよく収録されているものが多く、短時間で彼女の魅力を把握できます。スタジオ録音を中心にした編集盤は音のまとまりが良く、ライブ集はライブならではの緊張感と劇的な絶頂が楽しめます。
役ごとのおすすめレパートリーと聴きどころ
- Eboli(ドン・カルロ) — 「O don fatale」に注目
エボーリの「O don fatale」は技術的にも表現的にも高度なアリア。コッソットは重厚な低域とドラマ性をもってこのアリアを歌い、瞬間的なフィオーレ(色彩)変化や強弱のコントラストでこの役の内面を浮かび上がらせます。フルオペラ録音で序盤から終幕までの役の変遷を追うのも非常に有益です。
- Azucena(イル・トロヴァトーレ) — 狂気と母性の交錯
アズチェーナは過酷な人生を背負った役。コッソットは声の粗さ(“食み出す響き”)を効果的に使い、回想や呪詛の場面で独特の迫力を出します。アリアや場面ごとの表情の幅を聴き比べることで彼女のドラマ演出の巧さがわかります。
- Amneris(アイーダ) — 判決の場面と内面の葛藤
アムネリスは王女としての威厳と嫉妬、最後の悔悟が同居する難役。コッソットのアムネリスには王家の冷たさと女性的な脆さが同居しており、合唱や二重唱の中での存在感が光ります。オペラ全体を通して役の変化を追ってください。
- Carmen(ビゼー) — ヨーロッパ的スマートさと情熱
コッソットのカルメンは、色香だけでなく内面的な強さを備えています。「ハバネラ」や「セギディーリャ」などを聴くと、リズム感とニュアンスの付け方が魅力的に出ます。
おすすめの聴き方(比較とポイント)
- アリア集→フルオペラ→ライブ:まずアリア集で声の魅力を掴み、次にフルオペラ録音で役全体を追い、最後にライブ録音で瞬発力と舞台の迫力を味わう流れが理解しやすい。
- 同役を他歌手と比較:例えば「Eboli」を他の名メゾ(例:Hetty PlümacherやMaureen Forresterなど)と比べると、コッソットの個性(色彩の付け方、フレージング)が鮮明になります。
- 録音年代差に注意:50〜70年代の録音は演奏様式やテンポ感が当時の慣習に沿うため、現代の演奏と比べて劇的表現やテンポ感の違いを楽しめます。
実際に探すべき一例(探し方のヒント)
- 「Fiorenza Cossotto arias」や「Fiorenza Cossotto complete recordings」で検索して出るコンピレーションは入門に最適。
- 聴きたい役名+「Fiorenza Cossotto」で検索すると、スタジオ録音とライブ録音の両方がヒットします。レビューや解説(音楽誌・専門サイト)を参照して音質や共演者を確認すると良いでしょう。
- 大手クラシックレーベル(Decca、EMI、Philipsなど)の復刻盤/デジタル・リイシューは音質や解説が整っていることが多いので狙い目です。
コッソットをより深く楽しむための観点
- テクスト理解:イタリア語やフランス語の歌詞を確認すると、語尾の処理や母音の響かせ方などコッソットの細やかな表現がより明確に聞き取れます。
- 共演者との化学反応:名歌手や名指揮者との共演録音では、コッソットの表現が相乗的に引き出されることが多く、共演者の個性とどうぶつかるかを見るのも醍醐味です。
- ライブの迫力:特に熱狂的な観客や劇場の空気が録音に残るライブ盤では、コッソットの即興的な強さや感情の爆発が顕著になります。ライブ録音は“演者の挑戦”を見るような感覚で聴くと面白いです。
まとめ(どの一枚を買うか迷うとき)
まずはアリア集で声の質と代表的表現を確認し、次に自分の好きな役(Eboli、Azucena、Amneris、Carmen など)のフルオペラ録音を1枚選ぶのが王道です。スタジオ録音で完成度の高い演奏を、ライブ録音で舞台の緊張感を楽しむ――この二本立てでコッソットの魅力を味わってください。
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