Cherをレコードで聴く理由とおすすめ名盤ガイド:聴きどころとエディション選び

Cherをレコードで聴く理由 — 概要と楽しみ方

Cher(シェール)は1960年代のフォーク/ポップから、1970年代のポップ/カントリー、1979年のディスコ期、1980〜90年代のロック回帰、1998年のダンス/エレクトロ・ポップ再発明まで、常にスタイルを更新し続けたアーティストです。ヴォーカルの存在感、物語性のある曲作り、プロデューサー陣や編曲の変化が明瞭に記録されているため、アルバム単位で追うと彼女のキャリアの変遷がよく分かります。

ここでは「レコード(アルバム)で聴く」ことに向いたおすすめ盤をピックアップし、それぞれの聴きどころ、制作背景、代表曲、レコード収集・選盤の観点からの注目点を深掘りして解説します(再生・保管の具体的なコツは割愛します)。

3614 Jackson Highway(1969年) — 才能の深みを示した名作

概要:ソニー&シェール期を経た後の転機的作品。アトランティック系の名プロデューサーたち(ジェリー・ウェクスラーなど)が関与し、いわゆる「シェールのアーティスティックな覚醒」を感じさせる一枚です。ソウル、ロック、ブルースの要素を取り込み、シェール自身の表現力がいっそう研ぎ澄まされました。

  • 代表曲・注目トラック:Steppin' in Her I.M.S., The Revolution Kind
  • 聴きどころ:楽器隊の生演奏感とシェールの太く深いヴォーカルの併存。ポップなシングル曲中心ではない“アルバム芸術”志向が強い。
  • おすすめエディション:オリジナル・アナログ盤は当時の演奏空気を感じやすく評価が高い。リイシュー盤でのリマスタリングも音像の違いが楽しめる。
  • なぜレコードで聴くか:アナログの自然なダイナミクスが、バンドの演奏とシェールの声の厚みをより豊かに伝えます。

Gypsys, Tramps & Thieves(1971年) — ストーリーテリングとポップの融合

概要:タイトル曲「Gypsys, Tramps & Thieves」が大ヒットし、歌詞の物語性とキャッチーなメロディで一般層への浸透を果たしたアルバム。シェールの“物語を歌う”力が際立つ作品です。

  • 代表曲・注目トラック:Gypsys, Tramps & Thieves, The Way of Love
  • 聴きどころ:リリックに描かれる人物像とドラマ性。バックの編曲がポップながらもドラマティックで、シングル曲以外にも名曲が埋まっている。
  • おすすめエディション:オリジナルのステレオLPは1970年代の温度感を残すためコレクター人気がある。

All I Really Want to Do(1965年) — 初期フォーク寄りサウンドの魅力

概要:ボブ・ディラン等のカバーを中心に据えたデビュー近辺の作品で、若き日のシェールの透明感とポップ性が見える一枚。ソニーとのデュオ時代とソロの橋渡しにもなる作品群です。

  • 代表曲・注目トラック:All I Really Want to Do(カバー曲)
  • 聴きどころ:アコースティック主体のアレンジと素直な歌唱。ポップ/フォークの語感が好きなリスナーにおすすめ。

Take Me Home(1979年) — ディスコ期のダンス・アンセム

概要:ディスコ期の代表作。タイトル曲「Take Me Home」を含むダンス志向のアルバムで、クラブ/ダンスミュージックへの本格的な接近を示しました。80年代のポップに通じるボーカル処理やアレンジ感覚を先取りします。

  • 代表曲・注目トラック:Take Me Home
  • 聴きどころ:ダンスビートとポップメロディのバランス。リミックスや12インチ文化と相性が良く、当時のクラブ音楽史とも結びつく作品。
  • おすすめエディション:12インチシングルや当時のプロモ盤はDJ寄りのミックスが収録されていることがあり興味深い。

Heart of Stone(1989年) — ロック志向のメジャー・カムバック

概要:80年代後半のアルバムで、If I Could Turn Back Time などのヒットを生み出し、シェールのロック・ヴォーカルの面を大衆に強く印象付けました。プロダクションは当時のAOR/ポップロック寄り。

  • 代表曲・注目トラック:If I Could Turn Back Time, Just Like Jesse James
  • 聴きどころ:ストレートなロック/ポップ臭とシェールの力強い歌声。1980年代のプロダクションの“映え”感が味わえます。

Believe(1998年) — ポップ史に残る変化と実験

概要:1998年リリースのアルバム&タイトル曲「Believe」は、ボーカルエフェクト(Auto-Tune的な処理)を大胆に使用して世界的なヒットに。ダンス/エレクトロ・ポップの新たな旗手としての再定義を果たしました。

  • 代表曲・注目トラック:Believe(世界的大ヒット)、Strong Enough
  • 聴きどころ:従来のシェール像を大きく更新する電子的サウンドとダンスアレンジの洗練。ポップ史における「サウンドの転換点」として聴く価値が高い。
  • おすすめエディション:シングルやリミックス集も充実しており、クラブ・ダンス系のバリエーションを楽しめる。

Closer to the Truth(2013年) — ベテランの表現力と現代性

概要:2010年代の作品で、キャリア後期にもかかわらず現代的なプロダクションを取り入れた好評作。ロック〜ポップ〜ダンスの要素が混在し、成熟した歌唱と感情表現が光ります。

  • 代表曲・注目トラック:Woman's World, I Hope You Find It
  • 聴きどころ:現代のポップ・プロダクションのなかでも一貫した「シェールらしさ」を失わない点。キャリアの集大成的側面を感じられる。

まとめ:何を買うか、どこから始めるか

入門としては「Gypsys, Tramps & Thieves」や「Believe」が分かりやすくおすすめです。アーティスティックな深みを味わいたいなら「3614 Jackson Highway」を強く推します。ジャンルごとの聴き比べ(フォーク期→ドラマティックな70年代→ディスコ→ロック→ダンス)をすると、シェールの“変化するアーティスト像”がよく見えます。

レコード収集の観点では、オリジナル盤と再発盤でマスタリングや収録曲が異なることがあるため、収録曲一覧やリリース情報(クレジット)をチェックして、自分が聴きたい音源がどのエディションに含まれるかを確認するのがおすすめです。

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参考文献