Niels‑Henning Ørsted Pedersen(NHØP)— デンマーク出身ジャズベースのレジェンドと演奏の魅力
プロフィール — Niels‑Henning Ørsted Pedersen(NHØP)とは
Niels‑Henning Ørsted Pedersen(通称 NHØP、1946年5月27日—2005年4月19日)は、デンマーク出身の世界的に高く評価されるダブルベース奏者です。若年から頭角を現し、ヨーロッパとアメリカの両方で数多くの名だたるジャズ・ミュージシャンと共演。卓越したテクニックと豊かなメロディー感、強靭なタイム感で、ベースを「伴奏楽器」から「ソロ楽器」へと押し上げた重要人物のひとりと見なされています。
来歴の概略
デンマークで生まれ、早くから音楽の世界に入る。若年期からプロとして演奏を始め、ヨーロッパに来るアメリカのジャズメンたちとのセッションで頭角を現しました。
1960〜70年代以降、多くの海外ジャズ巨匠と共演。特にオスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)との長年にわたる共演・録音で国際的な知名度を確立しました。
リーダー作や共演作はSteepleChase、MPS、Storyvilleなど複数のレーベルからリリースされ、幅広いレパートリーと柔軟な伴奏能力を残しています。
演奏の魅力 — なぜNHØPは特別なのか
超絶技巧と音楽性の両立:速弾きや高いポジションでの流れるようなラインを、単なる技巧の見せ物にしない「歌う」ソロに昇華させます。フレーズは常にメロディックで、聴き手を引き込む力があります。
圧倒的なタイム感:リズムに対する確信と安定感があり、トリオや大編成での牽引力が抜群です。ドラムやピアノと呼吸を合わせながら、グルーヴを確実に作ります。
伴奏とソロの両立:伴奏では鋭いコード感と的確なラインでソロイストを支え、ソロではベースが主役になることに躊躇しない表現力を持っていました。
音色とアーティキュレーション:体格は大柄ではないにもかかわらず、芯のある太い音を出し、ピッツィカートの明瞭さ、アルコでの表現力も秀逸です。
代表的な共演・活動のハイライト
Oscar Peterson:NHØPを国際的に知らしめた最大のパートナーの一人。ピーターソン・トリオ(および様々な編成)で長年共演し、多くのライブ・レコーディングやツアーに参加しました。
スタン・ゲッツ、デクスター・ゴードンらアメリカ人ジャズ・プレイヤーとの共演:ヨーロッパ滞在中に来欧アーティストと頻繁にセッションを行い、その確かな伴奏力で信頼を得ました。
ヨーロッパの重要ミュージシャンとの協働:ピアニストやギタリスト(例:Kenny Drew、Philip Catherineなど)とのデュオやカルテット録音でも高く評価されています。
おすすめの録音(入門・深掘り向け)
NHØPはリーダー作と共演作の両方に優れた録音が多くあります。以下は「入門」と「より深く聴く」ための例です(出来る限り代表的な方向性を示しています)。
オスカー・ピーターソンとのライブ録音・トリオ録音:ピーターソンのトリオでの演奏はNHØPの伴奏力・ソロ力がよく分かります。ライブ盤でのインタープレイ(即興のやり取り)に注目してください。
リーダー作(SteepleChaseやMPS等):NHØPが主導する録音では、ベースのメロディメイキングやアンサンブルの構成がよく分かります。ピアノやギターとのデュオ作品は細やかな相互作用が聴けます。
ヨーロッパ滞在中のセッション録音:来欧したアメリカ人ジャズメンと共演したセッション盤は、国際的なジャズ交流の中でのNHØPの立ち位置を知るうえで有益です。
聴きどころのポイント(聴き方ガイド)
ソロの出だしに注目:短いモチーフからどのように展開するか。テーマの扱い方やモチーフの再利用がNHØPの特徴です。
伴奏の“間”と音量バランス:ピアノやドラムの間(スペース)を大胆に使い、必要な部分で確実にラインを出すことでアンサンブルを安定させます。
ハーモニックな選択:ベースラインの経路(クロマチックアプローチや代理和音への導き方)に耳を傾けると、伴奏上の知性が分かります。
アルコ(弓)とピッツィカート(指弾き)の使い分け:曲の場面でどのように音色を変えているかを比較してみてください。
影響とレガシー
NHØPはヨーロッパのジャズ・ベーシストに大きな影響を与え、ベースの演奏領域を拡張しました。若手奏者は彼の「即興での語り口」「豊かな音楽的語彙」「強いリズム基盤」を手本にし続けています。また、国際的な共演を通じて、欧州ジャズシーンを世界舞台に繋げる役割も果たしました。
最後に:彼から学べること
NHØPの演奏から得られる最大の教訓は「技巧は目的でなく手段である」ということです。速さや正確さは確かに際立っていますが、それらが常に音楽的な意図のために使われている点が本質。ベーシストだけでなく、全てのジャズ・ミュージシャンにとって、フレーズの歌わせ方、伴奏の責任感、そして即興における物語性を学ぶための重要な模範となります。
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参考文献
- Niels‑Henning Ørsted Pedersen — Wikipedia (英語)
- Niels‑Henning Ørsted Pedersen — AllMusic
- Obituary: Niels‑Henning Ørsted Pedersen — The Guardian
- Niels‑Henning Ørsted Pedersen — Discogs(ディスコグラフィ)


