Ian Paiceのドラミング完全ガイド—Deep Purpleの名盤と聴きどころをドラマー視点で徹底解説
イントロダクション — Ian Paiceとは何者か
Ian Paice(イアン・ペイス)は、1968年のDeep Purple結成以来、長年にわたり同バンドの心臓部を担ってきたドラマーです。ハードロック/ヘヴィメタルの草創期から現在に至るまで活動を続ける唯一のオリジナルメンバーで、タイトで跳ねるグルーヴ、ジャズ由来のタッチ、豊かなフィルワークが特徴。パワーと繊細さを同時に持ち合わせるプレイは、多くのドラマーに影響を与え続けています。
おすすめレコード概観
以下では、Ian Paiceの魅力が特に際立つ作品を選び、各アルバムごとに聴きどころ(代表曲やドラミングの聴き所)と、そのアルバムが持つ歴史的/音楽的な価値について深掘りします。Deep Purpleのスタジオ作/ライブ作のほか、Paiceが中心的に関わったサイドプロジェクトもピックアップしました。
Deep Purple — In Rock(1970)
要点:Deep Purpleがハードロックへ本格的に舵を切った転換点。Paiceのパワフルかつグルーヴィーなロックドラムがバンドの核となった作品。
- 聴きどころ(代表曲):"Speed King"、"Child in Time"。特に"Speed King"はPaiceのスピード感とアクセントの付け方が分かりやすく出る曲です。
- ドラミングの特徴:ドライブ感のある8ビート、タムを生かしたダイナミックなフィル、ロックの「押し引き」が明確。
- なぜ聴くか:ハードロックの初期形が分かる作品で、Paiceの基本スタイルを知るうえで必携。
Deep Purple — Machine Head(1972)
要点:Deep Purpleの代表作の一つ。Paiceのテクニックと表現力がスタジオ録音で美しく結実したアルバム。
- 聴きどころ(代表曲):"Highway Star"、"Smoke on the Water"、"Lazy"、"Space Truckin'". 特に"Highway Star"のイントロ〜ソロにおける推進力と、"Lazy"でのグルーヴ感は必聴。
- ドラミングの特徴:精密なタイム感、曲ごとのダイナミクス調整、ソロや間奏での創意あるフィルイン。
- なぜ聴くか:Paiceのロックドラミングの完成度が高く、後のハードロック/メタルに与えた影響を実感できる。
Deep Purple — Made in Japan(1972、ライヴ)
要点:Deep Purpleの伝説的ライヴ盤。Paiceの即興性、スタミナ、ライヴでの表現力が最大限に発揮された記録。
- 聴きどころ:スタジオ曲の大幅な拡張演奏で、ドラムソロや間奏での展開が多く、Paiceのエネルギーとアイデアが生きる。
- ドラミングの特徴:長尺の演奏でも崩れない安定感、ダイナミクスのコントロール、観客との駆け引きが分かるプレイ。
- なぜ聴くか:Paiceを「ライヴドラマー」として理解するための最重要ドキュメント。
Deep Purple — Burn(1974)
要点:メンバー交代(Coverdale/Hughes加入)期の名作。新ラインナップでの化学反応の中で、Paiceの柔軟性が光る作品です。
- 聴きどころ(代表曲):"Burn"、"Mistreated"。ハードなビートとスウィングするパートが混在する編曲で、Paiceの適応力が分かります。
- ドラミングの特徴:よりファンク/ソウルの要素を取り入れたグルーヴ、細かなニュアンスの使い分け。
- なぜ聴くか:Paiceが単なる「刻み役」ではなく、曲の表情作りに積極的に関与していることがよく分かる。
Deep Purple — Perfect Strangers(1984)
要点:オリジナルメンバーでの再結成作(80年代)。成熟した演奏と現代的な録音で、Paiceの安定感と表現の深さが際立つ。
- 聴きどころ(代表曲):"Perfect Strangers"、"Knocking at Your Back Door"。リズムの重心を意識したプレイが特徴的。
- ドラミングの特徴:年輪を重ねたタッチ、スネアのコントロール、構築的なビート作り。
- なぜ聴くか:キャリアを通した技術の洗練度と、スタジオでの高度な音作りを確認できる。
Paice Ashton Lord — Malice in Wonderland(1977)
要点:Ian PaiceがJon Lord、Tony Ashtonと組んだプロジェクト。プログレ/ジャズ/ソウルの要素が混在し、Paiceの多面性がよく分かる一枚。
- 聴きどころ:ハードロック以外の文脈でのグルーヴやフィーリングが多く、ジャズっぽい細かなタッチや変拍子への対応など、ドラミングの幅を知るには最適。
- ドラミングの特徴:リズム感の柔軟さ、ブラシや小さなシンバルワークに見られる繊細さ。
- なぜ聴くか:Paiceの「ロック以外の顔」を知ることで、彼の技術と音楽性の奥行きを理解できる。
聴きどころの聴き方(ドラマー視点でのポイント)
各アルバムを聴く際は、曲のリズム的土台(キック/スネアの配置)、フィルの入り方、ブレイクやソロでのアイデア、そして曲全体のダイナミクスに注目するとPaiceの魅力が見えやすいです。特にライヴ録音では曲が延びた分だけ即興的な展開が増え、彼の引き出しの多さが分かります。
録音/エディションに関する簡単なアドバイス
オリジナル盤は歴史的価値が高い一方、近年のリマスターやアニヴァーサリー盤は音像がクリアでドラミングのディテールがよく聴こえます。音の鮮明さを重視するなら高品質リマスターや公式ボックスセットも検討すると良いでしょう。
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