Compay Segundo(コンパイ・セグンド)入門:Chan Chanを軸に読むキューバ音楽の魅力とおすすめレコード
はじめに — Compay Segundo(コンパイ・セグンド)とは
Compay Segundo(本名:Máximo Francisco Repilado Muñoz Telles、1907–2003)はキューバの歌手・作曲家・トローバ(口承的な歌い手)で、ソンやボレロなどキューバ伝統音楽の巨匠です。晩年に世界的ブームとなった「Buena Vista Social Club(ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ)」の中心的存在の一人として広く知られ、彼の作品「Chan Chan(チャン・チャン)」はキューバ音楽の代表曲の一つになりました。
Compay Segundoの音楽的特徴
スタイル:伝統的なソン、トローバ、ボレロをベースにした簡潔で物語性のある歌詞と、ゆったりしたグルーヴ。
声と表現:年輪を感じさせる温かくややこもった声質。語りかけるような間と抒情性が魅力です。
楽器的特色:コンパイ自身が考案した「アルモニコ(armónico)」というギター系変則楽器を使用し、トレスやギターの役割を橋渡しする独自の響きを生んでいます。
作曲:民話的・日常的な情景を歌に落とし込む力が強く、「Chan Chan」のように簡潔なメロディが長く聴かれる曲を多く残しました。
おすすめレコード(厳選)
以下は「初めてCompayを深く聴きたい」「代表作を押さえたい」というリスナーに特に勧めたい盤です。収録曲や編成、聴きどころを併記します。
Buena Vista Social Club(1997) — Ry Cooderプロデュース / World Circuit 他
説明:コンパイ・セグンドを含むキューバの世代を超えた名手たちを集めた一枚。コンパイはこのアルバムで再び国際的な注目を浴び、彼の代表作「Chan Chan」が広く知られるようになりました。
聴きどころ:
「Chan Chan」:繰り返されるシンプルなモチーフと語りのようなフレーズが胸に残る。合唱的なコーラスと旋律の反復が持つ浸透力。
編成:古典的なソン編成(トレス、トランペット、ベース、パーカッション、コーラス)で、各奏者の味わい深い演奏が楽しめます。
Buena Vista Social Club Presents: Compay Segundo(1999) — Compayのソロ・プロジェクト / World Circuit
説明:コンパイ本人をフィーチャーしたアルバムで、彼のレパートリーや新録音を通してソロとしての表現力が前面に出ています。彼の作風をより直接的に体感できる一枚です。
聴きどころ:
コンパイの歌とアルモニコが中心に据えられ、個人的な語り口や古いレパートリー再構築の妙が味わえます。
バックの名手たちによるしなやかなアンサンブルが、彼の歌を支えつつも主張を邪魔しないバランス。
Compay Segundo アンソロジー/編集盤(各種)
説明:キャリアが長いアーティストのため、初期録音から晩年の録音までを集めた編集盤が複数あります。過去の78回転やラテン音楽の黄金期の録音をまとめたものは、彼の音楽的変遷を追うのに適しています。
聴きどころ:
初期録音では戦前~中葉のソンやトローバの息遣いが感じられ、晩年録音では国際的なアレンジや録音の明瞭さが魅力。
曲ごとの編年を確認しながら聴くと、歌い方やアレンジの変遷がよく分かります。
ライブ録音・ドキュメンタリー関連盤(映像・音源)
説明:Compayはステージでの即興的な語りや観客とのやり取りが魅力です。コンサート録音やドキュメンタリーのサウンドトラックで、その人間味あるパフォーマンスを体験できます。
聴きどころ:舞台裏の雰囲気、MC的な語り、客席とのコール&レスポンスなど、スタジオ録音とは別の親密さがあります。
代表曲・楽曲解説のポイント
Chan Chan:単純なコード進行と反復モチーフが特徴。ストーリー性のある短い歌詞が、旋律の繰り返しと混ざり合い強い印象を残します。ソンのリズムに乗せた「語り」の巧みさが鍵。
その他の小品群:多くが短い物語や風景描写を基にしており、歌詞の情景性を音楽が丁寧に支える構造になっています。楽器間の呼吸やコーラスの重なり方に注目すると、キューバ音楽の伝統的演奏様式が見えてきます。
レコード/盤を選ぶときの観点(音楽的視点)
収録時期と編成:初期録音(伝統的)と晩年の再録音(国際的アレンジ)では趣が大きく異なります。どの時期の“コンパイ像”を聴きたいかで選ぶと良いです。
曲目・歌唱のクレジット:代表曲がどのバージョンで入っているか、共演者(トレス奏者やパーカッション、コーラス)の顔ぶれを確認すると聴きどころが明確になります。
ライナーノーツ:歌詞や背景、演奏者の説明が付いているものは理解を深める助けになります。特にスペイン語の歌詞と訳があるとより楽しめます。
編集盤の出所:アンソロジーや編集盤は収録元が混在することがあるため、音源の出典(オリジナル録音かリマスターか)を確認すると歴史的文脈を把握しやすいです。
聴き方のヒント(音楽的な楽しみ方)
歌詞の情景性を追いながら聴く:Compayの歌には短い物語や地名、人物が登場します。歌詞を読みながら聴くと描写の細部が味わえます。
楽器の役割を聞き分ける:トレス、ギター、アルモニコ、パーカッション、コーラスがどのように絡むか注目すると、キューバの伝統アンサンブルの構造が見えてきます。
バージョン比較:同じ曲の初期録音と晩年録音を聴き比べると、歌い回しやアレンジの変化が楽しめます。
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery
エバープレイは音楽/レコードを扱うサービス・ショップの名称で、キューバ音楽を含む世界各国の作品を扱うことが多いプラットフォームや店舗があります。詳細や在庫、取り扱い盤のコンディションについては公式サイトや店舗情報をご確認ください。
参考文献
- Compay Segundo - Wikipedia(日本語)
- Compay Segundo - Wikipedia(English)
- Compay Segundo | Biography & Discography — AllMusic
- Compay Segundo — Discogs(ディスコグラフィ)
- World Circuit Records — レーベル公式(Buena Vista Social Club 関連)


