Al Cohnの歌心と編曲の妙を徹底解説—テナー奏者としての魅力とおすすめレコードガイド

はじめに — Al Cohnという存在

Al Cohn(アル・コーン、1925–1988)は、クール派とビバップの接点に位置するテナー奏者であり、同時に優れた編曲者・アレンジャーでもありました。リリカルで歌うようなフレージング、限りなく自然に流れるライン、そしてしばしば「歌心」を第一に据えたソロは、レスター・ヤング流の美意識を受け継ぎつつ、モダンなハーモニー感覚を備えていました。

Cohnは単なるソロイストに留まらず、編曲面でも独特の色を持ち、ウッディ・ハーマン楽団時代の“Four Brothers”系のサウンドや、セクステット/クインテットでの息の合ったアンサンブル作りで知られています。以下では、Al Cohnの魅力を伝えるおすすめレコードを厳選して解説します。

聴きどころを押さえるためのポイント

  • フレーズの「歌わせ方」:長いラインの構築と、短いモチーフの繰り返しによる物語化を意識して聴くと、彼のソロの自然さがわかりやすいです。
  • インタープレイ:特にZoot Simsなど同世代のテナー奏者との掛け合いでは、呼吸感(タイミング)とダイナミクスのやり取りが白眉です。
  • アレンジの巧みさ:小編成でも声部の配分や和音の運びで色彩感を出す手腕は、編曲家としての側面を強く示します。

代表的なおすすめレコード(深掘り解説)

From A to Z — Al Cohn & Zoot Sims

なによりもまず薦めたいのが、Al CohnとZoot Simsの合体盤。二人の相互理解とテンションの絶妙さが味わえる作品群は、彼の魅力を最もストレートに伝えます。

  • 聴きどころ:ツー・テナーならではの対位的なソロ交換、ハーモニー的なやり取り。二人ともレスター・ヤング系の流麗さを持ちつつ、色合いが異なるので比較して聴くと面白いです。
  • 代表曲(盤によって異なりますが参考例):テーマ曲的なオリジナル、スタンダードの解釈、互いのソロを引き立てるブレイクなど。
  • おすすめの聴き方:同じフレーズを二人がどう変えるか、音色とリズムの処理の差に注目して聴いてください。

The Natural Seven — Al Cohn(リーダー作)

アル・コーンが自らの視点でセクステット/セプテットを率いたリーダー作は、編曲家としての巧みさが前面に出ます。編成のバランス、ブラスとリードの色合いの使い分けが聴きどころです。

  • 聴きどころ:小編成ながらオーケストレーションのような豊かなサウンドが展開されます。ソロはもちろん、アンサンブルの「一体感」を楽しんでください。
  • 注目ポイント:Cohnのアレンジは過度に装飾的でなく、楽曲の輪郭を明確にすることで個々のソロを際立たせます。

Woody Herman(“Four Brothers”周辺のセッション)

Al Cohnを語る上で欠かせないのがウッディ・ハーマン楽団での仕事。特に“Four Brothers”に代表されるサックス・セクションは、Cohnのリリカルな面とアンサンブル観を強く示します。

  • 聴きどころ:セクションのブレンド感、ユニゾンでのフレーズの滑らかさ、そしてソロが出た際の構造的な支え方に注目してください。
  • 参考点:ビッグバンドの中で育まれた「声を重ねる」技術が小編成での彼のサウンドにも反映されています。

Cohn と Bob Brookmeyer らとの共演作(小グループ)

トロンボーン系のBob Brookmeyerなど同世代との共演盤では、対話的なインタープレイが光ります。ハーモニーの細かい動きや、アンサンブル内での空間の作り方を学べます。

  • 聴きどころ:和声進行の微妙な色彩感、リズムセクションとの呼吸。Brookmeyerのユニークな音色との対比も魅力です。
  • おすすめの聴き方:ソロを単独で聴くより、全体のテクスチャ変化に注目すると発見が多いです。

晩年/マイナー名盤 — 発掘の楽しみ

Al Cohnは多数のリーダー作・共演作を残しており、名盤だけでなく「隠れた佳作」が多数あります。マイナーなレーベルやコンピレーションには、ライブの即興的な側面やスタジオでのリラックスしたプレイが残されていることが多く、コレクター的な楽しみがあります。

  • 聴きどころ:録音品質や編成が異なることで、Cohnの音色や解釈の多様性が見えてきます。
  • 探し方のヒント:共演者に注目すると、自分の好みに合う盤が見つけやすいです(例えばピアニストやリズムセクションの好みで選ぶ)。

各盤の「なぜ名盤か」をもう少し詳しく

上で挙げた各種盤には共通点があります。それは「メロディへの忠実さ」と「即興の内部にある物語性」です。Al Cohnのソロは単なる速弾きや技巧披露ではなく、フレーズの開始・展開・終結がまるで短い歌のように構成されています。このため、どの曲にも“聴き手を導く明確な軸”があり、何度も繰り返して聴くことで新たなフレーズの意味が見えてきます。

また、Cohnは編曲面でも「隙間(スペース)」の扱いが巧みで、音を詰め込みすぎずに各声部に仕事を与えるため、各メンバーの個性が反映されやすいのも特徴です。これがリーダー作と共演作の双方での魅力を生んでいます。

聞き分けのための具体的な比較リスニング案

  • 同じスタンダード曲を、Cohn単独の演奏(リーダー作)とZoot Simsとの共演で比較。ソロの選択や間(ま)の取り方がどう変わるかに注目。
  • ビッグバンド時代のセクション演奏と小編成での演奏を連続で聴く。アレンジの密度や個々の表情の出し方を観察。
  • 別テイク/ライブ盤があれば、それらを突き合わせることで即興のアプローチの変化を追う。

初心者へのおすすめ入り口

ジャズ初心者には、まずZoot Simsとの共演盤から入るのを勧めます。二人の掛け合いは歌心が直感的に伝わるため、アル・コーンという奏者の「何が良いのか」を速やかに理解できます。次にリーダー作でアレンジの妙味を確かめ、最後にウッディ・ハーマン期の大編成を聴くと、彼の全体像が見えてきます。

おすすめ盤まとめ(短いチェックリスト)

  • Zoot Simsとの共演盤(From A to Z など) — 相互作用とメロディの豊かさを堪能
  • The Natural Seven(リーダー作) — 編曲家としての面を楽しむ
  • Woody Herman 関連セッション(Four Brothers 系) — ビッグバンド内での役割とアンサンブル感
  • Bob Brookmeyerらとの小グループ盤 — ハーモニーと対話に注目
  • 晩年やマイナー音源の発掘盤 — 別角度からの発見を期待

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参考文献