Johnny Hodgesの魅力を徹底解説:エリントン楽団を彩る歌うようなアルト・サックスと名演ガイド
Johnny Hodges — プロフィールと魅力を深掘り
簡単なプロフィール
Johnny Hodges(ジョニー・ホッジス、1906–1970)は、アメリカのアルト・サックス奏者。Duke Ellington(デューク・エリントン)楽団の主要メンバーとして長年活躍し、その艶やかで歌うようなアルト・サックスの音色はジャズ界で特別な位置を占めています。幾度かエリントン楽団を離れてリーダーとして活動した期間もありますが、エリントンとの共演で培った「バンド内でのソロの存在感」は当代随一と評されました。
音楽的な魅力 — なぜ聴き手の心をつかむのか
- 歌うような音色(vocal-like tone):ホッジスのサックスは人の声のように豊かな倍音と温かみがあり、メロディをそのまま「歌う」感覚を与えます。ピュアな音そのものが感情を伝達します。
- 表情豊かなビブラートとフレージング:彼のビブラートは自然で過剰でなく、フレーズの終わりに入る装飾や息づかいが効いて、聴き手の感情を揺さぶります。
- 長いフレーズを歌い切る呼吸とタイム感:息継ぎの位置、テンポの微妙な揺らぎ(rubato)が効果的で、ひとつのテーマを“物語る”ように展開します。
- 音域のコントラストと「上物」の使い方:低音域の厚みと高音域の透き通った響きを自在に使い分け、楽曲のムードを鮮やかに描き出します。
演奏上のテクニックとサウンドの秘密
ホッジスのプレイは見た目の華麗さだけでなく、リードの選択やマウスピース、アンブシュア(唇の使い方)、呼吸法の組み合わせにより成立しています。具体的には:
- 柔らかめのリードとマウスピースにより倍音を豊かにしつつ、アンブシュアで余分な高調波を抑えて「丸み」を出す。
- フレーズの終わりに入れるごく短い遅れ(微かなテンポの後退)で「言葉」を強調する。
- ビブラートの速さや深さをフレーズごとに変化させ、同じメロディでも表情を変える。
エリントン楽団での役割と相互作用
ホッジスはエリントン・オーケストラの「声」の一つでした。エリントンやBilly Strayhorn(ビリー・ストレイホーン)が作る繊細なハーモニーや編曲は、ホッジスのアルトが映えるように設計されることが多く、彼のために書かれたソロ・パートやカラーパート(音色を活かすための編成)が多数存在します。バンドの集団的サウンドと個人のソロ表現が絶妙に共存している点が魅力です。
代表曲・名演(聴きどころ)
ここではホッジスの魅力を味わえる代表的な楽曲や名演を紹介します。作品名は他奏者や作曲者が絡むことが多いので、演奏コンテクスト(エリントン楽団での演奏、リーダー作、共演盤)もあわせて示します。
- Jeep's Blues(エリントン楽団/ソロとしての代表曲)— ホッジスのニックネーム“Jeep”に由来する曲で、ブルージーかつ歌心あふれるソロが聴けます。
- Passion Flower(Billy Strayhorn作)(エリントン/ストレイホーン作品)— 美しいバラードで、ホッジスの表情豊かな音色が際立ちます。
- Isfahan(エリントン/Far East Suiteより)— 深みのある中低音と浮遊感のある高音を使い分けた、ホッジスの代表的な抒情ソロを楽しめる一曲です。
- Solitude/Prelude to a Kiss などのバラード— エリントン作品のバラードはホッジスの真骨頂。フレーズの語り口を細かく味わってください。
名盤(入門〜深掘り用の推薦盤)
- エリントン・オーケストラの代表盤(各年代のスタジオ録音やライブ盤)— ホッジスが楽団で果たした役割を理解するのに必携。
- Johnny Hodges リーダー作の選集 — 小編成での歌心あふれる演奏を直接味わえるアルバム群。
- Far East Suite(エリントン/ストレイホーン作品を含む)— 「Isfahan」など、ホッジスの名演が含まれる名作。
- ライブ盤(ニューオーリンズ/コンサート録音)— 即興の温度感やホッジスのフレーズの選択がよりダイレクトに伝わります。
聴き方のコツ — ホッジスをより深く味わうために
- まずはバラードを一曲じっくり:彼の音の質、ビブラート、息遣いを確認するのに最適です。
- 同じ曲を複数の演奏で比較:エリントン楽団での演奏とホッジスのリーダー作を聴き比べると、編成や編曲による音の見え方の違いが分かります。
- フレーズの終わり(エンディング)に注目:彼の“語り”が最も現れる部分です。
- ソロの構築を追う:イントロ→展開→クライマックス→解決、という流れを意識して聴くと音楽の“語り”が見えてきます。
影響とレガシー
ホッジスは後続のアルト奏者に大きな影響を与えました。音色の作り方、歌うようなフレーズの組み立て、バラード表現の豊かさは、クールジャズやモダンジャズの奏者たちにも影響を及ぼしています。また、エリントン楽団という大編成の中でソロ奏者が際立つ「個」を残すモデルを示した点も重要です。
まとめ — Johnny Hodges の聴きどころ総括
Johnny Hodges は「美しい音色で語る」ことに徹したアルト奏者です。テクニックは派手ではないかもしれませんが、その代わりに「フレーズ一つひとつを歌として表現する力」が尋常でなく高い。エリントンの豊かな編曲と相まって、ひとつのメロディが人生の場面を映し出すように響きます。まずはバラードで音色とフレージングを味わい、次にアップテンポやライブでの即興表現を追いかけると、彼の魅力を段階的に理解できます。
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参考文献
- Johnny Hodges — Wikipedia (英語)
- Johnny Hodges — Encyclopaedia Britannica
- Johnny Hodges — AllMusic
- Johnny Hodges — Discogs


