Compay Segundo プロフィール:キューバ伝統音楽ソンの巨匠とChan Chan・Buena Vista Social Clubの影響
Compay Segundo — プロフィール概観
Compay Segundo(コンパイ・セグンド)は、キューバの伝統音楽“ソン”やボレロを代表する演奏家/作曲家で、20世紀後半から2000年代初頭にかけて国際的な再評価を受けた人物です。本名はMáximo Francisco Repilado Muñoz(通称Compay Segundo)。地方の音楽文化に根ざした演奏と温かいバリトンの歌声、そして独自につくりあげた楽器やアンサンブル感覚で知られます。晩年に「Buena Vista Social Club(ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ)」によって国際的ブレイクを果たし、世界ツアーや録音を行いました。
略歴とキャリアのハイライト
地方のトラディショナル音楽に育ち、若い頃から歌手・奏者として活動。ラジオや舞台での経験を積む。
長年にわたってキューバ国内で演奏を続け、デュオやバンドで人気を得る。独特のニックネーム「Compay(相棒)」が示すように、親しみやすい人柄で知られました。
1990年代後半、Ry Cooderらのプロデュースによるプロジェクト「Buena Vista Social Club」へ参加。ここで発表された楽曲や映画によって、世界的な注目を浴びる。
高齢になってからも精力的に演奏・録音・ツアーを行い、キューバ音楽の“顔”の一人として国際的な舞台に立ち続けました。
音楽的特徴と魅力
温かく落ち着いたバリトン:年輪を感じさせる深みのある声で、歌詞の語りかけや情緒的な表現に優れていました。聴き手に寄り添うような歌い方が特徴です。
田舎性と都市的洗練の融合:農村のソン(son)やトローバに根ざす素朴さと、長年演奏して鍛えた洗練されたアンサンブル感が同居します。民謡的なフレーズと洗練されたリズム処理のバランスが魅力です。
語り手としてのステージング:曲間のトークや逸話、観客とのやり取りを含むステージングで、単なる歌手以上の“語り手・文化伝達者”としての魅力を発揮しました。
楽器的独創性(アルモニコ):Compayは「armónico(アルモニコ)」と呼ばれる、ギターと3連の中間的な役割を果たす独自の弦楽器を使っていました。これにより和声と伴奏の中間的な色合いを生み、バンドの音色に個性的な層を加えました。
代表曲と重要な録音
「Chan Chan」:Compay Segundoが作曲したこの曲は、Buena Vista Social Clubの代表曲として世界的に知られ、キューバ音楽を象徴する一曲になりました。シンプルながらも耳に残るメロディと反復フレーズが特徴です。
「Buena Vista Social Club」(1997年のアルバムおよび映画):グループ録音としてのこの作品を通じて、Compayの歌唱と演奏は世界中に紹介されました。アルバムとペアになったドキュメンタリー映画は、聴衆に彼らの背景や人柄を強く印象づけました。
その後のSolo/コンピレーション作品:Buena Vistaプロジェクト以降、Compayの名前を冠したアルバムやライブ盤が世界市場で流通し、晩年の作品群でもその歌声と楽器技術が堪能できます。
演奏スタイルの技術的解説(簡潔に)
リズムの堅実さ:ソンのリズムに忠実で、テンポやグルーヴの揺らぎを最小限に抑えるプロの安定感があり、バンド全体の牽引力となります。
メロディの反復と変化:短いフレーズの反復に微細な装飾やニュアンスを加えることで、聞き手を飽きさせず物語性を高めます。
声と楽器の対話:自作のアルモニコやギターを伴奏に使い、歌声と弦楽の音色が互いに響き合う演出をよく用いました。
なぜ今も聴かれるのか — 文化的・歴史的意義
伝統音楽の生きた証人:Compayの音楽は、20世紀のキューバにおける民衆の生活や感情をそのまま伝える記録的な側面があります。彼の存在は“生きた民俗学”とも言えます。
世代を超えた普遍性:言語や文化を越えて心に響くメロディと人間味のある表現は、世界中のリスナーに訴えかけます。
世界音楽ブームへの寄与:Buena Vista Social Clubを通じて一度に多くのリスナーが伝統キューバ音楽を知るきっかけとなり、その後の“世界音楽”シーンに与えた影響は大きいです。
聴きどころ・鑑賞のポイント
歌詞の語感を味わう:スペイン語が分からなくても、語りかけるようなフレーズの抑揚や情感が伝わります。歌詞訳を見ながら聴くと、更に深く楽しめます。
アンサンブルの細部に注目:アルモニコやパーカッション、コーラスの掛け合いが織りなす小さな工夫に耳を傾けると、演奏の妙が見えてきます。
ライブ映像を観る:Compayはステージでの語りや身振りも魅力。映像で見ると、その人柄やパフォーマンスの力がよく伝わります。
現代への影響とレガシー
Compay Segundoは、単に一時的な“懐古的ブーム”の顔ではなく、キューバ民謡の価値を国際舞台に確立した人物です。彼の曲や演奏法は多くのアーティストにカバーされ、教育や研究の対象にもなりました。また、年齢を重ねても音楽活動を続けた姿は、音楽そのものの普遍性と、文化を伝えることの重要性を示しています。
聴くためのおすすめ順(入門〜深掘り)
まずは「Buena Vista Social Club」アルバム全体(1997年)と同名のドキュメンタリー映画で雰囲気をつかむ。
代表曲「Chan Chan」を中心に、Compayがリードするトラックを探す。
公式コンピレーションやライブ盤で晩年の演奏を聴き、ステージでの人柄と演奏の深みを楽しむ。
付記:文化的な注意点
Compayの音楽はキューバ固有の歴史・文化の産物です。鑑賞の際は、楽曲に込められた社会背景や言葉の意味を尊重し、単なる“エキゾチシズム”や観光消費に留めない見方が望まれます。
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参考文献
- Compay Segundo — Wikipedia(英語)
- Compay Segundo — AllMusic Biography(英語)
- Compay Segundo, 96, Cuban Singer — The New York Times(英語、訃報)
- Compay Segundo — World Circuit(レーベルのアーティスト紹介、英語)


