Rod Tempertonの作曲術と影響力:HeatwaveからMichael Jacksonの大ヒットを生んだ影の立役者

Rod Temperton — 概要

Rod Temperton(ロッド・テンプルトン、1949–2016)はイギリス出身のソングライター/キーボーディストで、1970〜80年代のブラック・コンテンポラリー/ポップ史における“影の立役者”です。彼はバンド Heatwave の主要ソングライターとしてキャリアを開始し、その後クインシー・ジョーンズやマイケル・ジャクソンと組んで世界的大ヒットを生み出しました。洗練されたコード進行、メロディの強さ、ファンク〜ディスコ〜ポップを横断するグルーヴ形成が彼の作風の特徴です。

おすすめレコード(選定理由と聴きどころ)

  • Heatwave — Too Hot to Handle (1976)

    テンプルトンが世に出るきっかけになったアルバム。代表曲「Boogie Nights」「Always and Forever」を収録。ディスコ/メロウ・ソウルの両面性が明確で、彼のメロディメイキングとコードワークを原点で楽しめます。ヴォーカルの表現、ホーン・アレンジ、スロー〜アップテンポの構成がバランス良く配置されている点が聴きどころです。

  • Michael Jackson — Off the Wall (1979)

    マイケル・ジャクソンのソロ初期の金字塔。テンプルトン作の「Rock with You」は極上のポップ・ファンク・ナンバーで、彼の“シンプルだが効く”フック作りが発揮されています。アルバム全体のグルーヴ感やプロダクションの精度も高く、テンプルトンの曲がアルバムの色を一層強めています。

  • Michael Jackson — Thriller (1982)

    史上最も売れたアルバムの一つ。テンプルトンはタイトル曲「Thriller」や「Baby Be Mine」などを提供しています。特に「Thriller」は楽曲としてのキャッチーさに加え、演出(ムード作り)も含めてテンプルトン流の“劇的なポップ”を体現しており、彼の作曲センスを巨大スケールで体感できます。

  • George Benson — Give Me the Night (1980)

    タイトル曲「Give Me the Night」はテンプルトン作で、クインシー・ジョーンズのプロデュースとジョージ・ベンソンの歌/ギターが結実したダンス・ナンバー。ジャズ/ポップ/ディスコが混ざり合うサウンドは、テンプルトンの柔軟な作曲能力を示す好例です。

  • Quincy Jones 関連作品(編集盤/アルバム)

    テンプルトンはクインシー・ジョーンズ作品に多数楽曲提供・参加しており、Quincy Jones のアルバムやコンピレーションを通して彼のアレンジ感覚やスタジオ・ワークを学べます。クインシー作品の中でテンプルトン曲をピックアップして聴くと、プロデューサーと作曲家の相互作用がよく分かります。

それぞれのレコードを聴くときの注目ポイント

  • メロディの“隙間”と戻り方:テンプルトンの曲はサビやブリッジへのつなぎ方が巧みで、意外と控えめな“空白”が効果を生むことが多い。歌メロの立ち上がり・落とし所に注目してください。
  • コード進行とテンション・ノート:一見シンプルに聴こえる曲でも、コードのテンションや代理コードが効いていることが多い。ピアノやギターで追いながら和音の動きを味わうと面白いです。
  • リズムの“余白”とグルーヴ:スネアやハイハットの入り方、ベースの動きが曲の印象を決めます。特にディスコ〜ファンク寄りの楽曲はリズム隊の微妙な遅れ・先行が魅力。
  • プロデュースとの相性:テンプルトンの曲は誰がプロデュースするかで表情を大きく変えます。オリジナルのプロデュース/演奏陣と聴き比べることで、作曲とプロダクションの相互作用が分かります。

購入・選盤のアドバイス(簡潔に)

  • オリジナル・リリースや当時の良好なマスターを使用した再発を優先すると、作曲のニュアンス(アレンジの息遣い)が伝わりやすいです。
  • コンピレーション盤やベスト盤は入門に便利ですが、曲ごとのアレンジ差を確認したい場合はオリジナル・アルバム単位で聴くことをおすすめします。
  • クレジット(作曲者・アレンジャー)を確認すると、テンプルトンの作品群を系統立てて追いやすくなります。

テンプルトン作品から広がる聴き方

テンプルトンは単にヒット・ソングを生んだだけでなく、ソングライティングの“教科書”的な要素を残しています。ポップなフック、ジャズ寄りのハーモニー、ファンクのグルーヴを同時に学べる稀有な存在です。彼の曲を起点に、同時代のプロデューサー(クインシー・ジョーンズ等)や演奏者(George Benson、Heatwave のメンバーなど)へ横展開すると、当時のシーン全体の理解が深まります。

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