Blancmangeをレコードで聴く価値と聴きどころ:80年代ニュー・ウェイヴの名盤を徹底解説
序文 — Blancmange をレコードで聴く価値
Blancmange(ブランマンジェ)は、ニュー・ウェイヴ/シンセポップ黄金期に登場した英デュオで、ニール・アーサーの独特な声とスティーヴ・ラスコムのシンセ/アレンジが生み出す“冷たさと温かさ”が同居するサウンドが特徴です。本コラムでは、レコードで所有・鑑賞する価値が高いおすすめ作品をピックアップして、それぞれの聴きどころ、制作背景や音楽的特徴、どんなリスナーに向くかを掘り下げます(再生・保管・メンテナンスの具体的なコツは扱いません)。
バンドの簡単な背景
Blancmange は主に1980年代前半に活動の中心を持ち、多彩なシンセ・サウンドとポップな曲構成、そして世界音楽的なリズムやメロディの導入で際立ちました。商業的なヒットも得つつ、ポップ性と芸術性のバランスが取れた作品群を残しています。80年代の“シンセ・ポップ”という枠組みだけでなく、その後の再結成作でも内省的かつ実験的な側面を見せています。
おすすめレコード(必聴盤)
Happy Families(1982)
なぜ聴くべきか:Blancmange の出発点であり、初期の実験精神とポップ性がダイレクトに感じられる作品です。アナログ・シンセの冷たさと、時にシャープなギター、どこか陰のある歌詞が混ざり合った音像は、当時のポスト・パンク/ニュー・ウェイヴの流れの中でもユニーク。
聴きどころ:イントロからのシンセ・テクスチャ、ニール・アーサーのつぶやくような語りとメロディの対比。曲ごとに音色のレンジやリズム感覚が変わるため、アルバムを通して“彼らの引き出しの多さ”が味わえます。
おすすめの買い方:初期の雰囲気を楽しみたいならオリジナル・アナログ盤。音のクリアさや追加デモ/シングル・B面が欲しいなら拡張リイシュー(CD/デジタルの2枚組等)も検討を。
Mange Tout(1984)
なぜ聴くべきか:Blancmange の商業的なブレイク作であり、バンドの代表曲「Living on the Ceiling」を含む傑作アルバム。シンセポップとしての洗練されたプロダクションと、世界音楽的なリズム(中東/北アフリカ風のモチーフなど)を大胆に取り入れたサウンドが特徴です。
聴きどころ:「Living on the Ceiling」の印象的なメロディとパーカッション・アレンジ、そしてアルバム全体を通したダンス性とメランコリーの同居。シングル曲だけでなくアルバム曲にも良質なメロディが散りばめられています。
おすすめの買い方:名曲をじっくり聴くならアナログの良盤。ボーナス・トラックやリミックス、拡張音源を楽しみたいならデラックス・エディションを探してみてください。
Believe You Me(1985)
なぜ聴くべきか:よりポップで洗練された制作志向が強まった時期の作品で、メロディとアレンジの完成度が高く、ライブでの表現性も拡がったアルバムです。シンセの扱いがさらに多彩になり、バンドとしての器用さがより明確になります。
聴きどころ:ポップ志向の楽曲群ながら、詞の切なさや微妙な不安感が曲の背後に残る点。複雑なリズムやレイヤーを敷きつつも、聴き手にフックを与える構造が魅力です。
おすすめの買い方:当時の音像をそのまま楽しむならオリジナル盤、拡張音源を含むリイシューで当時のデモやリミックスを併せて楽しむのも良い選択です。
復帰後の注目作(2010年代以降) — Blanc Burn / Semi Detached 等
なぜ聴くべきか:一度活動を休止した後の再結成作では、80年代のポップ性を素材にしつつ、より成熟した視点と実験的要素が加わっています。過去のヒットに頼らない新曲群が、バンドの持続性を示します。
聴きどころ:リリース作によって方向性は変わりますが、ボーカルの表現力やシンセの音色選び、現代的なプロダクション手法との融合に耳を傾けることで、80年代との対比が楽しめます。
おすすめの買い方:新作のアナログ盤は最近のプレス品質やマスタリングを反映していて、現代的な音像を堪能したいリスナーに向きます。リイシューやライブ盤と合わせて、過去と現在の対比を楽しむのもおすすめです。
編集盤・コンピレーション
なぜ聴くべきか:初めてBlancmangeを聴くなら、ヒット曲や代表曲を集めたベスト盤で彼らの“顔”を掴むのが早道です。シングルB面やリミックスをまとめた編集盤は、コアなファン向けに新たな発見を与えてくれます。
聴きどころ:シングル・ミックスの違い、リミックスによる曲の別顔(ダンス寄り/実験寄り)を感じられる点。アルバム通読では見えなかったサイド・アプローチが見えることがあります。
アルバムごとの深掘りポイント(聴き比べガイド)
サウンドの変化を追う:初期のインディー感覚→シングル志向の洗練→成熟した作風、という流れを追うと、ブランマンジェが時代とどう折り合いをつけてきたかがわかります。
リズムと民族的モチーフ:代表曲には北アフリカや中東風の旋律やパーカッションを取り入れたものがあり(特に「Living on the Ceiling」的な例)、その“異化効果”がポップ性を際立たせています。
歌詞とボーカル表現:ニール・アーサーの声はクールな中に皮肉や哀感を含むため、同じメロディでもアルバムごとのトーンで受け取り方が変わります。歌詞を追いながら聴くと深みが増します。
プロダクションの聴きどころ:シンセのプログラミングや音色の選択、さらにはリバーブ/空間表現の変化がアルバムごとの“温度感”を作り出します。アナログ盤だとその空間描写がより直感的に伝わる場合があります。
どの盤を買うか:入門向け・コレクター向けの提案
入門者:まずは「Mange Tout」やベスト盤で代表曲を押さえると良いです。アルバム・フローを知りたければ「Happy Families」→「Mange Tout」→「Believe You Me」の流れで聴くとバンドの成長がよく分かります。
中級リスナー:拡張リイシュー(デモ/リミックス/B面収録)で時代背景や制作過程に触れてみてください。曲の別テイクを比較することで作曲とアレンジの意図が見えてきます。
コレクター:オリジナルの初回プレスやプロモ盤、アートワーク違いのバリエーションはコレクターズアイテムとして価値があります。盤の状態や封入物(インナー、歌詞カード等)をチェックしましょう。
鑑賞時の注意点(音楽的に注目すべき細部)
シンセ・レイヤーの重なり:一見シンプルなメロディでも、多層のシンセが微妙にずらされて表情を作っています。ヘッドフォンで各レイヤーを分離して聴いてみると面白い発見があります。
リズム・プロダクションの工夫:ドラム・マシンと生パーカッションの混在がある曲では、その“温度差”が曲の躍動を作っています。パーカッションの配置やフィルの処理に注目してみてください。
歌詞の視点:都会的で観察者的な視点が多く、些細な日常の断片を切り取るような表現が見られます。歌詞カードを見ながら聴くことで、メロディと語りの微妙なずれが楽しめます。
まとめ — どのレコードから始めるべきか
最初は「Mange Tout」でBlancmangeの“顔”を掴み、次に「Happy Families」で原点の実験性に触れるのが王道です。さらに「Believe You Me」で彼らのポップ/プロダクション成熟期を確認し、復帰後作で現在の表現を味わう——この順に聴くと、歴史的文脈と音楽的変遷が直感的に理解できます。
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