VoivodのLPおすすめ盤完全ガイド|初期スラッシュから現代作までの聴きどころと選び方
Voivod — イントロダクション
カナダ出身のプログレッシブ/スラッシュ・メタル・バンド、Voivod(ヴォヴォド)は1979〜80年代のスラッシュ・シーンから出発し、SF的な世界観と実験的なアプローチで独自の進化を続けてきました。鋭いリフと変拍子、サイバーパンク的な歌詞、そしてギタリストPiggy(故デニス・ダマール)の独特なトーンが特徴です。本コラムでは、レコード(LP)で聴くと特に魅力が増す「おすすめ盤」を中心に、各作品の聴きどころや選び方のポイントを解説します。
おすすめ盤の選定基準
- バンドの音楽的変遷を理解できる代表作(初期のスラッシュ、プログレッシブ転向、実験期、近年の復活まで)を網羅。
- LPでの音場やマスタリング差が楽しめる作品を優先(オリジナル盤/良好なリマスター盤を推奨)。
- 作品ごとに「どんな聴きどころがあるか」を明示して初心者〜コレクターまで使えるガイドにする。
War and Pain(1984) — 原点の荒々しさを味わう
Voivodのデビュー作で、初期は純粋なスラッシュ〜ハードコア色が強い時期です。粗削りながらも勢いのある演奏と、後のVoivodらしい鋭角的なギター・ワークの萌芽が聴けます。
- おすすめポイント:初期のエネルギー、未熟さゆえの攻撃性が生々しい。スラッシュ史の文脈でも価値が高い。
- 代表曲(一例):War and Pain(タイトル曲)
- LP選びの目安:オリジナル盤は音像が生々しく雰囲気重視。後年のリマスターは音の整理がされているので好みで選ぶと良いです。
Killing Technology(1987) — 変化の始まり、プログレ要素の導入
スラッシュ路線からの転換が明確になった作品。リフの凝り方や曲構成により複雑さが加わり、Voivodらしい“SF的”世界観が強まります。ここからバンドのサウンドが大きく拡張していきます。
- おすすめポイント:従来の"速さ"や激しさに加え、テクスチャーやリズムの実験性が見える重要作。
- 代表曲(一例):Killing Technology(タイトル曲)
- LP選びの目安:オリジナルのアナログ盤はパンチがある一方、後のリマスターはサウンドがクリア。音の好みで選択。
Dimension Hatröss(1988) — 名盤、コンセプトとプログレの深化
概念的なストーリー性と複雑な構成を持つ、Voivodの代表作のひとつ。サイケデリックでヘヴィ、かつ知的な曲作り。LPで聴くとギター・サウンドと空間表現がより鮮明になります。
- おすすめポイント:コンセプト性の強さ、緻密な曲構成、Piggyのユニークなギタートーンが堪能できる。
- 代表曲(一例):タイトル曲群を中心にアルバム全体を通しての流れが魅力。
- LP選びの目安:アルバムの世界観を重視するなら、オリジナル・ジャケットやインナーのアートワークが良好な盤を探すと没入感が高いです。
Nothingface(1989) — 批評的評価の高い転機作(Astronomy Domine収録)
商業的にも注目を集めたアルバムで、ピンク・フロイドのカバー「Astronomy Domine」を収録していることでも知られます。Voivodの詩的・メロディックな側面が開花した作品です。
- おすすめポイント:プログレ性とメロディのバランスが絶妙。バンドの「顔」が確立された重要作。
- 代表曲(一例):Astronomy Domine(Pink Floydのカバー)
- LP選びの目安:オリジナル/良質なリマスター問わず、アルバムの音像が良く出るプレスがおすすめです。
Angel Rat(1991)/The Outer Limits(1993) — 実験とポップ性の間
90年代初頭はよりメロディックで実験的な試みが目立つ時期。Angel Ratは比較的聴きやすい側面があり、The Outer Limitsではさらに音響的な実験が加わります。好みが分かれる時期ですが、バンドの幅を知るうえで必聴です。
- おすすめポイント:Voivodの多面性(重厚さだけでない)を体感できる。
- 代表曲(一例):各アルバムのタイトル曲やシングル曲を中心にチェックすると良いでしょう。
- LP選びの目安:この時期はリリース後に複数の再発があるため、プレス質とマスターの違いを確認して選ぶと安心です。
Negatron(1995)/Phobos(1997) — ヘヴィネスと実験の深化(中期以降の挑戦)
この時期はラインナップやサウンドが変化し、よりダークでヘヴィな方向へ。インダストリアルやモダンなヘヴィネスを取り入れたサウンドが特徴です。ファンの間でも評価が分かれる過渡期的作品群です。
- おすすめポイント:バンドの“挑戦”を楽しみたいリスナー向け。音色やプロダクションの違いが興味深い。
- 代表曲(一例):アルバムを通しての重厚な世界観をじっくり味わってほしい作品群。
Katorz(2006)/Infini(2009) — Piggyの遺した遺産
ギタリストPiggy(デニス・ダマール)が残したリフやデモをもとに制作された作品群。情感が宿るリフと、追悼的な背景が色濃い作品です。LPで聴くとギターのニュアンスが生々しく伝わってきます。
- おすすめポイント:Piggyの最後のアイデアを感じられる貴重な記録。感情的な重みがあります。
- 代表曲(一例):アルバムごとに聴きどころが分散しているためアルバム全体の流れを重視して聴くのがおすすめ。
Target Earth(2013)/The Wake(2018) — 復活と成熟、現代の名盤
オリジナル路線の精神を受け継ぎつつ、現代的なアレンジと表現力をまとった復活作。とくにThe Wakeは批評的にも高い評価を受け、近年のVoivodを象徴する名盤です(The Wakeは主要な賞を受賞するなど評価が高い)。
- おすすめポイント:往年のVoivodらしさと現代の録音クオリティが両立。初心者にも入門しやすい一方、細部の工夫も豊富。
- 代表曲(一例):The Wakeからのシングル曲やハイライト曲はバンドの新たな顔としておすすめ。
- LP選びの目安:近年作はプレス品質が安定しているため、リイシュー盤でも十分満足できることが多いです。
聴き方とコレクションのヒント(アルバム選びの優先順位)
- 初めてVoivodを聴くなら:Nothingface(バンドの代表作)→ Dimension Hatröss → Killing Technology の順で聴くと、進化の流れが分かりやすい。
- 初期の直球スラッシュが好みなら:War and Pain を中心に。
- 実験性や変化球を楽しみたいなら:Angel Rat、The Outer Limits、Negatron/Phobos をチェック。
- 近年作に興味があるなら:Target Earth → The Wake で、現代のVoivodの魅力を確認。
LPを選ぶ際の実務的ポイント(簡潔に)
- オリジナル盤はコレクターズ・アイテムとして魅力的だが、音質の好み(生々しいアナログ感 vs クリアなリマスター)で選んでください。
- 再発/リマスター盤は盤質やマスター元が異なるため、購入前にプレス情報(マスター、マトリクス、プレス国)を確認すると良いです。
- ジャケットやインサートの有無もアルバム体験に影響するので、アートワーク重視ならパッケージ内容をチェック。
おすすめ入門プレイリスト(LPを買う前に)
まずはストリーミングやCDで以下のアルバム・ハイライトを順に聴いてから、好みに応じてLPを選ぶと満足度が高まります:Nothingface → Dimension Hatröss → Killing Technology → War and Pain → The Wake。
まとめ
Voivodは単にスラッシュ・メタルの一員ではなく、アルバムごとに異なる顔を見せるバンドです。LPで揃える楽しさは、アートワーク・音の厚み・アルバムの流れを物理的に体験できる点にあります。まずは代表作(Nothingface、Dimension Hatröss、Killing Technology)から入り、好みに合わせて初期〜中期〜復活期へと広げていくのが王道の楽しみ方です。
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参考文献
- Voivod Official Site
- Voivod — Wikipedia
- Voivod — AllMusic
- Voivod — Discogs(レコード/プレス情報の参照に便利)
- Voivod — Encyclopaedia Metallum


