ソル・フープイの歌うスチールギターを聴く—1920年代〜1930年代の名盤と聴きどころを徹底解説

イントロダクション — ソル・フープイ(Sol Hoʻopiʻi)とは

ソル・フープイ(Sol Hoʻopiʻi, 1898–1953)は、ハワイ出身のスチールギター奏者で、1920年代から30年代にかけてアメリカ本土で活躍し、スチールギターの演奏表現を大きく前進させた人物です。ハワイ音楽の伝統に根ざしつつ、ジャズやポピュラー音楽の要素を取り込み、当時のレコード録音を通じて広く影響を与えました。本コラムでは、聴きどころのあるおすすめレコード(およびそれらをまとめたコンピレーション)を中心に、曲ごとの特徴や聴きどころを深掘りして紹介します。

聴く前に押さえておきたい背景

  • 演奏スタイル:フープイはレガートで歌うようなスチールのフレーズ、スライドとヴィブラートを自在に使った表現が特徴です。単なる伴奏楽器ではなく、メロディ楽器としての役割を強く打ち出しました。

  • 活動時期と録音:1920年代後半から1930年代にかけて、ヴィクターなどのレーベルに78回転で多数録音しています。これらが現代のCD/デジタル化されたコンピレーションにまとめられていることが多いです。

  • 影響範囲:ハワイアンだけでなく、ジャズやブルース、カントリー系の奏者にも影響を与え、ラップスチール/ペダルスティールの発展につながる表現を提示しました。

おすすめレコード(および聴きどころ)

  • 初期78回転シングル集(1920s — Victorなどのオリジナル録音)

    聴きどころ:当時の録音技術・編成(Novelty Trioなど)とともに残された演奏は、フープイの生の音楽性を知る最良の資料です。代表的な楽曲としてはハワイ伝統曲の歌唱的アレンジや、ジャズスタンダードをハワイアン・スチールで解釈したものなどが含まれます。原典を感じたいコレクターや研究者におすすめ。

  • コンピレーション:1926–1930年代の録音をまとめたCD/デジタル集

    聴きどころ:オリジナル78をまとめた再発盤は、曲順や解説、音質のリマスター具合が版によって異なります。まとまった形でフープイのスタイルの変化と録音技術の移り変わりを追えるため、入門〜中級リスナーに最適です。

  • 代表曲(必聴トラック例)

    • Hi'ilawe(ハイイラヴェ) — ハワイアン古調の美しい旋律をスチールで歌い上げる演奏。情緒豊かなレガートとヴィブラートが堪能できます。

    • Hula Blues — ブルースやジャズ側面が見えるレパートリー。ハワイアンのリズム感と都会的なジャズ表現が交差する好例です。

    • Aloha ʻOe(アロハ・オエ)などのスタンダード解釈 — 誰もが知るメロディをフープイ独自のフレージングで再構築した演奏から、彼の“歌うスチール”の魅力が見て取れます。

  • 協演もの/トリオ編成録音

    聴きどころ:ソロのスチールだけでなく、Novelty Trio 等の編成での録音はアンサンブルの中でのソロの位置づけや、他楽器との掛け合いが楽しめます。伴奏とのバランスや、アレンジの工夫に注目してください。

各レコード(曲)を深掘りするポイント

  • フレージングの観察 — フープイはボーカル的な間(ブレス)をスチールで表現します。フレーズの始めと終わりでどのように音を伸ばし、どこでバイブレーションをかけるかに注目すると、彼の“歌わせ方”が分かります。

  • 和声とコードワーク — 単旋律的に聞こえますが、演奏内に含まれるハーモニック・アプローチ(ベース音の暗示、和音の分散奏法)を追うと、当時としては革新的な和声処理が見えてきます。

  • レパートリーの多様性 — ハワイ伝統曲、ジャズ・スタンダード、流行歌のカバーなど、ジャンル横断的な選曲からフープイがどのように自身のスタイルを適用しているかを比較してください。同じ旋律でも曲ごとにテンポや装飾の付け方が大きく異なることが面白い点です。

  • 録音年代による違い — 1920年代後半と1930年代の録音を並べて聴くと、録音技術・アレンジ・演奏スタイルの微妙な変化が感じ取れます。特にソロの処理やエコー感(マイク技術)などが違います。

購入・選盤の実務的アドバイス(音楽面から)

  • 初めて聴くなら、年代を横断して主要録音をまとめた信頼できるコンピレーション盤から入ると全体像が掴みやすいです。

  • オリジナル78の復刻を謳う盤は、解説や出典(オリジナルのレーベル名・録音日)がしっかり記載されているか確認すると歴史的背景の把握に役立ちます。

  • デジタル配信やストリーミングでも彼の代表録音が聴けますが、リマスターの有無やトラックの出典情報(どの78から取ったか)をチェックするとより深く楽しめます。

聴きどころまとめ — なぜ今聴くべきか

ソル・フープイは単なる“ハワイアン奏者”ではなく、スチールギターという楽器を“歌わせる”ことで表現の幅を広げ、アメリカのポピュラー・ミュージックに影響を残した先駆者です。彼の録音は、ジャンルの境界を越えた演奏表現と、当時の都市文化とハワイ音楽の交差点を知る上で貴重です。初めて触れる人は代表曲を通して“歌うスチール”の魅力をまず味わってください。

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参考文献