アルフレッド・コルトーのおすすめレコードと聴きどころ — 名盤ガイド
はじめに
アルフレッド・コルトー(1877–1962)は20世紀前半を代表するピアニストの一人で、特にショパンやシューマン、ドビュッシーの解釈で知られます。詩的で歌うようなフレージング、自由なルバート、精緻な音色感覚が特徴で、技術的な完璧さよりも音楽の「語り」を重視した演奏は今も多くのリスナーや演奏家に影響を与えています。本コラムでは、これからコルトーを聴きたい人のためにおすすめ盤と聴きどころ、選び方のコツを解説します。
コルトーの演奏スタイルの概略
コルトーはロマン派作品を中心に、フレーズごとの歌わせ方、テンポの柔軟性、詩的なニュアンスを重視しました。録音の多くは78回転時代や初期磁気録音で、現代のクリアな音質とは異なりますが、その「語り」の魅力は色褪せません。長所は深い音楽的洞察と歌心、短所と見なされることのあるのは時に過度のルバートやテンポの揺れ、録音・老化に伴う不安定さです。
おすすめレコード(盤ごとの紹介)
ショパン:バラード・ノクターン・プレリュード集
理由:コルトーのショパンは詩的解釈の典型。特にノクターンやプレリュードでの歌わせ方、色彩感は他に代えがたい魅力を持ちます。初期録音のため音質は当時のままですが、名演として名高いので入門盤として推奨します。シューマン:『謝肉祭(Carnaval)』『子供の情景(Kinderszenen)』
理由:シューマン解釈におけるコルトーの強みがよく出たレパートリー。場面ごとのキャラクター表現と語り口が魅力で、シューマン好きには必聴の演奏です。ドビュッシー:前奏曲集・版画など
理由:色彩感覚とタッチの微妙な変化を重視するコルトーのドビュッシーは、印象派の音世界を独自の詩情で示します。解釈の古典として参考になります。室内楽:コルトー/ティボー/カザルス(Cortot–Thibaud–Casals)によるピアノ三重奏
理由:コルトーは名手たちとトリオ活動を行い、ベートーヴェンやシューベルトの三重奏を残しました。ピアニスト単独の録音とは違う対話的な音楽作りが楽しめます。リサイタル集・コンプリート録音集(ボックスセット)
理由:歴史的録音をまとめて聴くなら、信頼できるレーベルによるリマスター盤やボックスセットがおすすめ。なお収録曲や音源の出所が明記されたエディションを選ぶとよいでしょう。
各盤の聴きどころ(ポイント別ガイド)
歌わせるフレージング:フレーズ終わりの余韻や内声の扱いに注目すると、コルトーの「語り手」としての個性が分かります。
ルバートとテンポの柔軟性:テンポの伸縮は表現手段の一つ。過度に正確なテンポを求める現代的聴き方ではなく、物語性や詩情に耳を傾けると理解が深まります。
色彩感とペダリング:音色の変化やペダルで作る残響感に意識を向けると、古い録音ながら豊かな響きが感じられます。
協演録音の対話性:室内楽録音では他の奏者との自然な会話(反応)に注目。コルトーは伴奏とも主役とも異なる柔軟な立ち位置を取ります。
選び方のコツ(盤・版の見分け方)
信頼できるリマスターを選ぶ:EMI、Testament、Brilliant Classics、RCAなど歴史的録音を丁寧に扱うレーベルのエディションがおすすめです。解説書や録音年代の注記があると安心です。
入門は代表曲集から:まずはショパンやシューマンの代表的小品集でコルトーの特色を掴み、興味が湧いたら全集や室内楽へ広げるとよいでしょう。
音質に期待しすぎない:歴史的録音ゆえノイズや周波数の限界はありますが、解釈の価値で評価することが大切です。デジタル時代のクリアさとは別の魅力があります。
コルトー入門リスニングプラン
ステップ1:ショパンの小品(ノクターン、前奏曲)で歌心に触れる。
ステップ2:シューマンの『謝肉祭』『子供の情景』でドラマ性とキャラクター表現を聴く。
ステップ3:ドビュッシーやリサイタル集で色彩感やタッチの多様性を確認する。
ステップ4:室内楽(コルトー/ティボー/カザルスなど)で対話的な音楽作りを楽しむ。
聴くときの心構え
コルトーを聴くときは「歴史的演奏のドキュメンタリー」という視点を持つと理解しやすいです。テクニックの完璧さよりも解釈や表現の深さを楽しむこと。録音の時代差を前提に、演奏の個性と音楽的洞察を味わってください。
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参考文献
- アルフレッド・コルトー(Wikipedia 日本語)
- Alfred Cortot — AllMusic(英語)
- Cortot: A tribute — Gramophone(英語)
- Alfred Cortot — Discogs(ディスコグラフィ)


