ルームガウン完全ガイド:素材・着こなし・手入れ・選び方
ルームガウンとは──家でのくつろぎを格上げする一着
ルームガウンは、家庭内でくつろぐために着る長めの羽織り物で、バスローブやカーディガン、着物風のガウンなど幅広いデザインを含みます。機能としては保温・体型カバー・手早く羽織れる利便性が中心であり、近年は在宅ワークや“おうち時間”の増加に伴いファッション性を重視したデザインや高機能素材の製品が増えています。
歴史と背景:伝統とモダンの交錯
ルームガウンの原型は、東洋の着物や中東・アジアのローブ、18〜19世紀の欧米における“バニヤン(banyan)”やバスローブに由来します。これらは家の中での寛ぎ着として男性・女性問わず着用され、時代を経て素材やシルエットが多様化しました。現代では機能性(吸水速乾、保温、通気性)やサステナビリティ(オーガニックコットン、リサイクル素材)も重要な要素になっています。
ルームガウンの主要なタイプ
- 着物風ガウン(キモノカット):ストレートな身幅とゆったりした袖が特徴。腰紐で留めることが多く、和洋のテイストを取り入れたデザインが人気です。
- バスローブタイプ:タオル地やパイル地を用い、入浴後の保温と吸水が主目的。フード付きやベルトタイプが一般的です。
- ダスター/ロングカーディガン:薄手で軽く、室内だけでなくちょっとした外出にも使えるデザイン。リネンや薄手ウールなどが使われます。
- モダンルームガウン:ストリートやラウンジウェアとの融合で、デザイン性やプリント、テクニカル素材を用いたもの。
素材別の特徴と季節選び
素材は着心地と機能性を決める重要な要素です。以下に代表的な素材の特性と適する季節やケア性をまとめます。
- 綿(コットン):通気性と肌触りが良く、年間を通して使いやすい。洗濯機で洗える製品が多くケアは容易。
- リネン(麻):吸湿速乾性が高く春夏向き。使い込むほどに風合いが増すが、シワが付きやすい点に注意。
- ウール・カシミヤ:保温性に優れる秋冬向け。軽くて暖かいが、洗濯表示に従いドライクリーニングや手洗いが必要な場合がある。
- パイル/タオル地(コットンパイル、マイクロファイバー):吸水性に優れバスローブに最適。乾きやすさは素材により異なる。
- 合成繊維(ポリエステル、ナイロン、レーヨン混合):シワになりにくく速乾性がある。通気性や肌触りは素材設計に依存。
サイズ・フィットの考え方
ルームガウンは基本的にリラックスフィットが前提ですが、選び方にはポイントがあります。肩幅と袖丈が適切であることを確認し、ドレープ感や重なり具合が好みに合うかをチェックしてください。締め付けを避けたい場合はワンサイズ上を選ぶとよいですが、だらしなく見えないよう丈のバランス(膝丈か足首近くか)も意識します。また、ベルト位置や内側のヒモでウエスト位置を調整できるデザインは体型の変化にも対応しやすいです。
着こなし・コーディネート提案
ルームガウンは家の中だけでなく、外出時の軽い羽織りとしても活用できます。以下はシーン別の提案です。
- 在宅ワーク時:インナーにシンプルなTシャツ+スリムパンツを合わせ、ガウンは膝下程度の着丈で落ち着いた色を選ぶとオンライン会議でも好印象。
- ゆったりリラックス:柔らかいコットンやリネンのガウンをルームウェアと合わせ、靴下やスリッパで温度調整。
- ちょっとした外出:ダスタータイプやきれいめのロングガウンをデニム・スニーカーと合わせればラフな外出着に。アクセサリーで引き締めるのも効果的。
- 季節感を出す:春はライトカラー・リネン、夏は薄手コットンやシアー素材、秋冬はウールやフリース素材で季節感を演出。
手入れ・洗濯の基本(素材別の注意点)
長く愛用するためには洗濯表示(ケアラベル)を確認することが最優先です。一般的な注意点を素材別にまとめます。
- コットン/リネン:縮みや色落ちを防ぐため、洗濯ネットや低温での洗濯を推奨。リネンは軽く干して形を整えるとシワを最小化できます。
- ウール/カシミヤ:摩擦や縮みを避けるためドライクリーニングが基本。家庭洗いする場合はウール用洗剤で手洗いまたはドライ機能を使用。
- パイル・マイクロファイバー:吸水性を保つため柔軟剤は控えめに。静電気対策として低温での乾燥・陰干しが有効。
- 合成繊維:耐久性が高い反面、毛玉や静電気が出やすい。裏返して洗うと表地の摩耗を抑えられます。
また、長期間の保管時は直射日光や高温多湿を避け、防虫剤や通気を考慮してください。ウール製品は汗や湿気で虫食いが起きやすいため、清潔な状態で保管することが重要です。
サステナビリティと素材選び
環境意識の高まりにより、オーガニックコットン、リサイクルポリエステル、麻などの天然素材を用いたルームガウンや、生産背景(フェアトレード、低環境負荷染色)を明示するブランドが増えています。長く使える品質の良い一着を選び、手入れをしてリペアしながら使い続けることが最も環境負荷を下げる方法です。
購入時のチェックリスト
- 素材感と洗濯表示を確認して実生活で扱えるかを判断する。
- 試着またはサイズ表で肩幅・袖丈・総丈を念入りに確認する。
- 縫製や縁取りの仕上がりをチェックし、縫い目が弱くないか確認する。
- ポケットやベルト、フードなどのディテールが使い勝手に合うか見る。
- サステナビリティ表示や生産国の情報を確認する(気になる場合)。
よくあるQ&A
Q:ルームガウンは外に着て行っても大丈夫? A:デザイン次第です。ダスターやカジュアルなロングガウンはちょっとした外出に適しますが、バスローブ風のパイル地は入浴後専用として室内中心の利用が無難です。
Q:冷房対策に良い素材は? A:薄手ウールやテンセル、レーヨン混紡は適度な保温と通気性を両立しやすく、冷房の効いた室内で重宝します。
まとめ
ルームガウンは単なる部屋着を超え、着心地・機能・デザイン・サステナビリティを選べる現代のライフスタイルアイテムです。素材とシーンに合わせて一着を上手に選べば、日々のリラックスタイムを格上げすると同時に、外出時の軽い羽織りとしても重宝します。購入前には素材の特性とケア方法を確認し、長く使える良質な一着を選んでください。
参考文献
- Bathrobe — Wikipedia (en)
- Kimono — Wikipedia (en)
- Woolmark — Care & Advice
- The Spruce — What Is a Robe?


